2013年06月27日

イギリスミステリの心地よさ



野兎を悼む春/アン・クリーヴス



 “シェトランド四重奏”の第三章、今度の季節は春です。



 今回は前二作でペレス警部に「こいつ、大丈夫か」と思われていた若き刑事のサンディ・



ウィルソンが大役を! なんと帰省したウォルセイ島で、自分の祖母ミマの遺体を発見して



しまうのだ。 ウサギ猟の流れ弾に当たったせいと思われるが、ミマの遺体の状況に不審な



ものを感じたペレス警部はひそかに調査を開始する。 公式の捜査ではないので、今回は



本土からの応援はなく、サンディと協力することに。



   表紙の世界観も好きだなぁ。



 おぉ、ペレス警部に「サンディ、大人になったなぁ」って思わせるなんて!



 まだ全体的にダメダメの要素たっぷりのサンディ刑事ですが、ちょっとずつでも人は成長



するのね!、という望みをつなぐことができます。 しかし事件としてはなんとも・・・狭い



地域、固定された人間関係というものが醸し出す閉塞感は世界共通なのでしょうか。 島に



遺跡発掘調査に来た大学院生までもそのようなものにからめとられてしまうのはものすごく



かわいそう。



 なんだか横溝正史っぽい! (← 褒め言葉)



 残す季節は秋。 第四章はすでに刊行済みなのですが、それ読んだらこのシリーズ



終わっちゃうのか・・・と思うともうちょっと後回しにしようかなぁ、という気持ちになる。





必然の結末/ピーター・ロビンスン



 主席警部バンクスシリーズ、こちらも三作目。



 舞台はいつもの通りヨークシャーの田舎町イーストヴェイル。 反原発デモが思わぬ



暴動に発展し、そのさなかに警察官が刺殺される・・・という、なんとも「今後の日本でも



起こりかねない光景」の予感。



   “必然の結末”って・・・タイトルがもう後味悪い。



 でも反原発問題はあまり尾を引かない(書かれた年代のせいもあるでしょうし、あまり



社会派にしたくないという作者の気持ちもあるのかも)。 むしろ人間の深層心理とか、



人間関係の些細な陥穽を描きたいんだろうなぁ、という気がする。 だから特にものすごい



トリックや意外性があるわけでもないのに、バンクスたちの辿り着く先を知りたくなって



読んでしまう。 ヨークシャーの風土も好きになってきてしまった。



 アメリカのハードボイルドやシリアルキラー中心のものよりも、イギリスのミステリは



やはりクリスティの国という自負があるのかどうか、派手な演出よりも論理重視で、殺伐と



した結果であってもトータルとしてなごむのは、やはり古き良きミステリをあたしが好き



だからでしょうか。 北欧ミステリブームも続いていますが、イギリスもやっぱりいいなぁ。


posted by かしこん at 06:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする