先日購入した『つぎはぎプラネット』を読んでいる。
「ブラックホール まさかあなたが お持ちとは」のオリジナルがここだったなんて!
しかし前半は児童向け雑誌に書かれたものや『宇宙塵』に寄稿された初期作品(改行
少ない!)が中心で、どうもいつもの<星新一を読んでる感じ>が自分の中から出て
こない。 後半はいつもの感じが滲んできますけどね。

やはり本にするときには著者は細部に手を入れ、一冊としてのバランスなども考えて
編集されていたんだろう。 その気遣いが(編集した他の人の努力は十分感じられるの
だが)、ここにはない。 少なくともそれは星新一の気配りではない。
なんだかものすごくかなしくなって・・・自分が初めて読んだ星新一本はなんだったか
思い出してみる。 思い出すまでもなく、覚えているんだけどさ。

あたしが買ったのは講談社文庫だったと思うけど、いつの間にやら新潮文庫にも収め
られていたのでそっちを購入してみた。 しばらくぶりに見たら字がおっきいよ!(だから
分厚く感じたのね)

何回も読んでいる本なのに、だいたい話も覚えているのに、「これだよ、これ!」と盛り
上がってしまうのは何故なのか。 「ダイヤルを回す」といった表現のちょっとした古さは
仕方がないが、それ以外は特に問題なし。 むしろ不景気な世の中になってきて、一周
(以上?)まわって星新一ショートショート世界が現実にまた近づいている感じがする。
で、どうやらあたしは、「濡れ手で粟的なうまい話には裏があるから手を出すな」とか、
「安易に金を儲けようとするのは浅はかだ」といった考え方を複数のエヌ氏の一連の
行動から学んでしまっていたようなのだ・・・(小学5年生前後からなのでね、その影響を
今になって気づきましたよ)。
『殺し屋ですのよ』もいいが、『逃走の道』も素晴らしい。 『危険な年代』なんて当時
思っていた以上にブラックだ! 『昇進』は社会人になってみてわかる納得度!

ついでに勢いでこっちにも手を伸ばしてしまった。 ニヤニヤしてしまう・・・やばい、
全部揃え直すことになってしまうかも・・・。