2013年07月04日

殺しのナンバー/THE NUMBERS STATION



 ジョン・キューザックスペシャル、パート2です。



 しかしこれもひねりがない、ちょっと昔の映画みたいな邦題(スティングの“Murder By



Number”が頭をよぎった)。 “THE NUMBERS STATION”とはいわば“乱数通信局”、



暗号として使う数字を短波で放送する基地のこと。



   生き残るために――誰を信じ、誰を守り、誰を殺すべきなのか?

        今、この瞬間にも――「暗殺」「テロ」「麻薬取引」「クーデター」の

        数字化された暗号指令が、公共電波で流れている!



 CIAベテランエージェントのエマーソン・ケント(ジョン・キューザック)は最近仕事に



疲れを感じてきていた。 必要のためとはいえ若い娘の口を封じなければいけない状況に



辟易していたのだ。 それを感じたボスは彼を第一線から外し、イギリスの片田舎にある



乱数放送局に回す。 ていのいい左遷ではあるが、同時に休養のつもりだった。



 新たな任務はその局で送信係として働く暗号作成のエキスパート、キャサリン(マリン・



アッカーマン)の護衛。 危険な世界にいることは承知の上なのに、あくまで明るく無邪気な



キャサリンの言動にエマーソンは殺伐とした現実を一時忘れて癒されるような気持ちになる。



とはいえ恋愛方面に進まないのがこの映画の(というかジョン・キューザックのサスペンス



映画全般の)いいところ。 男女間云々ではなくてあくまで人対人、大きく括った人間愛



みたいなものがあるのです。 字幕ではエマソンになっていたけど、普通はエマーソン



だよねぇ、字数の都合でしょうか(しかもエマーソンってファミリーネームだと思っていた



・・・ま、エージェントだから本名ではないのかもしれない)。



 が、のんびり平和な任務のはずが、突然の襲撃を受けて・・・という話。



   このカットだけ見るとラジオ局にいるようですが

     (ある意味ラジオ局なんですが)、流すのは数字を読む声だけです。



 カスパー・バーフォードって知らない監督さんだなぁ、と思ったらデンマークの人らしい。



そう言われると景色を切り取るカットにはなんだか北欧っぽさがある気がする。 多分



低予算なんだろうけど、主な舞台を地下にある放送局に限定することでそれを感じさせない



出来になっている。 いきなりの爆発のせいで耳をやられた描写を、その人がどう聞こえて



いるのか観客にも体験させる手法はリアルで面白かったです(オープニングの静かなる



スリリングさも素敵!)。



 キャサリン役の人、見たことあるなぁと思ったら『ウォッチメン』の一人じゃないですか!



年齢がわからない感じがよかったです。 エマーソンのボス(リーアム・カニンガム)も



CIAの管理職にしては人間味がにじみ出てしまう人でかっこいいと思ってしまった(勿論、



それは彼の一面だけかもしれないのですが)。



 そう、サスペンス・アクション映画のくくりでありながら、これは人間性の話。



 エージェント(スパイ?)として生きていくことがいかに個人の尊厳を損なうのか、感情を



麻痺させることができない人間は<非情な組織>にどこまで耐えられるのか、ということ。



となるとどこで自分のポリシーを貫くか。 スパイの世界だと生死に関わってきますが、



ちょっとした組織の中に身を置く人ならば誰しも心当たりがある問題。 だからこそ、彼を



応援したくなってしまうのでしょうか。



 襲撃してきた組織は何者なのか、とか謎のままの部分も残りますが、それはそれで



いいような気が。 くたびれた男を演じるジョン・キューザックをどうも見捨てられないのは、



彼の睫毛が長すぎるからだとこの映画を見て気づきました。



 これからもサスペンスの似合う男でいて! そしてB級映画の牙城も守って!


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする