2014年06月15日

ヴァイオリン職人の探求と推理/ポール・アダム



 いやー、面白かった!



 ミステリとしては軽い方なんだけれど(“社会派”、とかではない。 どちらかといえば



コージーに近い部分あり)、だから読後感がよいのかも。 ひどい出来事はありましたけど、



終わりよければすべてよし、的な。



 ジャンニはクレモナ在住のベテランヴァイオリン職人。 同業者で親友のトマソ、近所で



育って息子と同年代のアントニオ・グァスタフェステ、神父のアリーギとよく仕事終わりに



ジャンニのアトリエに集まり、ワイングラスを傾けつつ四重奏をするのが息抜きの習慣。



 そんなある夜の集まりの後、トマソが帰ってこないと妻から電話が。 実は職業が刑事で



あるグァスタフェステとともにトマソのアトリエを訪れたジャンニは、そこでトマソの死体を



発見してしまう・・・という話。



   ジャンニの誠実な人柄が大変よろしい。



 <素人探偵もの>というのはときに捜査に介入するのに強引すぎる展開があったりする



ものだけれど、これはそもそも友人が刑事だということと、ヴァイオリンの専門知識をむしろ



求められる役まわり、ということで説得力がある。 しかもその世界では名の知れた専門家



なので、博物館やら美術館やら、どこに行ってもジャンニは容易く資料を閲覧できたり



情報を得られたりできる、という。 まさに業界の素人であるグァスタフェステ(そして読者)に



とって最適・最強の案内人!



 ストラディヴァリやグァルネリなど名器と呼ばれるヴァイオリンにまつわる歴史的トリビア、



クラシック業界あるあるなどもてんこ盛り。 オークションの場面はなんでかドキドキワクワク



してしまいますね(原体験は『エロイカより愛をこめて』の伯爵とサバーハとの争いかも)。



 金儲けの道具になってしまっても、やはり楽器は素晴らしい演奏者に弾かれてこそ価値が



ある、のですよ。



 すでにシリーズ第2作目が原著では刊行済みのよう。 ぜひジャンニにまた会いたい!



今回出番が冒頭だけだった神父さんの活躍もよろしく!


posted by かしこん at 18:23| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする