2014年02月19日

ジェイコブを守るため/ウィリアム・ランデイ



 結構時間かけずにすんなり読めそうだと思っていたはずが、DVDを見つける前に



『銀河英雄伝説』の文庫版(全10冊)を見つけてしまい、ついそっちを読んでしまって



2日ロスしたのでした(DVDでアニメ版を見始めてしまったらそれはそれで時間を取られる



のは必定)。



 語り手はマサチューセッツ州地区検事補のアンディ・バーバー。 14歳の少年が公園で



何者かに殺害された事件を担当するが、なんと被害者の同級生であるアンディの息子



ジェイコブが容疑者として逮捕される。 職を解かれても息子の無実を信じるアンディは、



これまでの経験を踏まえて裁判で証人として出廷する。



   原題はそのまま、“Defending Jacob”



 一人称“わたし”の語りとはいえ、アンディはいわゆる<信用できない語り手>。



 親だから、と息子を信じる気持ちはわかるが、なんか度を越えていないか・・・と思うことも



しばしば(たとえば刑事裁判における誤審率は、一般に思われているよりもずっと高いから、



警察や検察が証拠を少しのミスもなく扱うとは限らないから、という理由でアンディは警察の



家宅捜索前にジェイコブの部屋をあらためている。 不利な証拠があれば隠すつもりで)。



回想という形をとっているので、「あの頃はそれが正しいと思っていたが、今となっては



わからない」的な悔恨が時折挿入されるのも曲者。



 ただ不思議なのは、アンディがジェイコブに対して「やったのはおまえなのか」と一度も



直接聞かないこと。 息子が犯人なわけがないのだから聞く必要はない、とアンディは



考えているようだが、そこではっきり否定してもらえれば信じる根拠になるのでは?



それとも、それは口に出してしまったら親子関係が壊れてしまう言葉なのか?



 裁判過程で真実が明らかにされる法廷劇かと思ったら、どこまでもグレイゾーンのまま。



これって、イヤミス(読んでイヤな気持ちになるミステリ)じゃないか!



 息子に対して、この物語では父親と母親がまったく違う反応を見せるのが興味深かった



です。 日本では<母と息子>のほうが題材にされやすい感があるけど、アメリカでは



<父と息子>なんですかね。



 実は全編を通して大きな叙述トリックがあるのだけれど、微妙にフェアではないので



トリックとは言い切れないかも? ミステリというよりも、家族の物語という感じ。 アンディの



一家がもし三人暮らしでなければ(ジェイコブにきょうだいがいるか、アンディの妻ローリーの



父母でもいれば)、また違う展開になったかもしれない・・・と思うと、子供がどんどん独立



するのがアメリカでは当たり前だけど、核家族化はある意味限界に来ているのかもなぁ、と



思ったりもした。


posted by かしこん at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする