2014年04月15日

盤上の夜/宮内悠介

 はっはっはっはっは、読んでしまったじゃないか。
 ジャーナリストである“わたし”による、囲碁・チェッカー・麻雀・チャトランガ(古代チェス)・将棋という盤上で行われる5つのゲームと、そのゲームにまつわる人間のエピソード集と思いきや、いつしか世界の果てをも描きだしてしまう連作短編集でした。

  盤上の夜1.jpg それは「ゲームとは何か」という問いかけから始まる。

 表題作『盤上の夜』は第1回創元SF短編賞・山田正紀賞受賞作。 だから最初は連作にする意識はなかったのかも。 それくらい主に語られる女性棋士の設定はぶっ飛んでいる。
 でもそれを淡々と書きつづる姿勢と、これが書かれたのは結構先の未来なのだろうと感じさせる雰囲気、それでいてハードSFではないというポイントにしびれる。 え、これ、直木賞候補なの? 芥川賞でもいいんじゃないの?
 『人間の王』は連作にすることを意識して、“わたし”のジャーナリスト性を強調しつつ<完全解が見つかってしまった対戦ゲーム>について語られる。 実は、対談相手はその人ではないのだが、“その人”についてぐんぐん浮かび上がるすごさがあり。 多分この本の中でいちばんわかりやすい作品ではないかと。
 あ、ちなみにあたしはボードゲームをほとんどしませんのでルールはわかりません。 それでも問題なく、この本を読めました。
 『清められた卓』は麻雀が題材。 多分、ルールがわかっていたらもっと面白いんだろうけど、わからなくても心理戦の駆け引きはとても面白い。 将棋や碁と違い運に左右される麻雀というゲームは賭博性もありいろんな意味でイメージがよくない部分もあるが、そんなイメージも綺麗にひっくり返し(勿論、心理戦の過程では人間のドロドロしたところもしっかり描写されますが)、そしてラストでも思いもしない方向にひっくり返されてしまった。
 次の『象を飛ばした王子』はちょっと異色で、“わたし”が直接会って話をした相手ではなく資料から掘り起こした話をまとめたものになる。 <ゲームの誕生>について語りつつ、<人間とは何か>に踏み込む。 ゲームを作ったのが人間ならば、ゲームを解くことで人間の真理に辿り着けるのか、更に人間を超えることができるのかという欲望の存在に気づかされた。
 だから人はゲームに夢中になるのだろうか?
 ゲームに手を出さない人は、その果てには身を滅ぼすしかなくなることを無意識のうちに感じ取っているからなのか。
 あたしがいちばんどよめいたのはその次の『千年の虚空』だった(明らかにこれに影響を受けたっぽい夢まで見てしまった)。 これは将棋を扱いつつ<ゲームを殺すゲーム>という存在についての言及。 悪夢のようでいて、どこかイノセンスすら漂う感じにすっかりやられちゃいました。
 最後の『原爆の局』は再び囲碁で、『盤上の夜』の登場人物たちのその後(『清められた卓』の登場人物の一人もゲスト出演)を描くことで連作感がさらに強まって。
 狭い盤に向き合いながら世界と対峙し、それで世界を変えようとする人々の壮大さと、そんな天才たちに近づきたいと願いながらも決して同じ景色は見られないとわかっている凡人代表の“わたし”の哀しさにも胸がつまったり。 それでも、その場に立ち会えた幸運をかみしめることはできるのかもしれない。 それに凡人には<伝える>という役割があるしね。
 だからあたしは読者として、“わたし”の気持ちを共有した。
 本を閉じるとき、ふう、と息をはいてしまう。
 なんかすごいものを読んじゃったよ、な気持ち。
 大長編じゃなくて、短編集でこんなことされてしまうと手も足も出ない・・・。

ラベル:SF 国内文学
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2014年04月14日

『伝説巨神イデオン』、一挙放送!

 WOWOWにて、リマスター版の『伝説巨神イデオン』が一挙放送。
 あたしの世代はリアルタイムガンダムマニアな方々の最後のほうにあたるのですが、TV放送を途中から見たあたしは『機動戦士ガンダム』にあまりはまれなかったのです(とはいえ、マニアな方と会話できる必要最低限の知識はありますが)。
 むしろ、そのあと第一回から見た『伝説巨神イデオン』のほうが好き、というか、トラウマのような影響を受けた、と思う・・・なんていうのですかね、諸行無常的な。
 のちのち、『エヴァンゲリヲン』が流行ったとき妹に教えられて見たものの、「『イデオン』のほうが深いよ」の一言で感想終わり・・・結局、エヴァは見ておりません。

  イデオン1.jpg 懐かしのオープニング。
   戸田恵子が歌うエンディングテーマとも普通に歌えたあたし。

 地球からの移民団がソロ星と呼ばれる惑星で“第六文明人”の遺跡を発見。 そして別の知的生命体である異星人(見た目はほぼ人間と一緒)との<無限力イデ>をめぐる壮絶な戦い、というあらすじでいいのだろうか・・・。
 まぁ、子供の頃の記憶はなんだかんだ曖昧なので、その当時相当のショックを受けたとはいえ、今改めて見たら古さとか感じてしまうんだろうなぁとか思ったわけですが、4:3比率の画面が確かに悲しいものの、普通に見れてしまいました。

  イデオン2.jpg あたしは特に感じてなかったのですが、イデオンの造形がダサくて制作側は大変苦労した模様(関連グッズもなかなか売れなかったとか)。
 ロボットアニメですが、あたしの興味はロボットにはなかったからでしょう。 今見ても、強気なキャラクターばっかりで気持ちいいよ。
 しかし最終回に愕然とする。 え、こんなにあっさり終わってたっけ?!
 さきほど、『劇場版伝説巨神イデオン 接触編 & 発動編』を見て納得。
 こっちだ・・・このラストシーンがあたしを打ちのめしたのだった(でも映画館に行った記憶はないのでTVで見たんだろうなぁ。 それでTVシリーズ版とごっちゃになっていた)。
 TVシリーズが途中で打ち切りになり、最終回は強引にまとめたラストであったこと、予定にあったラスト4話分を『発動編』として劇場公開したこと(『接触編』はTVシリーズのダイジェスト版で、合計3時間越えを同時上映で公開したらしい。 今の商売から考えるとすごく良心的)を今更ながら知る・・・しかしそういった裏事情に関係なく、子供心に感じた衝撃は今もあたしの中にある。
 たまにガンダムファンにはイデオンをバカにする人もいるが・・・全部見たのか?、といつも聞きたくなる。 あたしにとっては『イデオン』が名作です。
 その後、『聖戦士ダンバイン』にも盛り上がりましたが・・・あたしが好きなのはいまいちメジャーになりきれない感じが。 なので、日本サンライズ作品でこの2つが好き(片方だけでも可)という人とは無条件で仲よくなれそうです。
 WOWOWよ、『ダンバイン』も一挙放送してください!

ラベル:日本映画
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2014年04月13日

今日は3冊。

 今月の東京創元社の文庫の発売日〜。

  緋の収穫祭.jpg 緋の収穫祭/S・J・ボルトン
 色を表す漢字で、“緋”ほどイメージの広がる文字はないような気がする(“碧”も惜しいけど)。 原題は“BLOOD HARVEST”:『血の収穫祭』だけど、あえて“緋”を使うセンスが好き! で、またこの表紙の怖さが絶妙!

  夜の写本師.jpg 夜の写本師/乾石智子
 <日本ファンタジーの歴史を塗り替え、読書界にセンセーションをまき起こした>と出たときから言われていたこの本がずっと気になっていたんだけど、ハードカバーだったので文庫化を待っていて、やっと文庫に!
 実はシリーズ化してて続きも結構出ているんだけど・・・それも文庫になるのを待ちます。

  盤上の夜1.jpg 盤上の夜/宮内悠介
 これも文庫化を待っていたんですよ! どっちも思っていたより早かったかな・・・それだけ注目の作品、ということなのかも。 これもデビュー作で、なおかつ直木賞候補になったり(続いての『ヨハネスブルグの天使たち』も直木賞候補になってます)、日本のSFに新しい波が来てるんだ〜、とワクワクする予感。
 実際、ぱらっと読み始めたら「おおっ!」って感じで、これは引き続き読んでしまうかもしれん(あ、『リバーサイド・チルドレン』があるのに・・・)。
 しまった、『ちはやふる』の新刊を買うの忘れた!

ラベル:新刊
posted by かしこん at 07:50| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月12日

朝ドラを、初めてリアルタイムに録画する。



 NHKの朝の連続テレビ小説、通称“朝ドラ”ですが、あたしは開始時期を間違って



乗り遅れるパターンが多くて・・・BSで土曜日の9時半から一週間分まとめて放送される



やつを録画したりしていましたが、それも忘れることが多くて



 しかし前作『ごちそうさん』は大阪制作だということもあってか、高視聴率だったから



なのか、結構夜中に“20分でわかる今週の『ごちそうさん』”というのを放送していた



ため、なんとなくそれに頼ってリアルタイム放送のことを忘れてしまう結果に・・・。



 しかし今作『花子とアン』は、企画発表の段階から見たいと思い!



   だって、翻訳家・村岡花子の生涯でしょ!



 これは忘れてはいかん!、と、月〜土8:00〜8:15で録画予約。 無事に一回目から



見ております。



 美輪さんがナレーションってのにびっくり! いい感じだけど、しめくくりの「ごきげんよう」は



すごくいいのですが、「さようなら」がちょっと怖いです・・・6回目では「それでは、この続きは



また来週」になってほっとしたんだけど、2週目のラストはまた「さようなら」だったよ・・・



「ごきげんよう、また明日」ではダメなのかなぁ。



 それにしても村岡花子さんの子供時代がまるで『おしん』なことにも驚いた(そんな時代



だったの?!、ということに)。 だからもう1週目は、「女の子が本を読みたいことの何が



悪いの!」とあたしは涙目になっていた・・・その反動で2週目は「おいおい、勉強しようよ」と



思っていた。 すでに、入り込んでおります。


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ・テレビドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月11日

ロボコップ/ROBOCOP



 『ホビット』が見たいのであるが、時間が合わない・・・なので間に合う『ロボコップ』



見てしまった悲しさ。 オリジナル版は多分テレビで見ています(確か『ロボコップ3』



映画館で見た記憶が)。 そんな懐かしさ、ということで。



   半分人間、半分マシーン。 史上最強のバイオレンスヒーロー誕生!

         (チラシがお面型なのであります・・・)



 瀕死の重傷を負った警官が、実験段階の技術でロボコップとして生まれ変わる、という



基本設定はそのまま。 でもそれ以外はなんやかんや違う・・・近未来設定だからという



ことでなく、現実の地つづきとしての未来を描いてる分、かえってリアリティがそがれたと



いうか、絵空事感が極まってしまいました。



   それもこれも、ヅラが決まりすぎの

                 サミュエル・L・ジャクソンのせいである。



 「お前が主役か?」と聞きたくなるほどのインパクト。



 民衆をあおる攻撃的なTVキャスターとして冒頭から要所要所に登場し、ほぼ一人芝居



なのにその場の空気を全部持っていくすごさ(多分、彼の登場部分は一日で撮影が



終わったんじゃないか、という気がするものの、いかれきった彼を見るだけでもこの映画の



価値はありか)。



 サミュエル・L・ジャクソンが放つ異質な空気と、ポール・ヴァーホーヴェン的な悪趣味さに



欠けるスタイリッシュさが非常にアンバランスで、結構豪華キャストなのに安っぽく見えて



しまうのは何故? と、いろいろかなしかったのでありました。



 旧作のシルバー中心からブラックメタリック&ピンクのライトと現代風に生まれ変わった



ロボコップ。 けれど歩くときはずしんずしんと音がする(そのくせ、銃を撃った後は指で



くるくる回してホルスターにしまわない)。 ただ、爆発事故のあとどこまでの臓器が残って



いるからロボコップにできたと、いうディテールを描きたいがためのリメイクなのかな?、と



いう気がした。 実際、「ロボコップとして生きることは」というアレックス・マーフィー巡査



(ジョエル・キナマン)の苦悩にもかなりの描写を割いているし。



   そう、マーフィーという名前がひたすら懐かしい。



 微妙にあたし好みの豪華キャストも、若干ギャグが見え隠れというか・・・サミュエル・L・



ジャクソンは『アベンジャーズ』に出てるし、ロボコップをつくりだすマッドサイエンティストは



ゲイリー・オールドマンだし、ロボットに街中の治安をまかせようとして売り上げ増を図る



オムニコープ社長はマイケル・キートン、と新旧『バットマン』の重要人物。 現役警官の



リーダー格を演じるのはジャッキー・アール・ヘイリーで、『ウォッチメン』のロールシャッハ



だし(でもあたしは最初『エリジウム』のときのシャールト・コプリーかと思った・・・雰囲気



似てたよ)。 ヒーロー映画への愛情とパロディが隠されているのかしら、と思ったけれど、



特には。



 マーフィーの妻(アビー・コーニッシュ)と息子の存在をより大きく取り上げたので、よくある



アメリカ映画お得意の“家族の話”。 あえてそうまとめたのも、<ロボット・機械が善悪を



判断する>ことの様々な危険性をやわらげるためかしら。



 でも、サミュエルにやられちゃったけどね。


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2014年04月10日

図書館に追い込まれ中

 先日の『HHhH――プラハ、1942年』を図書館に返しに行ったところ、別の予約図書が新しく届いていました・・・。

  リバーサイドチルドレン.jpg リバーサイド・チルドレン/梓崎優
 『叫びと祈り』の方の長編第一作。 舞台はカンボジアでございます。

  ブラックライダー.jpg ブラックライダー/東山彰良
 ディストピアもの(黙示録後、というべきか)であり西部劇。
 この2冊を2週間で返すんですね・・・ま、『ブラックライダー』は以前借りたけど読み終われずに返した過去があるので、半分ぐらいは読んでいるし(しかしかなり厚いけどね)、『リバーサイド・チルドレン』はそんなに厚くないし、一人称文体なので読みやすかろう。
 しかしあと三分の一を残すばかりの『水時計』や、読み始めた『ミステリードラマは眠らない』などなど、同時並行的に読んでいる何冊かの本に(『銀河英雄伝説』だって7巻なのに)影響が・・・。
 まぁ、いつでもあたしはそんなもの、かな。
 一気読みするときはしてしまうんだけど、そうでなければ連続ドラマを見るかのようにいろんな本をちょっとずつ読み進めるのがひとつの習慣になっているかも(最初に全体の一割ぐらい読んでおけば、次に読むとき時間をどれだけおこうとも読み始めれば内容を思い出せるし)。
 でも、どちらも予約が詰まった本なので、今週末まとめて読んで、早く返してしまいたいところではある(そしてあたしには『ソロモンの偽証』の続きを早く回してください)。

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2014年04月09日

結局、失敗?

 4月がスタートしたのではあるが、どうもしっくりこない。
 季節の変わり目、仕事でもいろいろ変化が・・・とはいえ、まず生活リズムが乱れているので、それをなんとかできないか、と思って、いつもよりあえて早めに寝てみた。
 寝ようと思っても眠れない体質なので、薬の力を借りつつ、寝付けなくとも横になっていることが大事・・・とやってみたところ。
 なんだか必要以上に寝ちゃったというか、起きるはずの時間に起きれなかったではないか!
 生活リズムを一日で変えようということ自体が無理な話なので多少長期計画を考えていたのだが、これではちょっとどうだろう。 結局、前のままのほうがいいというか、それで行くしかないのかも・・・。
 まぁ、今いろいろがんばってみても、多分GWで乱れてしまうので、むしろ立て直すのはそのあとからのほうがいいかも。 と、自分をなぐさめてみる。

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2014年04月08日

HHhH――プラハ、1942年/ローラン・ビネ

 東京創元社メルマガの新刊情報を見て、「なんだか面白そう!」と思ったものの、ハードカバーだったので買えず・・・図書館に予約を入れて、半年近く待ちましたかね。 そんなに人気があったのか(いや、所蔵冊数が少ないせいがいちばんの理由かも)。
 意味不明の題名ですが、サブタイトルの『プラハ、1942年』という部分にはついつい“プラハの春”などを連想してしまって(『プラハの春』という小説もありました)、それにもにやり。 歴史にそんなに詳しくないくせに(というか、ある特定の範囲にはすごく詳しいが、全体像がおぼろげ)、歴史モノについ惹かれるあたしの習性。

  H4プラハ.jpg HHhHとはドイツ語で“Himmlers Hirn hei't Heydrich”:「ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる」の意。

 ナチス・ドイツにおけるユダヤ人大量虐殺の首謀者であり責任者、金髪の野獣と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒを暗殺すべくチェコ政府によって送り込まれたパラシュート部隊のうちの二人の青年、ガブチークとクビシュのことを中心に。
 そう、これはエンタテイメントとしての歴史小説ではなく、史実として確認されたことのみで構成されているノンフィクションやルポルタージュでもなく、もともとプラハという街の美しさに魅せられていた作者が<類人猿作戦>と呼ばれた暗殺事件にも惹きつけられていき、資料を集めていくうちにどんどん深みにはまっていく過程を記した随筆のようでありながら、実はとてつもなく実験的で野心的な手法で<小説>の本質に迫ろうとしているもの。
 だからといって難しいことはまったくなく、過去を俯瞰する未来からの立場を捨てて、同時代人としてその場にいたかった、とでもいうような作者の強い思いがトリッキーな文体をつくりだしたような気もするし、そう読むこと自体作者の罠にはまっているのかもしれないし。
 いわゆる<ナチスもの>と言われるジャンルは数多く書かれ、映画も沢山あるけれど、そういうものからも一線を画した存在でありたいという作者の自負は熱いし。
 歴史の陰には名もなき人々の悲劇が埋もれている、と示される部分にはあたしも心がえぐられます(これは、『それでも夜は明ける』よりぐわーんときた)。
 この本を読み終えようかというタイミングで、「ヒトラーの妻であったエバ・ブラウンにはユダヤ系の血が流れていた」というようなニュースを見た。
 <いわゆるナチスもの>の根は深い。

ラベル:海外ミステリ
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2014年04月07日

箱庭コスモス/桑田乃梨子



 桑田乃梨子の新刊であるが、なにしろ今ひとつマイナーな出版社からなので、近所の



本屋さんでは売ってないかもしれない、と思い、ネットのhontoに結構前から予約しておいた。



一冊だとメール便になるから届くまでは数日かかるが、3月31日発売ということもあり、



増税前の駆け込み注文にてんやわんやだったのか、31日に「発送しました」ということに



なっていたけれど、ヤマトの見たら荷物を引き受けたのは4月1日になっていて、しかも



やっと届いたという・・・。 宅配業者様、おつかれさまです。



   久し振りの女子高もの。



 『豪放ライラック』以来でしょうか。 しかしあれは隣に男子校があったりで、登場人物が



完全に女子だけ、というのは珍しいのでは。



 なんというのでしょうか、特に山場のない、いつまでも続いていく日常の一コマ、というのが



桑田マンガの本質ではありますが、こうなにもないと一気に読めないというか、ちょっと休み



つつ拾って読む、という感じ。 これ一冊で終わりなのも、キャラクターが読者側に浸透し



きれない部分があって物足りないというか。 そういう意味では『豪放ライラック』は結構



長かったので登場人物への愛着などあったし、2冊で終わったけど『楽園番外地』



キャラに特異性があって好きだったのですが。



 うむ、あたしの要求度が高くなってる?



 勿論、いつもながらの桑田マンガであることは確かなのですが。


posted by かしこん at 06:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月06日

引き続き、大荒れの天気



 うちのすぐ近くに立っている桜の木、先週の木曜日の図。



 見上げると、こんな感じで。



   かなり満開。



 しかし、この週末の雨と強風のため(今も相当強い風が吹きまくっております)、



結構散ってます・・・。



 この週末にお花見を計画していた人たち、多そう。 大変残念な感じです。



 そしてあたしは休みをいいことにひきこもり、インドアライフを満喫中。


posted by かしこん at 12:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 季節のこと/街の中の自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月05日

今日は4冊



 不思議なもので、午前中〜昼間は不調でも、夕方〜夜にかけてならなんとなく元気に



なってくる。 夜型人間だから? それとも、誰しもそんなもの?



 めでたく週末なので、本屋さんにジャン・コクトーを探しに行く。



 『おそるべき親たち』の戯曲は邦訳されていないか、されていても全集に収録されて



いる程度で、簡単に手に入るものではないだろう。 となると結局、手に入れやすいのは



『恐るべき子供たち』か?



   恐るべき子供たち/ジャン・コクトー



 出版社によって様々なヴァージョンが存在するので、読んだことがないやつを、と光文社



古典新訳文庫からセレクトしてみた。



   フラニーとズーイ/J.D.サリンジャー



 えっ、『フラニーとゾーイ(もしくはゾーイー)』じゃないんだ!



 翻訳者を見れば村上春樹である・・・なるほど、実際の発音はこちらに近いですよ、の



パターンか。 小説の作者としてはあたしは村上春樹をそれほど評価していないけど、



翻訳者としては結構いいと思っているので・・・買ってみますよ。



   野沢尚のミステリードラマは眠らない/野沢尚



 おぉ、まさか今頃野沢尚の新刊が出る日がこようとは!



 <没後10年、待望の文庫化>だそうである・・・もうそんなにたったの?



 内容としては“シナリオ指南”な感じですが、あたしはエッセイ集として読みます。



   演奏しない軽音部と4枚のCD/高木敦史



 知らない作者の方ですが、帯にあるコピー<“聴く専門”軽音部員と“読む専門”文芸部員



彼と私に真相は聴こえるか?>にちょっとひかれた。



 高校のとき、もしもあたしが軽音部員だったならやはり聴く専門だっただろうし、文芸部員



であってもまたしかり。 そんなありえなかった過去に対する郷愁みたいなもの?が刺激



されたというか。 久し振りに青春ミステリが読みたい気分になったから。


posted by かしこん at 07:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月04日

はるのあらし



 木曜の夜、帰る頃にはぱらぱらと雨が降り始めていたけれど、その後、あんなに



大荒れになるとは思っておらず・・・。



 夜中あたりから、猛烈な頭痛とめまい。 とても起きてはいられないほど。



 急激な気圧の変化による偏頭痛と思われるが・・・これはもう寝るしかない。



 と、早々に寝るが・・・すると今度は起きられない(目は覚めて意識はあるが、身体が



動かない)。 本来起きる時間になっても起きれず、ほんとにぎりぎりでなんとか起きて、



ふらふらになりながら仕事に行く。



 風がまた冷たくて、結構咲いている桜を容赦なく散り飛ばしていた。



 そんなわけで、今日の朝はパソコンを開けませんでした。


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2014年04月03日

それでも夜は明ける/12 YEARS A SLAVE

 ようやっと見に行けば、アカデミー賞ブームはいささか去った感じ・・・ま、そのほうが、ゆっくり見れてありがたいですが(でも映画館の経営的には大丈夫か、とつい心配する)。
 アメリカ南部の綿花農園で12年間も奴隷生活を強いられたある黒人男性の実話を元にした手記の映画化、という本年度アカデミー賞作品賞受賞作。
 1841年、アメリカ北部で<自由黒人>というライセンスを持つヴァイオリニストのソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、差別と関係なく家族とともに幸せに暮らしていたが、ある日、奴隷商人の罠にはまり、南部の綿花農家に売り飛ばされてしまう。 それから始まる12年間の苦悩と苦痛の日々・・・という話。

  それでも夜は明けるP.jpg あきらめない。

 なにしろ『アミスタッド』的な奴隷制度をイメージしていると肩すかしをくらう。 むしろ“自由黒人”という“白人でも黒人でもないもの”という異物感が、「いわゆる人種差別もの」というジャンルに収まってほしくない意図とか、固定化された加害者と被害者という位置づけもひっくり返したい気持ちとか、いろんなものを連れてくる。
 なので農場でソロモンがひどく折檻された後、同じ黒人奴隷である他の人たちが誰ひとり助けようとしない・・・というのがソロモンの立場の曖昧さの象徴でもあり、なにをしても自分に跳ね返ってくるとわかっている奴隷側の恐怖と保身とあきらめをいやというほど伝えてくる(冒頭、奴隷たちに草刈り鎌を平然と与えて使わせているのを見て、「あ、白人たちは反乱を恐れていない」と驚いたし)。 自らの賢さを押し隠し、命じられたことをこなすだけの日々。 これを、今のブラック企業や労働者たちのこと(権力者とイエスマンしか残らない状況とか)と比較するのはなんだかレベルが違いますか。

  それでも夜は明ける4.jpg でも直接対話はできる。

 悪辣そのものと言える農場主のエップス(マイケル・ファスベンダー)は絵に描いたような人種差別主義者だけれど、奴隷の小娘(ルピタ・ニョンゴ)への執着を愛だと認めたくない苦悩が、「被害者だけでなく、差別する加害者の心をもまた破壊する人種差別そのものが悪である」という監督の最も言いたいことをあらわしていると思うんだけど、それを読み取るまでにこっちの精神も消耗します・・・。
 そんなわけで大変へヴィな内容で、「ポール・ダノは『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』もそうだけど、なんだか南部が似合うなぁ」とか、「おや、ベネディクト・カンバーバッチったら、イギリス映画『アメイジンググレイス』では奴隷制度廃止法案に動く首相だったのに(かっこよかった!)、こっちでは自分の主義主張を貫き通せないよわっちい農場主かい! でも時代がかった衣装が似合うなぁ」などと心の中で気分転換をしないと身がもたない。
 ラストシーンも美しいけれど全然ハッピーで終わらない・・・ソロモンは自由になるけれど(ブラッド・ピット、一人でおいしいところを持っていき過ぎ!)、奴隷制度が廃止になるわけではない・・・リンカーンの宣言まで、まだ何年かあるから。
 どよーんと気分が重たくなっても、忘れ難い映画としてプラスの印象になってオールタイムベストに入れたくなる作品もあるが(あたしにとっては『カティンの森』のような)、なんだかこの映画はちょっと違うかな・・・なんでだろう。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 06:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月02日

Viva! 古本屋!

 図書館から地味に借りて地道に読んでいるピーター・ロビンスンの“主席警部アラン・バンクス”シリーズですが、神戸市の図書館には実は一冊だけ、邦訳本が所蔵されていない・・・ということは調べ始めたときからわかっていたのですが、だんだん読み進めていくうちに、「残りあと3作!」となってきて・・・行方不明の一冊を探したい気持ちが強くなってきました(で、運よく見つかったら図書館に寄贈すれば、このシリーズ読みたい人が全部読めるではないか)。
 そんなわけで、古本屋をうろうろする機会も増えてきたのですが・・・ついに、発見!

  バンクス08誰もが戻れない.jpg 誰もが戻れない/ピーター・ロビンスン
 アラン・バンクスシリーズの8作目にして、邦訳としては6作目。 ここから版元が東京創元社から講談社に変わっていますが、この作品がアーサー・エリス賞を獲ったので(これ以降もCWC賞最優秀長編賞も受賞)、多分翻訳権が値上がりしたものと・・・東京創元社としても売れ行きはいまいちだったのであろうか(訳者の方は途中で改名されていますがずっと同じ)。 翻訳事情がわかってくる悲しさって、あるなぁ。
 結構な厚さですが(650ページ越え!)、一冊にしているのはえらい! 奥付を見たら2001年11月発行でした。 12年以上たってるけど、古本でしか見つけられないのね・・・(そのわりに状態はよかったです。 定価¥1140のところ、¥300)。
 ほほほほほ、と気をよくして他の棚を見れば、小林弘利を発見!

  小林弘利ー月が.jpg 月が魔法をかけた夜/小林弘利
 集英社コバルト文庫ですよ・・・な、懐かしすぎる。
 奥付を見れば昭和60年(1985年)12月。 消費税の記載がないんだけど・・・まだこの頃って導入されてなかった? それとも込み表示だった? というか、リアルタイムでこのへんは読んでいるのですが・・・あたし、いくつ?! まぁ、コバルトは小学生から読んでいたからなぁ。
 小林弘利作品としてはこれがベストではないのですが(しかも実家には全部あるというのに、実家の人が「よくわからない・本多すぎてめんどくさい」ということで送ってもらえない・・・段ボール箱にしまっているわけではなくて、本棚に並んでいるのですけれど、部屋の壁二面が全部本棚なので確かにわかってないと探すの大変かも)、とりあえず手元に一冊でも置いておきたいよ!、ということで購入。 ¥150(定価は¥320)。
 どうせならこのあたりを電子書籍にしてほしいんだけどな〜。
 出版不況を支えようと、できるかぎり本は書店で定価で買うつもりでおりますが、やっぱり古本屋さんは、ありがたい。

ラベル:海外ミステリ
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2014年04月01日

万能細胞はいずこへ

 今日、理化学研究所が会見を開くということで、NHK総合の10:25〜の番組を予約録画した。 帰宅後、見る。
 ・・・なんだ、これは。
 なんと言ったらいいのでしょうか・・・でもそんな言葉しか出てこない。
 あたしはちょっと理系にいたことがあるのですが、そんなちょっとしか足を踏み入れていないあたしから見ても、論外としか言いようがない(そんな厳密さにあたしは耐えられないと感じたからこそしっぽを巻いて逃げだしたのに)。
 「条件の違いを認識せずに利用した」って、なに? そんなことありえない!
 「細胞の作られる過程、実験条件の違いを認識していなかった」とは? なんの実験をしてるかわかってたのか?!、と大学の研究室だったら先輩や先生方にツッコミ倒されるよ。
 反論もまた・・・「見やすい写真を示したいという考えから」切り貼りした(しかもそのことを悪いと思ってなかったみたいだが)って、そういうときは撮り直すんですよ! 撮り直しのために実験をやり直すのも当たり前(復元実験ができないならばどこかに自分の誤りがあるということ)。 3年で実験ノート2冊とか、どんだけ厚いノートなの?!
 まぁ、報道されている範囲では、研究者としては大学3年生以下としか思えないんですけど・・・それとも、理論生物学というジャンルで生きていらっしゃるのか? 納得のいく、ご本人の反論を待ちたいと思います。
 理化学研究所って憧れの職場だったんだけど(そこで働きたいということではなくて、学生たちの指導をしないけど大学のようにのびのび研究できる環境がある、という意味で)、学生たちのゼミや中間発表会などが相互チェック機能として働いていて、むしろ大学のほうが有効なんじゃないの?、と思ってしまった(勿論、大学や研究室、学生のレベルによって変わるんでしょうけど)。
 あー、最初の発表のとき「STAP細胞、すごい!」と素直に盛り上がれなかったんだけど、そういう何かを感じていたのかしら(リケジョというものに対して間違った認識を広めそうなマスコミへの懸念のせいかと思っていた。 というか“リケジョ”ってなによ、みたいな)。
 まぁ、いちばん大事なのはSTAP細胞が存在するかどうか、です。
 でもこんな形で泥を塗られてしまっては、信頼の回復にも時間がかかるよ・・・その結果、再生医療が進めばいいんですけどね。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題・ニュースに思うこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする