2013年09月17日

極夜−カーモス−/ジェイムズ・トンプソン

 とりあえず、こういうタイトルや表紙に弱いあたし。
 フィンランドを舞台にしたミステリーなれど、これまでいろいろ読んできた北欧ものとはどこか雰囲気が違う。 そもそも原題が『SNOW ANGEL』だ。 奥付見たら出版社はニューヨークになっており、作者はアメリカ出身で現在フィンランド在住。
 主人公はフィンランドのラップランド地方にあるキッティラという町の警察署長だが(奥さんがアメリカ人という設定)、多分英語圏の人たちにフィンランドの地方色を紹介する役目も担っているからであろう、一人称“俺”形式で進むのも相まって、なんとなくアメリカの犯罪小説(警察小説?)を読んでいる気分になった。
 タイトル通り、気象条件はまさに北欧そのものなんだけどね。

  カーモス極夜.jpg あぁ、なんだか懐かしい光景・・・。

 北欧ミステリブームの中でも、フィンランドの作品の翻訳は手薄。 それとこれは単なるあたしの知識の少なさのせいだが、近距離で接している北欧諸国がそれぞれの言語と文化を持ちつつ融合しないという頑固さと堅実さが面白くて、「えーっ、フィンランドってそんな感じなの?!」といろんなことが新鮮だ。 寒さよりも冬場に太陽が出ないことの方が精神的にきつい、というのは北極圏に近い地域の国々からよく聞かれるが・・・むしろあたしは憧れるんだけど(あたしには太陽サンサンのほうがきついです)。
 でも冬の3ヶ月以上住まないと実感はできないんだろうなぁ。
 キッティラで起きたことのない無残な殺人事件が発生。 被害者の人間関係から犯人はすぐに判明すると思われたが、新たなる死体が次々出現して事件は思わぬ方向に・・・という話。 海外物にはめずらしく400ページ以内の厚さということもあり、テンポよく読めましたが・・・内容の重さというかなんというかはテンポとかの問題ではなく。 でもどこかとってつけた感があるような気がするのは、社会派テーマを入れるならヘニング・マンケルくらいの重厚さが(内容も、厚さも)必要だとこちらが思ってしまっているからだろうか。
 実際、日本に紹介される北欧ミステリは長編多いしね。
 今作の主人公である警察署長カラ・ヴァーラは事件のためにかなりプライベートも自分の過去も仲間も犠牲にした。 本来シリーズ三作ぐらいで抱えるべき重荷だからシリーズ化はきついだろう・・・と思っていたらなんとシリーズ化しているそうである!
 作者、なんてタフなんだ! そこはアメリカ的だ!

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする