2013年09月15日

悪天候と頭痛は、マンガで吹き飛ばせ!



 台風がガンガン近づいております。



 雷よりも暴風雨の音の方が怖い、とはこっちに来て気づいたこと。



 たとえ吹雪になっても雨粒がぶつかるときの物理的な音と圧迫感はないもの〜。



 で、例によっての低気圧のせいで頭が痛いというか重いというか・・・。



 そういうときはマンガを読むのだ!



   やじきた学園道中記U 7巻/市東亮子



 津軽編が終わったので、ここでやめようかなぁとも思ったのだけれど、『ファルコ』と



横に並んでいたので「こりゃ買うことになるな」と負けた。



 今回は<鹿島編>、時間は戻ってやじさんときたさんが出会ってすぐの出来事。



 まだ仲良くはないがそんな気配の片鱗を感じさせる二人がいい感じ。 しかもこれ



一冊でコンパクトに終わったのもいい感じ。



 やっぱり好きなんだわ、やじきた。



   ちはやふる 22巻/末次由紀



 名人への挑戦権を賭けた大会、まだ終わらず!



 態度が大人げないが、それを含めて“男前”な原田先生のための話でした。



 「若い者には負けない!」みたいなありきたりなカラ元気でもなく、「自分に負けない」と



いうありがち結論でもなく、「やるのはいつも今、精一杯!」な気持ちに胸を打たれます。



 先生だから、生徒たちに教える立場であらねばならず、その教えが間違っていないと



周囲に証明しなければならず。 <いい大人>誰もが持っているはずの世間や若者に



対する責任感を、見せていただきました。 すぐに続きが読みたくなるな・・・困った。



 あ、変人周防名人がやっぱり(というか想像していた方向とは違う方向に)変人というか



変態だとわかって・・・ほんとにこの人ってダメだなぁ、と思ってしまうのでした。



   修道士ファルコ 3巻/青池保子



 真打登場!



 『修道士ファルコ』の連載が最初に始まったのは多分10年以上前。



 途中で『アルカサル‐王城』の番外編が挟み込まれたとはいえ、1巻・2巻と読んで



きてこの3巻にまったく違和感がない! 絵にも、ストーリーにも、キャラ設定にも。



 それってすごいことじゃない?!



 コメディだから許されるんじゃない?、という人がいるかもしれないが、コメディだから



こそ難しいのだけどね。



 今年は『エロイカより愛をこめて』の新刊が出ない代わりにファルコのようですが、



それはそれでうれしいです。


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月14日

タイピスト!/POPULAIRE



 これは予告を見て、「フランス映画がキュートさを前面にして売り出してきた!」と



確信しました。 “映画史上、最も可憐で、最も過酷な戦い”と言われちゃったら見ない



わけにはまいりません。



 1950年代のフランス、世の女性たちは社会に出て働くことを望んでいたが、田舎では



仕事がなく、女は家の手伝いでもしていろ的価値観がまだ幅を利かせている。 実家が



町で唯一の雑貨屋を営んでいるローズ(デボラ・フランソワ)は子供の頃から店にあった



タイプライターに親しみ、その腕に自信を持って都会に出て、憧れの職業“秘書”になろうと



家を出るが・・・という話。



   マドモアゼルのド根性見せてあげる。

     素敵な上司は鬼コーチ。 目指すはタイプ早打ち世界一!



 採用試験に臨んだ保険会社ではいかにも有能そうな女性たちがいっぱい。 ローズに



してみれば精一杯のお洒落も「田舎から出てきました」と自らばらしているようなもの。



しかしその恥ずかしさにめげず面接に向かい、彼女は自分のタイプの速さを社長である



ルイ(ロマン・デュリス)に見せつける。 ルイはそのスピードに、タイプ早打ち世界大会



優勝の可能性を見る。 そんなわけで秘書としての仕事はそっちのけ、いかに速くタイプを



打つかの訓練が始まる。



   これ、スポ根でしたか・・・。



 ルイは若い頃スポーツ選手だった、という経歴もあり、集中力と持久力が絶対必要な



タイプライター早打ち選手権のためには基礎体力から。 自己流の指二本打ちを正しい



十本指タイピングに強制させられ、ブラインドタッチの会得、評価の高い文学書を自分で



打ち直す(「よく使われる表現が出てくるから」とルイは言うのであるが、ビジネス文書に



『モンテ・クリスト伯』などの文章に関連はあるのか? 早打ち選手権はビジネス文書では



ないんだな!)。



 そういう意味ではまだまだ女性は社会的に役に立つ仕事をしていたとはいえないし



(タイプ早打ち選手権はほとんどイベントで、国内優勝者はタイプライター会社のイメージ



モデルになる。 形を変えたミスコンテストみたいなものだ)、秘書として働く女性も多くは



その上司と結婚するというパターンもあったようで(となれば遊ばれて捨てられた女性は



もっといるであろう)、そう考えるといろいろかなしくなってくる。



 しかしそういうかなしさを観客にあまり気づかせないように、画面はいたるところにレトロで



ポップなお洒落感であふれている。 ルイのライバルで親友のボブ(ショーン・ベンソン)が



アメリカ人なのも、フレンチカルチャーの上手い引き立て役になっているし。



 ローズは「自分を対等に扱ってくれなきゃイヤ!」という性格で、勝気なところはいいの



ですがろくに仕事ができないのに扱いだけは対等って・・・理想を夢見る世間知らず感が



全開で、それを苦笑しつつ許すルイがすごく大人に見えた! 実際、大人なんですけど。



 ロマン・デュリスって、今のフランス映画界ではいわばユアン・マクレガーみたいな位置



づけなの?、と感じてしまった。



   予選から白熱。



 予選、勝ち残り、次の予選、勝ち残り、の繰り返しになってしまうところを、発表の瞬間は



あまり見せずに間接的に結果を伝え、観客の興味をクライマックスまで引っ張っていった



工夫は素晴らしい。 フランス国内最大のライバルであるマドレーヌ・エシャール(なんと



ミュウ=ミュウだ!)が、いかにも「ざーます系」な黒縁メガネをしていたのが面白かった。



 確かに、映画史上、最も可憐で、最も過酷な戦いでした。



 ルイの幼馴染でボブの妻を演じたベレニス・ベジョが『アーティスト』のときとはまったく



雰囲気が違う年齢相応の役で出ていたのがとても新鮮でした。 いやいや、そもそも



デボラ・フランソワが『ある子供』のときと比べて全然違うから(だからこそ『ある子供』で



共演していた若すぎたバカのジェレミー・レニエが、いつの間にか「欧州を代表する演技派」



と呼ばれるようになっている『最後のマイ・ウェイ』も見たかったのです)。



 エンドロールではタイプライターの歴史が展開。 これでは日本語のタイプライターは



ワープロが登場するまで無理だったよな、ということがよくわかる(そりゃ昔の電報は



カタカナのみだよな〜)。



 フランス映画もわかりやすいのをつくるようになったよなぁ、と感嘆。 楽しかった!


posted by かしこん at 20:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月13日

タイムアウトの連続



 今朝、いつものようにブロガリにログインしたのだが・・・。



 大量の迷惑トラックバックがきていて、まずそれを削除した。



 すると、<タイムアウト>と言われる。



 えっ、ログインして2・3分たったかどうかなのに



 再度ログインし、迷惑トラックバック管理でアドレス拒否指定をした。



 そしたらまた、<タイムアウト>。 しかも拒否指定作業が完了していなくて、同じことを



もう一度する。 そうすれば今度は<見つかりません>。



 写真をアップロードしても、一個一個の動作のたびにタイムアウトされ、あたしもいらっと



してきたし時間もなくなるし・・・で、あきらめて閉じました。



 そんなわけで、本日帰宅後にこうしてアップする次第。



 ブロガリ設定における<タイムアウト>の概念がよくわからない・・・。


2013年09月12日

見ていると、食べた気に(もう少し涼しくなれば作りたくなる)。



 基本的においしいものを食べるのが好きなあたし、料理もそれなりにはします。



 というか、かつて地方在住では料理本で見た料理やお菓子を提供してくれるお店がなく



(さすがに今ではありますが)、自分でつくってみるしかなかった、ということもあり。



 しかし地方とはいえ大都市に住むようになり、ネット通販もあり、大概のものは手に入る



ので、あたしの料理はどんどん手抜きというか、その場しのぎ感が強くなってきてしまい



ました。



 そして結構料理本も見ているので、知識だけは豊富なあたし(実践が伴っておりません)。



なのでちょっと手の込んだ料理をつくるのは、秋冬以降ということに。



   今夜のごはんは、ワインとパンと絶品スープ/渡辺麻紀



 実はスープ好きであります。 スープストック東京のエビのビスクが大好きなのに、



梅田にできてから一回も行ってない哀しさ。 表紙はオニオングラタンスープですが、



あたしは冒頭に出てきた“豆のスープ”のとりこに! あぁ、でもそのためには数種類の



豆を揃えなければ・・・



 フレンチベースなのでクリーム系スープは生クリーム大活躍ですが、そこは豆乳と



オリーブオイルでアレンジかなぁ。 料理の写真はきっちりフルカラーで構図も効いていて、



食べたような気になりました(安上がり)。 スープって食べるのはすぐだけど、下ごしらえが



大変だわ・・・だからおいしいんだけど。



   世界のおやつ旅/多田千香子



 世界各地の<現地のおやつ>に出会う旅の記録とそのレシピ。



 そのわりにはレシピはさらっとしすぎかな?(そこはおやつだからこその単純さなのかも)



 著者は元新聞記者さんだそうで、限られたスペースに情報を入れ込むだけ入れ込んで



あるため、行ったことのない人・知り合いではない人には一読では意味不明の描写・時間



軸の転換あり(読み返せば言いたいことはわかるのですが)。 癖のある文体故、好みが



激しいかも(いや、好みが分かれるのは文体だけではないかも)。



 あたしはちょっと、この人、苦手かも・・・(いやいや、直接会って話したらいい人なのかも



しれないけど)。


posted by かしこん at 06:05| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月11日

星新一、再ブーム到来!



 先日購入した『つぎはぎプラネット』を読んでいる。



 「ブラックホール まさかあなたが お持ちとは」のオリジナルがここだったなんて!



 しかし前半は児童向け雑誌に書かれたものや『宇宙塵』に寄稿された初期作品(改行



少ない!)が中心で、どうもいつもの<星新一を読んでる感じ>が自分の中から出て



こない。 後半はいつもの感じが滲んできますけどね。



   でもなんだか、不完全燃焼は否めない。



 やはり本にするときには著者は細部に手を入れ、一冊としてのバランスなども考えて



編集されていたんだろう。 その気遣いが(編集した他の人の努力は十分感じられるの



だが)、ここにはない。 少なくともそれは星新一の気配りではない。



 なんだかものすごくかなしくなって・・・自分が初めて読んだ星新一本はなんだったか



思い出してみる。 思い出すまでもなく、覚えているんだけどさ。



   エヌ氏の遊園地/星新一



 あたしが買ったのは講談社文庫だったと思うけど、いつの間にやら新潮文庫にも収め



られていたのでそっちを購入してみた。 しばらくぶりに見たら字がおっきいよ!(だから



分厚く感じたのね)



 何回も読んでいる本なのに、だいたい話も覚えているのに、「これだよ、これ!」と盛り



上がってしまうのは何故なのか。 「ダイヤルを回す」といった表現のちょっとした古さは



仕方がないが、それ以外は特に問題なし。 むしろ不景気な世の中になってきて、一周



(以上?)まわって星新一ショートショート世界が現実にまた近づいている感じがする。



 で、どうやらあたしは、「濡れ手で粟的なうまい話には裏があるから手を出すな」とか、



「安易に金を儲けようとするのは浅はかだ」といった考え方を複数のエヌ氏の一連の



行動から学んでしまっていたようなのだ・・・(小学5年生前後からなのでね、その影響を



今になって気づきましたよ)。



 『殺し屋ですのよ』もいいが、『逃走の道』も素晴らしい。 『危険な年代』なんて当時



思っていた以上にブラックだ! 『昇進』は社会人になってみてわかる納得度!



   未来いそっぷ/星新一



 ついでに勢いでこっちにも手を伸ばしてしまった。 ニヤニヤしてしまう・・・やばい、



全部揃え直すことになってしまうかも・・・。 


posted by かしこん at 06:04| Comment(6) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月10日

今日は3冊。



 あっという間に9月も上旬である。 まだ先だなぁ、と思っていた本たちが続々と出てくる



時期のはじまり。 そんな9月の第一弾はこちら。



   開かせていただき光栄です/皆川博子



 ハードカバーを図書館から借りて読みましたが、素晴らしかったので文庫を買います!



表紙絵はハードカバーと同じですが、文庫にはなんと“解剖学の歌”の楽譜つき! 更に



ちょっとした短編つき! そう、結局常に文庫が最新版となるので(そればかりが理由では



ないけれど)、あたしは文庫本を愛してしまいます。



   ハンティング/ベリンダ・バウアー



 『ブラックランズ』『ダークサイド』に次ぐこの町が舞台のトリロジー完結編。



 作者はもともとシリーズ化を想定して描き始めたわけではなかったそうですが、前二作の



主人公やまわりの人たちのその後も書きたいと思っているうちに繋がってしまったらしい



(だから前二作の主人公二人が今回の作品にも大きな役割を担っているようだ)。



 それより日本語版訳者の人が名前変わってるよ!、と一瞬あわてたけれど、ファースト



ネームが同じだし訳者変更のコメントもないし、結婚(もしくは離婚?)されたのかな?



正直紛らわしいので、それぞれのお考えがあるとは思いますが、訳者の方もペンネームで



統一にしてほしいな・・・もしくは同じ人物であると但し書きをしてほしい。



   縮みゆく男/リチャード・マシスン



 この本、もっと早くに出ると聞いていたような気がするんだけどな・・・と思ったら、なんと



訳者の方が2009年12月に逝去されていたよ! 翻訳と訳者あとがきまでは書かれて



いたものの、校正チェックがまだだったようで・・・なにしろ確認取る相手がいない、となったら



チェック作業もイチからやり直しだもんね! そりゃ時間がかかったでしょう・・・そうこうする



うちにマシスン自身も亡くなったし。 邦訳版の出版、頓挫しなくてよかったですね。



 解説にはデイヴィッド・マレルという原著の気合の入ったものをそのまま収録し、更に



日本独自で町山智浩さんのこれまた普段と違って終始真面目な解説がついている。



それだけで『縮みゆく男』がマシスン作品のうちでも特別な地位を占めるものであることが



よくわかる。



 いろんな意味で重たいものを背負っている本だが、今の日本で売れるといいなぁ。


posted by かしこん at 06:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月09日

追憶の殺意/中町信



 『模倣の殺意』以降、東京創元社が復刻により力を入れている中町信作品。



 これはかつて『自動車教習所殺人事件』というそのものズバリだが、いまいち味も



そっけもないタイトルで1980年に出版された物の改題復刻版。



 表紙はすごく素敵になった!、と思う。



   だからといって『追憶の殺意』というのも一瞬考えて

           「なるほど」となるタイトルなので・・・題名って、難しい。



 埼玉県のとある自動車教習所。 まずは配車係が死体で発見されたのち、技能主任が



密室状態で殺されると事件が続く。 一体、何が起こったのか! 自動車教習所で働く人と



通う人との間には過去にどんな因縁が・・・みたいな話。



 めずらしく、というか警察側の足取りが丹念に描かれている印象です。 それはやっぱり



密室トリック&アリバイ崩しがメインだから!? いやー、考えましたよ。 そして事件の



方向性が当たるとニヤリとしてしまいますよ。



 中町信特有の“プロローグ&エピローグの衝撃”は今回はありませんが(なにしろ最後は



<終章>になっていますので)、最初から最後まで<本格推理>ラインから外れません!



遺体発見現場の見取り図だけではなく、時刻表や容疑者のドライブルートの図などまで



丹念に載せられている(なんだかそれだけで盛り上がる部分あり)。



 そしてあたしは実は運転免許を持っていないのですが(身分証明書になるものがない



ため、様々な面でとても苦労しています)、かつて友人たちがこぞって自動車教習所に



通っていた頃にいろいろ聞いた話を思い出してしまいましたよ〜(だから余計に通いたく



ないと思ったのだった)。



 いまは少子化だし運転免許を取ることがかつてのように当たり前のことではなくなって



きたので、横暴で無茶苦茶な指導教官は減ってきているとは思いますけど。 でもかつて



自動車教習所に通い、ちょっとでもイヤな経験をした人はこれを読んだらいろいろと頷く



ところがあるのではないのだろうか・・・と勝手に予想しています。



 ある意味、これもシチュエーション・ミステリかな、と思ったりもします。


posted by かしこん at 05:57| Comment(4) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月08日

えっ、東京オリンピック?!



 2020年の東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決まったのですね。



 前回の立候補時の盛り上がらなさを覚えていたので、「なんか、今回、違う?」とは



感じていたけど、プレゼンに総理大臣出てきて汚染水のことに言及するなど、結構



本気だったんですね・・・。



 それ故、7年後までには福島第一原発や汚染水問題その他もろもろが収束していると



いいのだが、と思わずにはいられない。 東北の復興もね!


posted by かしこん at 06:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 時事問題・ニュースに思うこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月07日

ザ・フォロイング/The Following



 WOWOWが社運を賭けているのか!、ぐらいの膨大な宣伝量をかけて放送開始した



『ザ・フォロウィング』。 ケヴィン・ベーコン、テレビドラマ初主演!、という売りは確かに



あるものの、こっちをとるために『ゲーム・オブ・スローンズ』を獲得できなかったのか・・・と



思うと少し哀しい。 ひとつの放送局で海外ドラマ全部見たい!、という要求が図々しいのは



わかっていますよ(それでもWOWOWはがんばってくれている方だと思う)。



 かつて人気大学教授だった頃、14人の女子大生を残忍な手口で殺した連続殺人犯



ジョー・キャロル(ジェームズ・ピュアフォイ)が、死刑執行を目前に刑務所を脱獄する。



以前キャロルを逮捕したFBI捜査官ライアン・ハーディ(ケヴィン・ベーコン)はそのときに



心臓に深刻な傷を負ってFBIを去っていたが、FBI長官から直接、「キャロルをいちばん



知っているのはお前だけ」だから現場に復帰するよう依頼が。 断れなかったライアンは



現FBIのメンバーとチームを組んで追跡に当たる。 捜査をしていくうちに、キャロルが



ある看守を洗脳し、収監中もネットを使って外部と接触していた事実が判明。 彼は自らの



カリスマ性を駆使して、熱心な信奉者たちとのネットワークを作り上げていた。 果たして



キャロルの計画とは? また、キャロルの信奉者(フォロワー)はどこに潜んでいるのか?



 ライアンとキャロルの死闘が再び幕を開ける・・・という話。



   ライアンと、キャロル。



 第一シーズン全15話の内9話までの放送に追いつきましたが・・・。



 “カリスマ性を持つ残忍な殺人鬼と、それを捕まえた側の者の対立”というのはシリアル



キラー物としてはよくある図で、さらに殺人犯に自分の理解者とのめり込んでしまう人々も



いる、というのはよくあるパターン(『二流小説家』にもそういう要素はありましたね)。



 しかしこのドラマの製作総指揮はケヴィン・ウィリアムソン。 『スクリーム』シリーズや



『ドーソンズ・クリーク』の生みの親。 ありがちネタに新しい視点やディテールを追加して



大きな物語にするのがうまい人物。



 だから初回は「ショッキングだがわりと定番?」と思って見ていたのですが、フォロワ―



個々人の内面に迫る描写が積み重なるにつれ(だからといって同情的に描いているわけ



ではない)、FBIや警察側にキャロル派の人間が潜んでいてもまったくおかしくない状況に



なっており、見ているこっちもライアン以外の誰を信用したらいいのかさっぱり分からなく



なってきたり。



 おまけに、キャロルからのライアンへの伝言「愛は痛みを伴う」をフォロワ―たちが



仕掛けるのだが、その痛みはライアンにも伝わるけれど、実は一部のフォロワ―の人たち



にもその言葉の意味が身を持って迫ってくる、という・・・どこまでがたまたまで、どこまでが



キャロルの目論見なのかもわからないような展開に。



 セカンドシーズンが決定しているそうなので、この15回では解決しないかもしれない



けれど、社会の病んでる感が半端ないドラマであります。



 ケヴィン・ベーコンはまるで肉体的ハンデを負ってさらに苦悩するジャック・バウアー、と



いう役どころ。 今この世代の俳優さんはこういう役、やっぱりやりたいのかなぁ。


ラベル:海外ドラマ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | WOWOW・CATV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月06日

エンド・オブ・ウォッチ/END OF WATCH



 顔は好みではないのに、なぜか気になる男、ジェイク・ギレンホール。



 彼が出ているとなるとどんな内容でもとりあえず見てみるか・・・という気になってしまう



恐ろしさ。 しかし今回は公開時期が短いため、あわてて109シネマズHATのレイトショーに



駆け込んだ(あぁ、結局『最後のマイ・ウェイ』は見そびれてしまったなぁ)。



 ロス市警の巡査テイラー(ジェイク・ギレンホール)と巡査ザヴァラ(マイケル・ペーニャ)は



コンビを組んで、ロサンゼルスの重犯罪多発地区サウス・セントラルを担当。 テイラーは



白人、ザヴァラはメキシコ系と育った文化も考え方も違うが、警察学校からの同期で親友。



そもそも市警の警官同士には家族のような絆がある。



 そんな彼らの日常を、パトカー搭載の記録用カメラなどを利用したPOV方式で描写。



ドキュメンタリー的なリアリティを狙ってはいるが、出てくるのはがっちり演技の基礎が



できている方々なのでうっかりハプニング的要素は皆無、手持ちカメラによるぶれも



最小限ということであたしは酔わずに済んだ。



 ただひたすらに過酷な警官の仕事ぶりが浮き彫りになる。 無名の俳優さん全員使って



撮ったなら、それこそ『実録ロス警察24時』ってとこか。



   これが、ロス市警のリアル。

   世界で最も危険な街、L.A.サウスセントラル。 年間犯罪件数103,480件。

   5分に1度、事件が起きる場所。 観客は、そのすべてを【ゼロ距離】で目撃する――。



 おかげで「文化系のプリンス」と呼ばれたのもはるか昔となってしまったジェイク・ギレン



ホールはほぼスキンヘッドで、マイケル・ペーニャさんとともに5ヶ月もロス市警の訓練や



巡回に参加したそうで(だから映画はLAPD全面協力!)、すっかりガラの悪いパトロール



警官が板についていた。 警官たちが集まると性質の悪いいたずらやら悪ふざけやらが



普段から横行していて知性のかけらも感じさせないんだけど、ある通報がきっかけで



秘めていた情熱や知性があらわに!



 そうか、重犯罪多発地域で働くとはそういうことなのかも。 常に命の危険を感じながら



勤務するのだから、バカやれるときにやっておかないと精神的なバランスが取れないんだ。



髪をひっつめて制服に身を包んだ女性警官役のアメリカ・フェレーラ(『アグリー・ベティ』の



ベティ!)はまるでミシェル・ロドリゲスかと思ったし。



   パトカー内部にもカメラを装着。



 撮影していることに抵抗を示していたのは最初だけ、撮影が面白くなってきた&そんな



こといちいち気にしていられないくらいトラブル多発って感じで、これといったストーリーは



ないのですが日々の断片の積み重ねで十分浮かび上がってくるものはあって。



 警官と刑事の間の確執、市警とFBIとの錯誤などもさらっとしっかり描かれ、警官の立場の



不安定さ(でも最前線だから命を張るのは彼ら)にしみじみする。 これを見てロス市警の



警官になりたい人はいるだろうか・・・。 でもERの勤務医のように、緊張と緩和でアドレナ



リン噴出な職業が癖になるタイプの人もいるだろうから、あえて危険地帯を担当したい



人たちもいるんだろうな。 そして燃え尽きる人もいるんだろうな。



 ほぼ出ずっぱりのお二人の気迫が、よかった。



 仕事とプライベート、そのバランスをうまくつけようとしつつもどうしてもわけきれない



人たちを支える人たちもまた、大きなファミリーなのだと表現されるシーンは素晴らしいが、



その先に悲劇が待っているのだろうな・・・と感じさせられて悲しかったよ。



 とはいえ、メキシコ系麻薬カルテル怖すぎる〜、というのがいちばんの感想かもだが。


posted by かしこん at 05:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月05日

とてつもない集中豪雨

 昨日の雨はものすごかったですね!
 その前日も結構降りましたけど、それを上回る勢い。 大雨・洪水警報が早々に出て、なかなか解除されないくらい。
 さて、あたしは急激な気圧の変化で偏頭痛を起こすタイプ。
 なので一昨日も微妙だったけど、昨日は更に調子が悪かった。 頭痛は勿論のこと、とにかく眠い! 大雨で気温が下がってくれたおかげで、夏の疲れが一気に来ているような気もするし(でも蒸し暑いのはなんとかしてください)、不調をなんとかしたいがために身体が睡眠を要求しているんだろうな、という感じ。 おかげで飛行機が墜落するとか、ビルが崩れるというような夢ばかり見た・・・(昼間の雨風の音が頭に残っていたらしい)。
 しかし夜の駅などにいた人たちは「なんか寒いねー」などと言い合っており、いや、気温は下がったけど動いてから立ち止まると汗がじっとり出てくるあたしはどうしたらいいのでしょうか、蒸し暑いんですけど!、と、暑さに耐性のない自分が哀しくなる。
 夜はすっかり秋の虫が鳴いているんですけどね。
 残暑バテしてしまいそうなので、気をつけます。

posted by かしこん at 05:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 体調 好不調の波 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月04日

ペーパーボーイ 真夏の引力/THE PAPERBOY

 サスペンスやミステリーと聞くと俄然興味がわくあたし。
 だけどアメリカの南部って、苦手だ。 ということをこの映画を見てしみじみ感じる。
 ていうか、フロリダって南部だったんですね・・・アメリカの地理をいちからおさらいしないといけないわ。
 舞台は1969年の夏、フロリダで。 水泳の有力選手として大学に進学したジャック(ザック・エフロン)はあるトラブルを引き起こしてしまったため大学を辞めなくてはならなくなり、失意のうちに帰郷。 父親(スコット・グレン!)が編集責任者を務める地元の小さな新聞社の配達人のアルバイトをしていた。 ペーパーボーイとはその新聞配達人の意味。
 そんな彼の人生を変えてしまった出来事が起こった、夏。

  ペーパーボーイP.jpg 覗いてはいけない、禁断の闇
   全米熱狂のベストセラー小説、遂に映画化!
   ハリウッドスターたちが衝撃のタブーに挑戦した、あまりにもスキャンダラスな真夏のミステリー

 真夜中に保安官が殺された。 ほどなく犯人としてヒラリー(ジョン・キューザック)が逮捕され、死刑の判決が出た。 しかしニュースでヒラリーのことを知り、獄中との手紙でのやりとりだけでヒラリーの無実を信じて婚約したシャーロット(ニコール・キッドマン)が彼の手紙と彼女独自の調査内容を持って新聞社を訪れる。 ちょうどその折、大手新聞社の記者であるジャックの兄ウォード(マシュー・マコノヒー)が相棒のヤードリー(デヴィッド・オイェロウォ)とともに同じ事件を冤罪の可能性ありと調査のために戻ってきていた。
 役者は揃った。 そしてジャックはシャーロットに恋をしてしまい、運転手だけでよかった彼の仕事は事件に、人間関係にどんどんのめり込むことになってしまう・・・という話。

  ペーパーボーイ01.jpg “陰りを帯びたイノセントさ”がザック・エフロンに新境地を開いたか? いままでにないいい役でした!
 彼だけでなく本当にいい役者を揃えたなぁ、と思う。 正直なところ、役者が濃すぎてミステリー部分(誰が保安官を殺したのか)が結構どうでもよくなっている。 そしてフロリダの湿地帯(劇中では“沼”と表現)が舞台の中心となるのだけれど、ここの粘りつくような暑さがあたしには暑さを通り越して息苦しいまでのものに感じた。

  ペーパーボーイ02.jpg ザック・エフロンの兄ということで、ちょっと若づくりなマシュー・マコノヒー(マコナヘイ?)。
   なんだか『評決のとき』を思い出す。 役柄は全然違うのにね。
 ウォードもまた謎な人だった。 ダメな父親が兄弟に与えた影響(トラウマ)は本当に半端なくて。 また南部人の印象がまったくなかったスコット・グレンがもみあげをのばしてあごひげとくっつけるようなヴィジュアルで、偏見のかたまりでやる気のない男を悠然と演じており、出番はほんとに少ないですがスコット・グレンファンのあたしとしては泣きたくなった・・・カッコ悪すぎて(それが“巧い”ってことだってわかってますけどね)。
 カッコ悪いといえば、この人もまた別な方向にカッコ悪い。

  ペーパーボーイ05.jpg ジョン・キューザック。
 ハンサム度もいい人度もかなぐり捨てて、どこから見ても“キモい人”をどこか余力を残しながら演じているみたいに見えて、なんだか楽しそう(見ているこっちは楽しいどころではないが)。 喋り方や佇まいに知性のかけらも感じられないんだよね! こんなジョン・キューザック見たことないよ・・・できればあまり見たくないよ・・・それくらい、イカレてました。
 そして更に別方向にぶっ飛んでいたのがニコール・キッドマン。

  ペーパーボーイ03.jpg そのビッチぶりはすさまじい。
 『冷たい月を抱く女』や『誘う女』のときほどずる賢くなく、『イノセントガーデン』のときのように「自分はちやほやしてもらって当然」と思っているのともまた違い、教養もなく粗野なれど本質は愛を求める孤独な女、ということで同情が湧くのだが(でも多分彼女は同情されることを嫌うだろう)、だからといってジャックが惚れていい相手ではない。
 この人たちを、ジャックの親代わりのメイド・アニタ(メイシー・グレイだ、歌手の!)視点で10年先ぐらいからの回想と、その時点でのジャックの一人称が入り混じる。
 あ、これは原作が読みたいかも!
 俳優たちが素晴らしすぎてストーリーがどうでもよくなってしまったのは意図的なのかどうなのか、どっちにしろ後味が悪い話なので、そういうのが大丈夫な方には是非見届けていただきたい。
 やはり暑すぎる夏は人の理性をどうにかしてしまうのだろうか。 人生を変える出来事に出会うのは、春でも秋でも冬でもなく、夏がいちばん似合うから。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 05:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月03日

外科医/テス・ジェリッツェン

 海外ドラマ『リゾーリ&アイルズ』に原作があることは知っていたが(オープニングにテロップが出るから)、邦訳が出ていたことは知りませんでした・・・。 しかも版元は文春文庫で2003年! あたしがチェックを怠っていた時期です。
 とはいえ原作といっても主役は違う。 リゾーリ刑事はあくまで脇役、アイルズ先生に至っては登場してもいない! そんなわけで「小説世界を再構築してドラマという新しい世界をつくりました」の手順例を見ているような気に、読みながらなっていた。 なんたってドラマはもうシーズン3見始めてますからね、あたし。
 ボストンにて連続猟奇殺人事件が発生。 いつしかマスコミから“外科医”と呼ばれるようになった犯人だが、数年前に違う都市で同じような手口の犯行があって関連性を指摘されるが、その犯人は被害者に射殺されていた。 その犯人と“外科医”にはつながりがあるのか? 警察が決め手を欠いている間に、“外科医”は真のターゲットである生き残った被害者に狙いを定めていて・・・という話。

  R&I−01.jpg この表紙はちょっと買いにくいですよ。

 ストーリーはムーア刑事と、生き残りの被害者でありながら現在も外傷外科医として働くキャサリンのロマンス部分も必要最小限に描いている。 リゾーリと相棒のバリー・フロスト、リゾーリの母と弟のフランキーなどドラマでお馴染みのキャラクターがすでに顔を出しており、できるかぎりの設定はそのまま持ち込んでいるんだな、とわかってうれしい。
 となると“外科医”はジェーン・リゾーリの宿敵となるあいつか・・・とわかってしまいますが、ドラマではリゾーリのトラウマとなる事件ということであまり多くは語られない(2シーズンかけて小出しにされる)内容の背景をこれ一冊で読みとれるというのはお得?かも。
 そうなるとムーア刑事はドラマには出てこないけれど、このキャラクターの延長線上にコーサック刑事が生まれたと考えればいいのだろうか(原作は二作目でリゾーリが主役になっているっぽいので、また新たな登場人物がいるのかもしれませんが)。
 と、すっかりドラマ寄りの気持ちで読んでしまいましたが、それがなくとも作者は内科医のキャリアの持ち主なので、キャサリンの治療の描写など迫力あったし、犯人の異常性と意外性は海外ミステリとしては水準作と言えるでしょう。
 むしろキャラクターがよく描かれているので、ドラマ化したくなった人の気持ちがわかるなぁ、という感じ。
 二作目も手に入れて読もうかなぁ、と思ったところに、バリー・フロスト役の俳優さんが自殺したとのニュースが飛び込んできた。 29歳、拳銃自殺とな。 そんなことをしそうな人には見えなかったのに(あくまでドラマからのイメージですが)。 シーズン5、これから制作だと聞いたが・・・。 これも銃社会の弊害、なのだろうか。
 かなしすぎる。 フロストはいい人なのに。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 06:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月02日

なんとなく、納得。

 携帯電話画面の配信ニュースにまで速報が流れた。

   <宮崎駿>長編映画製作から引退へ 「風立ちぬ」が最後の作品に

 この時期に発表って・・・『風立ちぬ』の興行成績をさらに引き上げるため?、という穿った見方をしてしまったあたしですが、まぁ、もともと物語作家であった人が私小説を書くようになったら、それって引退を考える時期って気がする。 否応なく自分の来し方を振り返る時期に来てしまった、ということなんでしょう。
 でも、長編映画の製作からは引退、ということであって、気分によっては短編をつくる気はある、ということでは・・・。 オムニバス形式の長編もつくろうと思ったらつくれますよ。
 モノをつくる人の「引退宣言」ってあまり信用できないというか、つくりたいものが見えてしまったらまたつくりたくなるんだろうから、誰かから「新作はどうなんですか?」ってもう聞かれたくはない、という意志表示だととらえておくぐらいのほうがいいのかもね。
 単純に、ブランドと化したジブリは御大を失ってやっていけるのか(後継者はいるのか?)、ということには興味がありますけどね。 ファッションブランドみたいに、その都度、新しいクリエイティヴディレクターを外部から迎えればいいのに(内部で育てようとするから失敗するのだ)。
 ・・・だから、庵野さんをご指名だったとか?

posted by かしこん at 04:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題・ニュースに思うこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月01日

風立ちぬ

 結局、見に行ってしまった・・・。
 念のため、あたしはジブリブランドにはあまり重きを置いていないスタンスですが、『風の谷のナウシカ』を映画館で観たというのはあたしの年齢にしてはめずらしい方だという経験はあります。
 それで先日、仕事場のセレブ奥様とコピー機のところで会話になりまして。
 「そうそう、あれ見に行ったのよ、『風立ちぬ』
 「あ、私も行きましたよ! ・・・どうでした?」
 「うーん・・・なんか、このへんがもやもやしてるのよね〜」
 と、セレブ奥様は胸のあたりに右手をかざしてぐるぐるまわして見せた。
 「それ、なんかわかります・・・」
 お互い、会話に「・・・」が多い。 つまりはそういう映画だった、ということです。

  風立ちぬP2.jpg 生きねば。
   (でもそれをほぼラストシーンでカプロ―二さんに言わせてしまうのはいかがなものか・・・)

 映画は少年時代の二郎(青年時代以降:庵野秀明)の見ている夢から始まる。
 夢の中で彼は家の屋根から自分がイメージした飛行機を操縦している。 その姿があたしにはパズー(『天空の城ラピュタ』のね)とかぶってしまい、そうなると二郎さんはいくら成長しようともパズーにしか見えないのであった。
 <堀越二郎と堀辰雄に敬意をこめて>という文面がポスターにも書かれてますし、映画のテロップにも出ます。 しかしこの映画の二郎さんは堀越二郎でも堀辰雄でもない、その二人の姿をごちゃまぜにしてみたけど本質は宮崎駿そのもの。 そう、これは幾重にもオブラートをかぶった私小説的映画なのです(だったらはじめから架空の人物でいいじゃないか、なんでわざわざ実在の人物をモデルに使うなんてハードルの高いことするんだろ。 人間が描けていない、と非難されることはわかっていただろうに)。
 浮世離れしたパズー少年はいいところの生まれということもあり、生活の苦労をほとんど知らない。 それ故なのか本人に葛藤があるのかどうなのかもわからない(多用される夢のシーンで、飛行機は繰り返し墜落する。 それが彼の心の中の葛藤を現わしているのかもしれないが、ならば現実世界と夢の中との演じ分けができる人に声を当ててもらいたかったというのは贅沢な望みなのか)。 そもそも演技というものを否定している監督にしてみれば、自分を投影している人物を俳優にやってもらいたくはなかったのであろうし、素人起用は既定路線だったはず。 でもそれに観客が付き合わなきゃいけない義理はないのよ。
 しかし、なにしろ映画館は込んでいたため、外に出るまでに時間がかかり、上映後のみなさんの感想が耳にいやでも入ってくる。 「天才肌の人っぽくて、まぁ合ってるんじゃない?」から、「むしろ下手な人の方がいいんじゃない? 声の演技がうまいとか意味がわからないのよね」というあたしからしたら暴論まで飛び込んできて、「芝居って、演技って、なに?」とあれ以来ずっと考えさせられている(むしろ映画の内容よりも、そっちの方があたしには重いテーマだ)。
 アニメーションですが、正統派の日本映画だな、と感じたのは時間の省略法。
 次のシーンでもう5年たっているのは当たり前。 登場人物が多少老けたりすればいいものを、そんなこともない。 二郎の視点からすれば、夢も現実も境目はないのだから自分の年齢にも興味などないのだろう。 だから婚約者が山の病院を飛び出してきても、「大丈夫だよ」と言えてしまうのだろう。 あたしはここで「何が大丈夫なんだ!」と心の中で叫んでしまった・・・婚約者の病が治ることを信じていない・希望すらも持っていないんだな、と感じたので・・・受け入れるのが早すぎる。 そういう意味での葛藤も感じない。 宮崎駿本人はもう葛藤というものを飛び越えているか、思い悩む姿を人には絶対見せない、という人なんだろうけれど、なにそろ二郎がそこまで老成しているのか内面的に苦労しているのかがわからないので(台詞の棒読みも相まって)、「こんな人を好きになっちゃったらすごくつらいしめんどくさいな・・・」と菜穂子さんに同情申し上げた。
 「なんでもかんでも思いを台詞にして伝えることはない」という考えには賛成ですが、だからこそ台詞にならない部分を声や呼吸ににじみ出してほしい。 それが演技だし、“役に命を吹き込む”ということではないのか? たとえば本庄役の西島秀俊さんはそれができていたと思いますよ(だから「西島さん、声だけでもかっこいいね〜」という歓声がいたるところでわいたのだと思う)。 そしてキーパーソンであるカプロ―二さんには野村萬斎を起用しているわけで、横に上手い人がいればいるほど二郎さんの棒読みっぷりが目立つんですけど・・・泣きたい。
 「ラブシーンが多すぎてちょっとキモかったね」という声も聞こえました。 二人の過ごす時間の短さと濃密さをあらわすためには必要だったのかもしれませんが、棒読みだからキモいんですよ・・・それこそ台詞なしにするとか、暗喩であらわすとかにすればいいのに。
 煙草のシーンはさほど気になりませんでした。 だってそういう時代だったんだし、むしろみなさんニコチン中毒だったからこそあれだけ働けてたんじゃないかって気がするし。
 あの当時の日本はまことに生きづらい時代であった、と4分間の特別映像にテロップ出ていましたが、確かに一般庶民には生きづらい時代だったでしょうが二郎さんからはそんな感じは一切ない。 ただ、「美しい飛行機をつくりたい」そのためだけの人生で、現実世界は彼にとってはどうでもいいこと。
 モノを作ることに入れ込む男性を描いた映画、でしかないのです。
 だから女性は、「そんなこと言われてもね・・・」ともやもやするしかないというか。
 特にこれといった起伏ある物語があるわけでもないし、それでも2時間以上の映画を最後まで見させる力はさすがだと思うんだけど、やはり堀越二郎と堀辰雄を巻き込む必要はなかった、という気持ちは拭えない。
 音楽と、『ひこうき雲』に、かなり助けられました。
 やはりあたしには、<4分間の特別映像>で十分だった・・・。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 10:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする