2014年02月04日

破滅の美学/笠原和夫

 先日から盛り上がりが続いている『仁義なき戦い』シリーズの脚本家・笠原和夫氏のエッセイ集を図書館から借りだす(買ってもよかったのだが、本は既に絶版であった)。
 ほんとは『仁義なき戦い 創作ノート』というのも読みたいのだが、神戸市の図書館には置いていなかった・・・以前はあったのかもしれないけど、置き場所の問題もあるのか結構破棄されている本もあると聞くし。
 内容としては、映画の取材のためにいろいろ聞いたやくざの方々のエピソード(映画に使ったものもあるし、使えなかったものも)、当時の東映の映画づくりの話などなどが織り交ぜられている。

  笠原和夫滅びの美学.jpg ヤクザ映画への鎮魂歌(レクイエム)、とサブタイトルあり。

 『仁義なき戦い』以前から『日本任俠伝』など様々なやくざ映画の脚本を書いてきたが、いまいち評価されないので余計意地になってしまったこと、しかしやくざ映画にはある程度定型があり、それから逃れようとするも会社の意向には勝てずに苦しんだことなどなど、勿論創作の世界で生きている方々にはよくあることなのだろうけれど、ある程度の時代を経ているということもあり説得力が並大抵ではない。
 若山富三郎・勝新太郎兄弟にケンカで勝てるものはいなかった(映画界に入る前の話)、若手では渡瀬恒彦が強いらしい(あくまで噂として)、目つきの悪さでスターになったのは後にも先にも高倉健だけ、藤純子が結婚・引退を決めたときは「もっとこんな役をやらせたかったのに」と泣くスタッフ続出、など、あたしからしたら大物である以上のことは知らない方々の話にはびっくりすることばかりであった(高倉健がかつてプロボクサーだったなんて聞いたこともないし!)。
 それに加えて壮絶すぎる生き方のヤクザの方々の話には、「江戸時代ですか?」ぐらいのジェネレーションギャップを感じるほど“遠い世界”。 この勢いで一般人が巻き込まれたらそりゃー大変だ、ではあるけれど、その時代には彼らはそれしか選ぶ道はなかった(たとえ本人たちもそれが茨の道と知っていても)、というのがなんだか悲しいのである。
 著者も、個人的にはやくざも任侠も嫌いだと公言しているが、ヤクザな稼業の方々一人一人に会って話してみると魅力的な人物が多いと書いてある。 どんな世界でもひとかどの人物とはそういうものなのだろう。 それは著者の語り口にも感じることなのだが。
 戦中・戦後を知っている人の重み、というのもあるなぁ。 でもそれを踏まえて、知らないままで済ませたいこともありますが。
 とても面白かった。 もっと読みたいな・・・(古本屋巡りであろうか)。

ラベル:エッセイ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする