2013年08月18日

31年目の夫婦げんか/HOPE SPRINGS



 特に「絶対見たい!」と思っていたわけではなかったのだが、次の『ニューヨーク、



恋人たちの2日間』
との時間合わせには『最後のマイ・ウェイ』よりもこっちのほうが



よかったので。 メリル・ストリープ、トミー・リー・ジョーンズ共演というのも興味深かったし。



 コピーも「なんだかんだあってもハッピーエンドですよ」ってのが示唆されてますしね。



   全部吐き出したら、愛だけが残った。



 気がついたら結婚31年目となっていたケイ(メリル・ストリープ)とアーノルド(トミー・



リー・ジョーンズ)。 子供たちが無事独立したことはよろこばしい。 しかしケイは代わり



映えのしない毎日、同じような会話にむなしさを感じ始め、もう一度かつての・もしくは



まったく新しい夫婦関係を取り戻したい!、と思いきって<滞在型一週間集中カップル



カウンセリングコース>を申し込む。



 「そんなのは詐欺に決まってる! オレは行かんぞ!」と拒否したアーノルドだが、



同僚の「おれも妻の発したシグナルにちゃんと気づけてやっていれば、今は一人じゃ



なかったはずだよ」というわびしすぎる助言を受けて、いやいやながら同じ飛行機に乗る。



 この<飛行機に乗る → 妻に付き合う>ということから、アーノルドがただの頑固な



ダメ男ではなく根底では妻を愛する男(多分不器用)であることがわかる。 先に飛行機に



乗りながら「夫は来るかしら、どうかしら」と気にしない振りをしつつそわそわしながら待って



いて、やがて渋面顔の夫を見つけたときのケイのうれしそうな顔!



 十分愛情はあるじゃないですか、何が不足なのよ、と思ってしまうのはあたしが日本人



だからでしょうか、31年も他人と一緒に暮らしていないからでしょうか。



 そう、この映画で描かれる問題とは<セックスレス>なのです!



 その年齢ならば5年間寝室が別だって愛情と気遣いがあるならいいじゃないですか、と



思うのは日本人の価値観。 先日見た『アンコール!!』の老夫婦が西洋圏における



カップルの理想形なのだとしたら確かにケイには物足りないのかもしれない(だからって



カウンセリングに頼るのはアメリカだぜ)。



 そんなわけで胡散臭いカウンセラーとして登場するのがスティーヴ・カレル。



 もともとコメディ演技の方ですが、笑いは封印して真顔でとんでもないことを言う・更に



何を聞いてもすべて受け入れる無表情演技が面白かった(だからいい医師なのかそうで



ないのかもなんとなく最後までわからないという)。



   最初のお題:一緒のベッドで寝ましょう。



 そんなわけで若輩者のあたしとしては「ひょえ〜」な会話・場面がなきにしもあらず。



 しかしシニアなお客さんは大爆笑・・・え、みなさん通る道ですか、と観客にインタビュー



してしまいたくなった。 セックスレス問題はむしろ日本でこそ切実、というイメージがあり



ますが・・・そこで笑えてしまう人たちは生きてきた強さがあるからですか?



 ケイはブティック勤務ということで、『プラダを着た悪魔』ほどじゃなけど一定レベルの



ファッションをキープ。 大ぶりの樹脂をつなげたネックレスやストールはマスト!、という



装いは観客の参考になります(そんなのやら毎晩違うネグリジェを準備しているため、



一週間の割にケイの荷物は多すぎだった)。 ちょっと困ったさんのところはあるが、



本質的にはけなげ、という女性をメリル・ストリープはすっかり自分のものにしてます。



『恋するベーカリー』でもそうだったけど、いくつになっても身体を張る演技をいとわないと



いうのはすごいなぁ(勿論、実年齢の一般人よりは若く見えるんでしょうけどね)。 そう



思うと『さよなら渓谷』の真木よう子は残念だったなぁ、でも責任はそう撮ってしまった



監督にありです。



 一方のアーノルドは特に不当に儲けたりはしていない堅実な会計士。 ぶつぶつと口



うるさいのが玉に瑕だが絶対浮気はしない、不意にケイにキレられると反論できずに黙り



こむなど日本人男性に多いタイプでは? 途中からあたしはトミー・リー・ジョーンズが



笹野高史に見えてきて仕方なかったですよ(そんなジョーンズは彼で大変キュートです、



マッカーサーをやってた部分はどこへやら・・・)。 いやいや、この二人じゃなかったら



この映画成立してないのでは・・・、というくらい重要なキャスティング。



   仲直りできて、よかったですね。

     いや、でも見どころはそこに至るまでの口撃バトルですけども。



 舞台っぽくもあるのがあたしは好ましかったです。



 セックスも重要かもしれませんが、やっぱりいちばん大事なのは会話なのじゃない?



(そういうことも含めて気軽し話し合えるかどうか)、と思っただけで口には出さず、「だから



男って」・「女って」と話が広がる観客さんの間を縫って、早々に外へ出るのでした。


posted by かしこん at 08:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする