2014年01月08日

天冥の標U−救世群/小川一水



 結局、読んでしまいました・・・。



 時代は一気に遡って西暦201X年、舞台は現代の地球。 国立感染症研究所所属の



医師である児玉圭伍と矢来華奈子は、謎の疫病が発生したとの知らせにパラオへと出発。



二人の目の前に横たわるのは、肌が赤く爛れた上に目のまわりに黒斑が出た、世界各国



からのリゾート客たちの無残な姿。 大半が死体となっていたが、わずかに息がある人々も



二人や少し遅れて駆けつけてきたWHOの医師たちの懸命な治療にもかかわらず次々に



死んでいく。 何が感染源なのか? 勿論治療法もわからないまま、この疾病は世界各地で



パンデミックを引き起こす・・・。



   あぁ、この表紙は野戦病院がモチーフだったか。



 シリーズに関係なく、これ一冊単独で“疫病パンデミックもの”としても読めるのでSFが



苦手な方にもお薦め。 川端裕人『エピデミック』との比較も一興。 しかし『T−メニー・



メニー・シープ』
を先に読んでいれば出てくる言葉に「あ、あれだ!」と気づくことができる



からより面白い。 ここから宇宙叙事詩が始まるというか、人類の大きな変換点なのだと



思うとほんとに何がきっかけになるかわからないものです。 この疾病は通称“冥王斑”と



名づけられるが・・・そこもタイトルにかかってますか?



 もし、現代の日本で致死率の高い伝染病がアウトブレイクしたら・・・という仮定のリアルな



提示になっていることも結構おそろしい。 何年か前にあったSARSや新型インフルエンザの



ときの騒ぎどころの話じゃないことは想像に難くないよ・・・(マスクをしている人・していない



人との違い、咳き込んでいる人への殺意のような視線など、あの排他的な空気ははっきり



覚えている)。



 そんな中でもあたしは、冥王斑のキャリアとなってしまった(感染してからくも回復したが、



ウィルスが体内から消えないので隔離されてしまう)女子高生・千茅と、学校でのお互いの



印象は最悪だったのに、結果的に彼女といちばんの友人になる青葉との友情に泣いて



しまった(女の友情に弱いあたし)。 青葉は感染していないので、二人の気持ちだけでは



どうにもならない事態が発生するんだろうなぁという予感もまた涙を誘う(実際、その通りに



なったし)。



 あぁ、ここで人類という種の欠陥があらわになって、いろいろ変遷を辿るのだろうにまた



『メニー・メニー・シープ』で同じような問題に突き当たるのか・・・。



 それってなんだか、人類が滅亡することよりも絶望的な感じがする。



 そして早速、第三部にも手をつけてしまいました・・・次の舞台は西暦2310年ですよ。



 やはり登場人物には感情移入してはいけないらしい。


posted by かしこん at 07:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする