2013年10月15日

エリジウム/ELYSIUM



 『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督の新作、しかもジョディ・フォスターが出る!、



ということで期待の一作。



 2154年の地球は荒廃しきっており、富裕層はさっさと地球を脱出して建設したスペース



コロニー“エリジウム”で老いも病も苦労もない生活を送っているが、地球上に残された



貧困層が富裕層のために苦しみ、搾取され続けている。



 そのひとりであるマックス(マット・デイモン)は金をためてエリジウムに移住することを



夢見ているが、働いている工場の事故で人間には有害な光線を浴びてしまい、臓器不全に



陥って死に至るまでにあと5日、と診断される。 エリジウムに行って医療ポッドに入れば



どんな病も完治すると、彼はエリジウムへの不法侵入など裏稼業を一手に引き受けている



スパイダー(ワグネル・モウラ)とある取引をする。



 一方のエリジウムでは、地球からの不法移民の多さに耐えかねて防衛長官のローズ・



デラコート(ジョディ・フォスター)が、他の閣僚の反対を無視して強硬手段に出ようとして



いた・・・という話。



   彼の余命は、あと5日――。



 マックスたちのいる地球はロサンゼルスという設定であるが、ほとんど『第9地区』



スラム街とまったく変わりがないように見える。 が、防衛長官の手先で地球にいる秘密



工作員クルーガー(シャールト・コプリー)が日本刀を振り回していたりするので(のちに



手裏剣も出してきます)、「これって日本を揶揄してる話?」とドキドキする。



 地球からこっそりやってくる貧困層(エリジウムに籍があるものは市民として登録されて



いて、それ以外は不法移民という位置づけになる)に対して皆殺しも辞さない防衛長官と、



「来た者たちは全員捕まえて、また地球に送り返せばいいだけではないか」と長官を非難



する平和ボケの議会のみなさん。 やつらはこれまでとは違う、本気で撃退しなければ



こちらも危ないと考える長官の危機感は誰にも伝わらず、結局クルーガーに抹殺許可を



与えることに。 そんな危ない任務をよろこんでやるクルーガーは勿論人格者ではない



ので、のちにいろいろあった結果、暴走・・・これって、エリジウム議会側は左翼と呼ばれる



方々と平和ボケという名の思考放棄した一般人を、長官側はいわゆるネット右翼と言われる



過激な国粋主義思想の人? マックスが浴びたのも要は放射線みたいなもんだよね・・・



となるとつい過敏反応してしまう小心者の日本人です。 まぁ、南アフリカ人という監督の



出自から考えれば、役立たずな議会は国連なのかな、というのが妥当な推測と思われるが



(そして左側と右側の人の対立というのはどの国にも見られる現象なわけで、そういうことに



いちいち「日本のことか?!」と反応してしまうのは、いかに日本が以前はのほほんとして



いた国だったかという証拠のような気がする)。



   ジョディの服はすべてジョルジォ・アルマーニ!



 とはいえ、ジョディ・フォスターの出番は意外にあっさりで、ちょっとがっかり。



 メインは、マックスとクルーガーによる泥臭い戦いっぷりである。



 神経に機械を接続する、ってところが『マトリックス』っぽくもあり、自分自身をパワード



スーツ化するところはひとりガンダムって感じ。



   臓器不全状態なのに動きまわれるのは、

      痛みを感じさせないのかぎりぎりまで身体をもたせるのか原理はわかりませんが、

      そういう内服薬のおかげです。



 富裕層対貧困層、という構造を中心に掲げておきつつも、主に描かれているのは貧困層の



人々の(いろんな意味で)イキイキとした、図々しいまでに生きることに執着する“希望”の



輝き。 だからこそ、エリジウムの人々はすべてに満たされていて、バカっぽい。



 監督がSF設定使っても描きたかったのはそれか・・・と思うと、『第9地区』と実は同じ話



ではないだろうか。 ま、そんな予感はしてたんだけど。



 マット・デイモンは今回もヒーローでした。


posted by かしこん at 05:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする