2014年02月12日

図書館の魔女/高田大介



 図書館から「予約図書の準備ができました」とメールが入り、早速マイページで確認して



みれば『図書館の魔女』下巻なのであった。 いや、下巻が先に来られても・・・と訝しみ



つついつもの図書館のカウンターに出向けば、「下巻の連絡行っちゃったんですよね、



すみませんでした」と謝られてしまう。 本来、上巻から先に貸すものなので、上巻だけが



先に届いたら(上下巻揃ってなくとも)連絡することになっているのだが、手違いでメールを



送ってしまった。 上巻が届くまで下巻はこちらが預かります(つまり「予約図書の準備が



できました」メール連絡後7開館日のうちに取りに行かないと流れます、のルールは適応



されない)、とのこと。 それはありがたいんですけど、てことは上下巻が一気に来るという



ことですよね! 予約が詰まっているから延長できないんですよね! 2週間で読まないと



いけないんですよね! 結構厚いですよ、これ。



 数日後、上巻の準備ができましたと知らせがあり、取りに行きました。



   第45回メフィスト賞受賞作。



 メフィスト賞に別にこだわりはないのですが、昨年末の年間ランキング時に翻訳家の



大森望さんがこれを褒めていたような記憶が。 それにタイトル自体も何の変哲もないようで



いて、微妙に気になる感じ。 しかし上巻650ページ強、下巻800ページという長さです!



二週間以内に読まねば、というプレッシャーに押しつぶされそうに。



 しかし読み始めてみると、山中の鍛冶の里の描写。 タイトルからのイメージは、それこそ



『ゲド戦記2 こわれた腕環』の巫女さんみたいな感じだったのですが、ハイファンタジーの



世界とはいえ語り口がなんだか昔の日本っぽい(それは現在視点による地の文の語り手の



せいでもあるのだが)。 なので荻原規子上橋菜穂子作品が連想されたり。



 メインキャラクターと思しき少年の名がキリヒトなので手塚治虫も浮かぶし、一の谷という



国名・各地から集めた書物を保管する史上最古の図書館である“高い塔”の存在などは



『指輪物語』のエルフのようだし、その図書館の管理者は古今東西の書物に通じ、あらゆる



知識を網羅しているが故に“魔女”と呼ばれるが、その実態はまだ少女といってもいいほどの



若さで、更に口がきけないとか、いろんな物語の要素が混ざっていますよ!、な感じ。



 でもその<いろんな物語>は、読者によって、これまでどんな本を読んできたかによって



感じ方が違うんだろうなぁ、と思わせるもので、決して不愉快ではない。 序盤からかなりの



枚数を費やして「言葉とは、文字とは、いったいなんなのか」について語られるのは、ある



意味<本読みの至福>と言ってもいいくらい。



 では抽象論中心なのかといえばさにあらず、上巻後半で図書館の魔女・マツリカへの二人



(二匹?)の刺客が出現してからは物語は一気に加速して怒涛の展開。 次なる刺客は



暗示を利用する傀儡師(しかも名前は“双子座”!)だったりして江戸川乱歩栗本薫



連想しますよ。 しかも双子座の正体についてはさりげなくヒントをばらまき、ミステリ的にも



フェアであるという・・・。



 才能はあるが口が悪い女子と、それをサポートする実直な男子、という組み合わせ的には



遠藤淑子でもあるし、様々な立場の人々が集まって結果的に心を一つにしていくあたりは



『南総里見八犬伝』にも通じるものが(そこまで人は死にませんけど)。 他にも思い出した



ものはいっぱいあるんですけどね、きりがないのと、やっぱり読んだ人によって思い出す



ものが違うと思うから。



 国と国との戦い(内乱も含む)・資源の争いが物語の背景にはありますが、たとえば



『氷と炎の歌』ほどハードでもドライでもなく、むしろ言葉や知恵の力で争い事を未然に



防ごうとする話なので(登場人物が結構な怪我をする描写があるけど大概寝込んだ後は



快方に向かう)、読者にも負担が少ないのはいいですね。



 あー、面白かった。



 めでたく10日ほどで読み終えました。 今日、図書館に返却します!


posted by かしこん at 06:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする