2013年07月13日

奇跡のリンゴ



 これは見るかどうか悩んだのだが、中村義洋監督の初メジャー作品じゃないかしら?



(『ゴールデンスランバー』もメジャーだったのかな?)、と思ったのと、やっぱり地元



ネタだからね・・・ということで。



   それは、妻への愛でした。



 子供の頃から何かの仕組みを細かいところまで調べていかないと気が済まなかった



秋則(阿部サダヲ)は、リンゴ農家の二男であるが故に学校卒業後に東京の会社に就職。



しかし幼馴染であこがれの美栄子(菅野美穂)の家に婿入りすることになり、リンゴ農家に



なることに。 が、リンゴのための農薬散布が妻の体調を崩していることを知り、無農薬で



リンゴを育てることを決意するのだった・・・という話。



 現在、主流のリンゴは生食用に品種改良を重ねに重ねたもの。 人が食べて甘いのだから



虫にとってもおいしいのだろうし、病気にもかかりやすい。 なので無農薬でリンゴを育てる



のは無理、と言われた時代のことで、周囲のリンゴ農家からは当然反対されている。 しかし



それでもあきらめなかった不屈の人の物語といえばさにあらず、これでいいのかとさんざん



迷いながらちょっと精神的にもやばい時期もあったし、収入ゼロに落ち込んでの貧乏暮らしも



あり、それでも家族や仲間の支えや理解があってこそ!、という非常に日本人好みの話



かなぁ、という気が。



   菅野さん、貧乏時代の洗いざらしのシャツ姿でもお美しい。



 ご当地映画特有のぬるさがなくもないが、本気の津軽弁でやったら字幕が必要だろうし



(多分あたしもわからない)、イントネーションの微妙さもここは受け入れておくべきだろう。



それにしても伊武さんの“津軽の頑固おやじっぷり”はすっかり板についていて素晴らしい



(地元のタレントさんが他のリンゴ農家の役で出ていたが、さすがに自然で聞きやすい訛り



だった)。 「したはんで」=「だから」、「したばって」=「だけど」といった接続詞は出演者の



みなさんマスターしておられました(そういうのは見る側も何を言っているのか予測できる



からかな)。



 農薬を使わないないため、リンゴの木についた虫を家族総出で取る場面が再三あるが・・・



どう考えてもこれはCGじゃない! ほんとに虫何百匹と揃えたのか!、と思うと鳥肌・・・



その努力のおかげで真実味が宿っております。



 雪に覆われたリンゴ畑から岩木山を望むショットには、ちょっと涼しい気持ちになった。



まぁ、あたしには八甲田山のほうが見慣れた眺めですが。



   理解のある頑固ジジイって、いいなぁ。



 時系列通りに進んでいくのでこの長さ(129分)は大丈夫か、と思ったが、意外にテンポ



よく進む。 美栄子の父(山崎努)が無愛想で怖そうなジジイっぽいけど実は・・・っていう



のはわかっていてもぐっときますなぁ。 登場人物ひとりひとりをしっかり押さえつつも



深追いはしない感じもさらっとしててよいのですが(感動を押し付けないから)、終わり方が



曖昧・・・。 どういう感じで終わるんだろ?、と心配していましたら、「えーっ、そんな、



なし崩しに?」だったのでそこは残念。 ラストがバシッと決まれば日本アカデミー賞の



作品賞とれるくらいのレベルなのに(まぁ、候補には上がるかなぁ)。



 日本の農家の職人気質な姿勢をよく描いていると思うけど、一言で説明できる解決法は



疑問(まぁ、わかりやすいですけど)。 木酢液に炭などを混ぜ込んだ特製消毒薬の話は



出てこなかった・・・期待してたんだけど。 描きたいのはリンゴづくりのディテールではなく、



無理難題に立ち向かう人と支える人たちの姿だったんだろうな。


posted by かしこん at 20:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする