2013年09月03日

外科医/テス・ジェリッツェン

 海外ドラマ『リゾーリ&アイルズ』に原作があることは知っていたが(オープニングにテロップが出るから)、邦訳が出ていたことは知りませんでした・・・。 しかも版元は文春文庫で2003年! あたしがチェックを怠っていた時期です。
 とはいえ原作といっても主役は違う。 リゾーリ刑事はあくまで脇役、アイルズ先生に至っては登場してもいない! そんなわけで「小説世界を再構築してドラマという新しい世界をつくりました」の手順例を見ているような気に、読みながらなっていた。 なんたってドラマはもうシーズン3見始めてますからね、あたし。
 ボストンにて連続猟奇殺人事件が発生。 いつしかマスコミから“外科医”と呼ばれるようになった犯人だが、数年前に違う都市で同じような手口の犯行があって関連性を指摘されるが、その犯人は被害者に射殺されていた。 その犯人と“外科医”にはつながりがあるのか? 警察が決め手を欠いている間に、“外科医”は真のターゲットである生き残った被害者に狙いを定めていて・・・という話。

  R&I−01.jpg この表紙はちょっと買いにくいですよ。

 ストーリーはムーア刑事と、生き残りの被害者でありながら現在も外傷外科医として働くキャサリンのロマンス部分も必要最小限に描いている。 リゾーリと相棒のバリー・フロスト、リゾーリの母と弟のフランキーなどドラマでお馴染みのキャラクターがすでに顔を出しており、できるかぎりの設定はそのまま持ち込んでいるんだな、とわかってうれしい。
 となると“外科医”はジェーン・リゾーリの宿敵となるあいつか・・・とわかってしまいますが、ドラマではリゾーリのトラウマとなる事件ということであまり多くは語られない(2シーズンかけて小出しにされる)内容の背景をこれ一冊で読みとれるというのはお得?かも。
 そうなるとムーア刑事はドラマには出てこないけれど、このキャラクターの延長線上にコーサック刑事が生まれたと考えればいいのだろうか(原作は二作目でリゾーリが主役になっているっぽいので、また新たな登場人物がいるのかもしれませんが)。
 と、すっかりドラマ寄りの気持ちで読んでしまいましたが、それがなくとも作者は内科医のキャリアの持ち主なので、キャサリンの治療の描写など迫力あったし、犯人の異常性と意外性は海外ミステリとしては水準作と言えるでしょう。
 むしろキャラクターがよく描かれているので、ドラマ化したくなった人の気持ちがわかるなぁ、という感じ。
 二作目も手に入れて読もうかなぁ、と思ったところに、バリー・フロスト役の俳優さんが自殺したとのニュースが飛び込んできた。 29歳、拳銃自殺とな。 そんなことをしそうな人には見えなかったのに(あくまでドラマからのイメージですが)。 シーズン5、これから制作だと聞いたが・・・。 これも銃社会の弊害、なのだろうか。
 かなしすぎる。 フロストはいい人なのに。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 06:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする