2013年08月07日

アンコール!!/SONG FOR MARION

 おじさま俳優や美中年が子供のころから好きだったあたしですが、テレンス・スタンプを知ったのは比較的最近。 フランス映画『私家版』を見て、感情を抑圧しつつ復讐に邁進するその姿のかっこよさというか色っぽさにぐらぐらきてしまいました。 そしてこんな人をこれまで知らなかったことを恥じたのでした。 でも出世作らしい『コレクター』も多分見ているはずなんだけどそんなに印象に残っていなくて・・・多分若すぎて、ハンサムすぎていたのでしょう。 やっぱりおじさまな感じが好きです(その後はテレンス・スタンプを追いかけたのだけれどハリウッド映画では変な役が多く、いまだに『私家版』を越える作品は見ていない気がする)。 それでも彼が出ると知れば、要チェック。 しかも歌うとな!

  アンコール!!P.jpg 歌わにゃイカん 理由ができた。
    72歳の大決心。妻のため。ロックでポップな合唱団で歌うのは、人生初のラブソング!

 舞台はロンドンの下町。 町の歌が好きな年寄り(?)たちが集まって、近所の音楽教師エリザベス(ジェマ・アータートン)の指導の元にコンクールに向けて練習をしている。
 その名も“年金ズ”。
 グループの中でも中心的なメンバーであり、誰からも愛されるマリオン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)だが、がんの闘病中。 夫であるアーサー(テレンス・スタンプ)はマリオンに好きなことをやらせたいが、そのせいで体調が悪化するのではないかと考え、合唱活動には賛同していなかった。 いつも苦虫をかみつぶしたような顔で練習場までマリオンの送迎をしているが、とにかく頑固ジジイにしか見えないアーサーのマリオンへの愛情をみんなは認めていた。 そして“年金ズ”はシニアの部合唱コンクールにエントリーすることになり、マリオンはソロのパートを任される。
 あれ、こういうお年寄りばかりでロックを歌う合唱団が大人気で世界ツアーをしてるってドキュメンタリー、何年か前に見たような・・・そして曲を決めてどう振り付けして歌うかの練習風景は高齢者版“glee”というべき感じ。 こういう流れ、人気があるんですね。

  アンコール!!−1.jpgでも練習シーンは意外と少なくて、あっさり野外コンサート開催。 採点に現れる審査員がすごくいい。

 練習で多くを見せては興ざめということか・・・確かに、マリオンが歌う“True Colors”は感涙もの。 それまでのアップテンポな曲にノリノリの観客といい、なんていい町なんだ!、と思わせる。
 とはいえ、素晴らしいのはやはり老夫婦二人なのだった。

  アンコール!!−2.jpg しわのひとつも隠さず、多分ほぼノーメイクで老醜をさらす。 それがむしろ優美である。

 偏屈なジジイではあれどアーサーのマリオンへの想いは強く、そこで素直になれるなら息子やまわりの人にも素直になったっていいのではないか、と思ってしまうが、つまりはそれだけマリオンが特別な存在だということで。 若い頃の写真のアーサーがえらいことハンサムで、「これがテレンス・スタンプの若き日か! めちゃめちゃかっこいいよ!」と心の中でどよめいた。 機会があれば『コレクター』、ちゃんと見てみたいです。
 “True Colors”がマリオンからアーサーへの想いなら、終盤、アーサーが歌うのはまさに<返歌>。 それも挽歌ではなく相聞歌。 日本の和歌の真髄をここで感じ取れるとは!

  アンコール!!−6.jpg 夫妻の息子とその孫娘の関係もいい。 とりあえずカップケーキを焼く前の状態のを食べたり、それで遊ぶのはやめましょう(生卵、大丈夫ですか?)。

 父に肯定されていないと感じる息子、素直に息子を認められない父親、そんな二人を繋いでいた優しくて穏やかで芯の強い母親、という構図もベタではあるが、描きすぎない引き算の表現。 しみじみと、あぁ、イギリス映画だなぁって感じ。
 だから少々物足りなさもないわけではないけれど、あえてそこでやめておくという必要十分な潔さがいいですね。 ラストシーンの意味も、じわじわと胸に迫るし。
 確かこの映画、WOWOWも協賛してたな。 テレンス・スタンプ特集をやってください!

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 06:29| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする