2013年09月18日

サイド・エフェクト/SIDE EFFECTS



 スティーヴン・ソダーバーグによる劇映画最後の作品、というセンセーショナルな



話題作かと思いきや、なんだかひっそり公開されているのは何故? 油断してたら



すぐ終わっちゃうぞ!、とレイトショーにもなっていないしレディースデイも無理だった



ので、ポイント利用で鑑賞した。



 予告の印象では、新薬と薬害の問題を扱う社会派サスペンスっぽかったのだが、



その実、驚くほどの本格ミステリであった。 しかもヒッチコック風味、なれど隠しきれない



ソダーバーグ味。



   事件に潜む、もう一つの副作用<サイド・エフェクト>

            一粒の薬が、あなたの人生を変える。



 有能な金融マンであった夫マーティン(チャニング・テイタム)がインサイダー取引で



逮捕され、一人きりになり生活環境が激変した妻のエミリー(ルーニー・マーラ)はその



ショックでうつ病に。 数年後マーティンが出所してきたが、彼に反省の様子はなく、



これまでの生活を取り戻そうとする態度に、エミリーは強い不安を抱き、自殺未遂を



引き起こすようになった。 救急病院に運び込まれ、たまたま当番医であったために



主治医となった精神科医のバンクス(ジュード・ロウ)は、夫の出所前まで彼女を診ていた



シーバート博士(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)に連絡を取る。



 どの薬も効かない、と訴えるエミリーに、シーバート博士の助言をもとに抗鬱剤の新薬



アブリクサを処方する。 途端に調子がよくなったというエミリーは、当たり前の日常を



手に入れたよろこびから過剰摂取に走るように・・・彼女の異常行動は、新薬の副作用の



せいなのか。 だとしたら精神科医は責任を取らされる。



 冒頭のカットから、不吉な予兆でいっぱい。 それがある事件を先回りして見せてくれて



いるのだけれど、その日に至るまでとその日、そしてそのあととこの映画自体が大きく



3つのパターンにわかれていて、それぞれにまた細部が詰められている。 ものすごく



構成がしっかりした映画になっている。 ただ、うつ病や抗うつ薬に多少なりとも知識が



あればいろいろおかしいところはわかるので(そこはネタバレ要素になりますが)、それ



故にジュード・ロウなにやってるのか!、とツッコミ倒したくなります。



   追い込む人より追い込まれる方が似合う!



 うろたえ、怯え、自棄になって反撃するジュード・ロウは光ってます(まさに「倍返しだ!」



的内容なのですが、半沢さんと違うのはドクター・バンクスには仕事に掲げた理想がない



から爽快感がないのです。 でもそれが普通の人ってことなんだろうな)。



 それにしてもルーニー・マーラは『ドラゴン・タトゥーの女』に引き続き、まったくタイプの



違うファム・ファタルを熱演! そういう役以外来なくなるのでは・・・と心配になるほどです。



薬を服用した後の眠そうな目がすごい!



   なんともいえないけだるさ。



 ちょっと精神的にあやういですか?、と自然に思わせるというか、そういう姿が似合って



いるというか。 すでに『ソーシャル・ネットワーク』のときの彼女の姿が懐かしく思えて



きてます。 まぁ、バンクス博士は振り回されてしまうわよね、と納得。



 チャニング・テイタムは特に好みではないのでどうでもいいですが(ひどい)、芸達者の



中にいて浮いていなかったのはよかったです。 マーティンのように「資産をより多く持つ



者が人生を謳歌する」という考え方には賛同できませんが、こんなやついるだろうなぁ、



と思わせるには十分。 というか君がエミリーと結婚したのがそもそも問題のきっかけ



なのだよ(そしてそれを受け入れてしまったエミリーの側にも非はあるが、だからどっちも



どっちである)。



 それよりも、出番は多くないながら強烈な印象を残すのはキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。



   他人の心を救済することに疲れ果てている、

                          精神科医。



 キャサリン・ゼタ・ジョーンズ本人もプライヴェートでうつ病になったと聞いたような気が



するが・・・この役を引き受けることはチャレンジングだっただろうなぁ。 『トラフィック』



こともあるから断りたくなかったろうし、多分彼女の性格上、この仕事を断るとは逃げる



ことになると思ったのかもしれない。 そういう気の強さ、好きです!



 そのせいなのか、シーバート博士には彼女が演じてきたこれまでのどの役よりも影が



あり、持ち前の華やかさも封印されていて逆にドキドキする。



 ダークでざらざらとした食感を感じさせる映像といい、必要以上なことを語らない省略法



といい、インディペンデンス時代からの手法で実力派俳優たちのアンサンブルを撮る。



 あたしがソダーバーグに求めているものって、それかも。



 そういう意味では、結構満足でした!



 劇場用映画から手を引いても、規制の少ないケーブルテレビでドラマをつくりたいという



意向は見せているので、WOWOWプライムで是非またお会いしたいものです。


posted by かしこん at 07:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする