2013年06月11日

オール・クリア1・2/コニー・ウィリス



 結局、ちょっと手をつけたらやめられなくなってしまい、勢いで2冊とも読んでしまい



ました・・・というか、これは途中でやめるのは無理よ。



 2060年のオックスフォード大学史学生はタイムトラベル技術を使って過去に現地



調査に行くのが習わし。 かくしてポリー、メロピー、マイクルの三人はそれぞれの



目的のために、どうにか1940年のイギリス各地に飛んだ。 過去に行くまでのごたごたと、



過去についてからのごたごた、それぞれの降下点(タイムマシンの入口のようなもの)が



開かなくてこれからどうなる・・・というのが『ブラックアウト』のあらまし。 だから描かれる



パートは2060年と、1940年・1941年ぐらいのはずなのに、ちょこちょこと1944年や



1945年の描写があって、これはなんなんだろう、とは思っていました。



 その謎が、『オール・クリア』1巻目の比較的最初のほうで解ける!



   となると、この表紙の意味もわかってくる。



 なので読むのがやめられなくなるわけですが、学生たちは歴史に関与してはいけない



ことになっているので、時代や場所に応じて名前を変えています。 だから最初は誰の



ことかわからなくとも、言葉の端々やモノローグなどからそれが誰と同一人物なのか



わかる! それがまた、長いこと読んできた自分に対するご褒美のようになるわけで、



メインの3人以外の時代人(タイムトラベラーではなくて、普通にその時代に生きている



人たち)にもどんどん愛着が湧いてくる。



 結局、土曜日は徹夜して『1』を読み切り、『2』に入る。



   VEデイの意味がわかった今日此頃。



 が、『2』に入るとどうも雲行きが急速にあやしくなる。 史学生は歴史に関与しては



いけないというか、そもそも関与しそうなときにはネット(タイムマシンのことです)は



開かないから、<ネットが開く=その時代に行けた>ということは学生が何をしたって



大きく歴史には影響を及ぼさない、というのがオックスフォード大学史学部ダンワージー



教授の大前提だったのだが、『ブラックアウト』冒頭でイシカワ教授に「それはあまりに



楽天的な考えで、目に見えないような小さな積み重ねが大きなうねりを引き起こすことも



ある」的なことを警告され、ダンワージー教授はずっと不安を抱えていたわけですが



(学生たちの降下スケジュールを次々キャンセルしたりね)、ここにきて再登場した



ダンワージー教授はすっかり老けこんでしまって、『ドゥームズデイ・ブック』で発揮して



いたリーダーシップは影も形もなくて、すごく悲しくなってしまった。



 そして1995年の大英戦争博物館での出来事もはさんで、大方の流れはわかって



きたぞ、と思っていたあたしに、ラストまであと80ページを切るぐらいのあたりから



怒涛のように感情の波が押し寄せてきて、取り囲まれて、ポリーのことを自分勝手だと



思ってイライラしたこともあったのに、全部そんなのすっ飛ばしてもう最後のページまで



涙が止まらないのである。



 名に聞こえし悪童、さんざん手こずらされたビニーとアルフのホドビン姉弟がこんなにも



成長するなんて!(泣いてしまう要因はそれだけではないんだけど、これ以上語るとネタ



バレになるから)



 サー・ゴドフリーも、教区のグッド牧師も(絶対帰ってくると思ってた!)、大好き!



 だからコリンとポリーは結構どうでもいいや、とか思っていたのですが、ラストシーンで



わかる事実に、またも「うおぉ!」と叫びたくなって(はっきりとは書かれてはいないんだ



けどね)、時空連続帯はカオスだけれど必要なところはちゃんとつなげていくんだなぁ、



という、運命の正体のようなものを見たような気がしました。



 でもそのために、大きな犠牲を伴った・・・。



 だが、それはタイムトラベルをする学生たちだけに起こることではなくて、大きな災厄を



前にした時代人(つまりはあたしたちのことである)すべてに共通すること。 いきなり



死んでしまうかもしれない、誰かのために自分の身を顧みず行動しなければならない



ときもあるかもしれない、からくも生き残ったら次代のために何ができるかと精一杯生き



なければならない。 ロンドン大空襲を生きのびた人々のように。



 ・・・はぁ、魂を持っていかれた感じ。



 泣きはらした顔で仕事場に行けないぜ。 濡らしたタオルでまぶた冷やそうっと!


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする