2013年06月05日

アンチヴァイラル/ANTIVIRAL



 この映画のポスターを最初に見たとき、タイトルを『アンチライヴァル』だと読んでしまい、



内容がわからない・・・ポスターと合わない・・・と一瞬混乱しました。 『アンチヴァイラル』:



“抗ウイルス剤”なのですね・・・納得。



  

    ――才能は遺伝する―― ブランドン・クローネンバーグの衝撃的な監督デビュー作!

      あなたの すべてに 感染したい

    ウイルスをめぐる陰謀に満ちた、近未来サイバーパンク・ミステリー



 クローネンバーグの名前を持ちながら映画界にあえて進出とは、勇気があるというか



なんというか。 またそれを最大の売りにしてしまう戦略、開き直ってますか?



 しかし冒頭から白を基調に、黒が差し色になるミニマムな色調に、「おぉ、父親とは違う



路線か!」とちょっと盛り上がりました。



 あるクリニックで注射技師として働くシド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、セレブが



感染した病気のウイルスを買い取って培養し、希望者に接種する、というビジネスを主に



している(その際、ウイルスは遺伝子操作され宿主以外には感染しないようになっている)。



と同時に、仕事で手に入る権利を行使して、セレブ達のウイルスや細胞を闇マートに横流し



したりもしている。



   シドは肌が白い・目が赤い・常に俯きがちで上目がちに

    人を見る、そのビジュアルからは吸血鬼を連想する。



 シドの意図はよくわからない。 横流しをしたってすごく金を儲けている感じもしないし、



クリニックのボディチェックを潜り抜けるために彼は自分の身体にウイルスを植え付け、



自分の身体を培養器にしているのだ。 ダメージを受けているはずなのに、それでも繰り



返してしまうのは中毒性に陥っているのか?



 そもそも、こんなクリニックがビジネスとして成り立つのは、「自分の好きな・崇拝する



セレブと同じものを体験したい」という一般人が一定数存在するから。 芸能人おすすめの



お店に行列ができたり、好物だといったお菓子が売り切れたりと現代でもそういう要素は



あるわけで、そこがよりエスカレートしたら・・・という発想は確かに地続きのSFである。



もしくは変態的アプローチによる現代批判というべきか。



   こんな感じでセレブの培養された

     筋肉細胞が入ったソーセージなども売っている。

     いくら好きな相手でも、あたしは買えないなぁ。



 心理学的には<同化による快楽>とでも規定されそうですが・・・。



 だんだんキモくなってきたぞ、と思っていたら、映像のほうも抑えたミニマムを捨て、



『ビデオドローム』や『イグジステンス』みたいなことに・・・。



 結局、シドもハンナ・ガイスト(サラ・ガトン)というセレブへの屈折した愛情があるらしい、



とわかる無茶苦茶な行動はほんとうに愛ゆえなのかそれともこの仕事をし続けたがための



錯乱なのかもよくわからないのですが、“吸血鬼”の解釈を新しくするものではありました。



 血がほしいんじゃなくて、血液に含まれている成分(ウイルスを含む)を自分の中に取り



込みたいという欲望、なのかな。 まさに、同化という快楽。



 陰謀なども一応あるんですが・・・シドにはあまり関係ないというか、自分の望みのため



なら何でも利用する立場になっちゃってるから。 マッドサイエンティストの恐いものなさ、も



しっかり描かれています。



 アンチヴァイラルとは薬なのか、それとも今後の人類の向かうべき道筋なのか。



 でもそこまで映画は大きなことは描かず、個人レベル―それこそシド個人の問題に収斂



されてしまったのが<いまどき>の単館系映画っぽいところです。 多分それがやりすぎ



ない感じでよかったのかも。



 ただ不思議だったのは、映画に出てくる大画面テレビがどこのもすべてTOSHIBA製品



だったこと。 提携しているのかと思ってエンドロールよく見たけれど、見つからなかった・・・。



 あと、意訳のレベルでもないのでは?、という字幕の残念さ。 細かな違和感ではなくて、



そう訳したら会話の主旨も変わってしまわないか?、という動揺。 まぁ所詮あたしの英語力



なので勘違いの可能性はありますが・・・日本語字幕だけで考えても噛み合わない部分が



あったんですよね。 DVD化・WOWOW放送などの際には再検証をお願いします。


posted by かしこん at 05:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする