2013年06月30日

二流小説家 シリアリスト



 「大丈夫か?」とわかっていても確認したいときがある。



 そんな動機で見に行くのもどうかと思うけど・・・でも<上川隆也、映画初主演>だし。



 小説家としてはいまいち売れず、いくつもの名前を使い分けて雑文書きとしてどうにか



生計を立てている赤羽一兵(上川隆也)だが、ある日、死刑確定囚の連続殺人犯の呉井



大悟(武田真治)から手紙が届く。 赤羽の書いたエロ小説のファンだという呉井は、



赤羽になら自分の告白本を書いてもらってもいいと言う。 もしかしたら、これは売れる



作家になるためのチャンスかもしれない、しかし何故自分なのか、これは引き受けても



いいことなのか。 そしていつしか赤羽はとんでもない事態に巻き込まれていく・・・という話。



   必ず貴方もダマされる! “連続”殺人事件、“連載”開始。



 もともとの原作はアメリカのだし(それを日本でやることがそもそもチャレンジだが)、長い



から二時間にまとめるとしたら家庭教師に行ってる女子高生のところはカットかなぁ、とか



思っていたら原作の要素全部詰め込んでるわ!(とはいえ、家庭教師と学生という関係では



なく、おじと姪になってたけど)。 そう、原作にある程度忠実にと考えるあまりに詰め込み



過ぎになっていて、むしろ全体的に浅い印象になってしまっているのが残念。 主人公



(原作ではハリー)は気弱で押しに弱く、優純不断で自分の中にある小さな野心も持て余す



ような人物、というアメリカ人にしては珍しい性格の印象だったのですが、日本人に置き



換えると結構普通にいそうな人ではある。 見た目では『遺留捜査』の糸村くんより髪が短い



ぐらいの違いしかないが、“結構いい大人なのにダメな人”という感じを上川隆也はぼんやり



しつつうまく出してるかな、と思う。 でもそういう人はつっこんでくれる人が近くにいるから



輝くのであって、彼がひとりで動いている間(もしくはつっこんでくれない相手と一緒にいる



間)は主人公なのに印象薄いのです。



   多分、この映画で褒められるのは武田真治だろう。



 その反面、呉井(原作ではクレイ)との対面のシーンではおどおどする部分と強気に出る



部分、本質に迫りたい気持ちなど複雑な心境が見え隠れ。 キレかかった人をやらせたら



似合いすぎの武田真治もまた原作のイメージよりは知性的になってるけど、しっかり魅力



あるキャラになっていた。 二人の会話はクラリス・スターリングとレクター博士と言うよりは、



<ものを生み出す側>と<鑑賞者>の立場の違いを明確にした芸術論を戦わせている



感じで面白かった。 で、当然その会話の中に事件の謎を解く手がかりが潜んでいるの



だけれど、あえてその台詞をフラッシュバックさせない演出は勇気があるなぁ、と思って



しまった(それだけ観客を信頼してくれているのだろうか、気づかない人はなんで赤羽くんが



真相に辿り着いたのかわかんないと思う。 その分、映像でフォローはしていたけど)。



   ま、伊武さんもいつもの感じではあるけど、

      今回は彼のユーモアあふれる空気にだいぶ助けられましたよ。



 いろいろ詰め込み過ぎなため前半は大変スピーディーで、あっという間に連続殺人事件が



起こりますが、その後は少々中だるみ・・・。 メリハリがあるのはいいけれど、停滞したら



まずい。 刑事さん(伊武雅刀)と赤羽くんが一緒に動き始めたらやっとテンポができてきて、



もっと早く彼と動いてたらもっと面白くなっていたのではないか、とくやしい思いを。



 なんだ、あたしは実は期待していたのか・・・。



 戸田恵子や賀来千香子をそんな脇役でさらっと使い捨てか!、という意外性はあるけど。



 最後は『相棒』以降の東映のわるいクセ、社会派視線を入れてしまうがため急にラストが



重たくなるし! 原作の面白さはいい意味でのB級路線をひた走った爽快感にあるのに、



その精神をこの映画では受け継いでくれなかった。 どうせ原作に忠実にやるなら、小手



先の設定よりも本質的なところを守りましょうよ。 せっかく味のあるキャストを揃えて、



原作者にも来日してもらったんだしさ。



 これがうまくいけば翻訳ミステリの日本置き換え、定着するかと期待したのに・・・あ、



やっぱり期待していたわ。


posted by かしこん at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月29日

エンド・オブ・ホワイトハウス/OLYMPUS HAS FALLEN



 顔は好みではないはずなのですが、何故かジェラルド・バトラーが好きです。 このあと



『ホワイトハウス・ダウン』という同じ題材の映画が控えていますが、いいキャスト揃いと



いう点でこっちの方が一歩リード。



 シークレットサービスのマイク・バニング(ジェラルド・バトラー)はベンジャミン・アッシャー



大統領(アーロン・エッカート)の信頼も厚く大統領警護の中心的人物だった。 が、事故で



大統領夫人マーガレット(アシュレイ・ジャッド)を救えなかったことから身を引き、今は



財務省でデスクワークをしている。



 独立記念日の翌日、ホワイトハウスへ向かう不審な飛行機が現れたことがすべての



はじまり。 韓国の大統領との会談中にホワイトハウスはテロ攻撃を受け、周囲は死体の



山と化す。



   必ず、救出する。

                 取り戻せるのか? タイムリミットは7時間。



 原題の「オリンパス陥落」は「ホワイトハウスが敵の手に落ちた」、という意味の暗号(と



いうか、符丁?)。 テロリストたちの攻撃は容赦なく、「これって『24』か!」というくらい



結構ひどい。 現場にたまたま居合わせてしまったマイクが孤軍奮闘することになる



わけですが、その姿はジャック・バウアーに重なります。



   さすが、以前特殊部隊にいただけのことはある!



 しかもテロリストが北朝鮮というのが、中国を悪者にできなくなってきたアメリカ側の最終



手段という感じでリアルです。 彼らの要求は日本海にいる第七艦隊の撤退(そうすれば



半島内の緊張が高まり大混乱を引き起こすだろう、というのが彼らの狙い)なのですが、



この映画にまったく日本の影がちらつかないのが逆に面白くて、あえてこの話に巻き込ま



ないのがアメリカからの日本への配慮なのかなと思ってしまった。 しかも韓国と北朝鮮を



真っ正面から取り上げておきながら、実は半島側にまったく配慮してないアメリカの姿勢



には大爆笑です(テロリストが普通に「Sea of Japan」と言っていたり、アメリカ軍が韓国を



占領地と思っている台詞があったり)。



 アメリカ大統領、副大統領、国防長官が人質になっている以上、最高指揮権は下院議長



なのだそうで、登場したのはモーガン・フリーマンでした。 あなた、『オブリビオン』にも出て



いたのでは!(更に言うと、国防長官はメリッサ・レオなのだった。 『オブリビオン』から主要



キャストが二人もダブっていることにもまた笑う)



   やっぱり声がいい・・・

                しかも下院議長はSpeakerと呼ばれるそうです。



 モーガン・フリーマン、今回はやけに白髪でしかもくるくるしてたし(エンドロールで、彼



専属のヘアスタイリストがいたことがわかる。 他のキャストには誰にもついていないのに)。



と、次々個人的事情から笑いが止まらないのでありました。



 人がいっぱい死ぬんですけどね〜。 そういう意味ではコンパクトに出来上がった『24』



だと思うんですが。 ツッコミどころは多々あれど、俳優たちの熱演も楽しみながら盛り



上がり、あとに残らないアクション映画ということでいろんな人が楽しめる作品かと。



   子供も助けたりしますし。



 ただあたしが気になったのは、冒頭の大統領夫人の事故の原因は何だったのか・そこは



シークレットサービスがあんなにいて防げないことだったのか(通り道の点検も事前にする



んじゃないの?)、ということ。 まるでただマイクに<元シークレットサービス>の肩書を



トラウマとともにつけるためだけのシーンだった感じがして悲しい(あたしはてっきりそれも



テロ攻撃と関係しているのかと思ってしまっていたよ)。



 それにしてもアーロン・エッカートが大統領とは、ハービー・デント、出世したなぁ・・・と



ちょっと夢を見てしまいました(ジェラルド・バトラーも好きだけどアーロン・エッカートも



好きなのさ)。



 アメリカでは国の復権は家族(近しい人も含んで、広い意味での家族)の復権と同じ



なのね、ということを実感させる映画でもあり、ホワイトハウスすらも安全ではない、という



価値観は911後のリアルが生み出したものですかね。


posted by かしこん at 07:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月28日

オブリビオン/OBLIVION



 トム・クルーズ映画、次はSFで。



 『トロン:レガシー』の監督の作品ということで・・・結構これも大コケしたのにポスターに



書いてもらえるんだ〜、じゃあ『アフター・アース』のM・ナイト・シャマランの扱いはなんで



なの?、とまたも疑問が浮かぶ。 ま、この映画には関係ないんですが。



   何故、彼は人類のいない地球に残されたのか――?

         この未来は誰も予想できない。



 2077年、謎のエイリアン“スカヴ”の突然の侵略により月は破壊され、地球は壊滅する。



生き残った者たちは他の惑星に移住するが、海水をエネルギー源にするための巨大工場を



侵略者たちから守るためにジャック・ハーパー(トム・クルーズ)とヴィクトリア(アンドレア・



ライズブロー)のふたりが交代制の任務のために地球にいた。 任期もあとわずか、次の



チームと交代する日も近いが、ジャックは地球に対して言いしれぬノスタルジーと愛情を



抱いていることに戸惑う。 スカヴとの戦いは60年前のことなのに、彼の夢にはそれ以前の



地球の光景が、そしてある女性が出てくるのだ。



 『トロン:レガシー』同様、大変映像は美しい。 美しすぎてストーリーを追いかけることを



忘れてしまうほどに。



   二人が住むスカイタワー。

     端っこにちょこんと乗っているのがジャック専用のバブルシップ。



 ちなみにタイトルは“忘却の彼方、忘れ去ってしまったこと”の意で、もうネタばれでは



ないですか。 ていうか、このテーマ、萩尾望都の『A−A’』じゃん! 20年以上前に



48ページのマンガでやったことを2時間以上かけてやったのか(しかも作品の完成度と



しては向こうの方が上)・・・ということで個人的には点が辛くなりました。



 でもSF(スペースオペラだけではない方向で)に慣れていない人たちに見てもらって



面白さに気づいてもらうためには、トム・クルーズ主演はやはり最高の宣伝材料なのかも



しれず。 そして今回はアクションもあるけれど、ジャックの内面的葛藤をナレーションと



表情で十二分に表現しており、普通に芝居がうまいではないか!、と心の中でどよめくよ。



 すみません、あなどっているわけではないんですよ。 ただ、何をやってもトム・クルーズ



じゃん、と思ってしまうような<スター>が持っている演技力にあたしはどうも気づくのが



遅いのです・・・。



 本部との連絡係として上司のサリー(メリッサ・レオ)があまりクリアーではない映像と



声だけで登場するのですが、それでもメリッサ・レオだとわかるのがすごいね! ジャックが



地球に降り立つ実行部隊、ヴィクトリアは住居兼基地にいる通信担当なのだけれど、彼女を



演じるアンドレア・ライズブローは『ウォリスとエドワード』とも『シャドー・ダンサー』ともまた



違う顔! えっ、32歳なの!



 ジャックの夢に出てくる女性(オルガ・キュリレンコ)がこの映画的にはヒロイン扱いなの



ですが、あたしにはヴィクトリアの切なさのほうに胸を打たれたよ。



 そしてもう一人の主役とも言えるモーガン・フリーマンは、実際彼を主役にしてもう一本



映画がつくれるだろ、というキャラクター。



   声がいいんだよなぁ!



 地球に残された遺物としてアンドリュー・ワイエスの『クリスティーナの世界』が重要な



意味を持つことにもあたしはニヤリです。



 と、気に入っている要因が結構あるのにトータルとして満足度が低いのは何故か?



 実は密かに期待しすぎていたのかもしれない・・・。


posted by かしこん at 04:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月27日

イギリスミステリの心地よさ



野兎を悼む春/アン・クリーヴス



 “シェトランド四重奏”の第三章、今度の季節は春です。



 今回は前二作でペレス警部に「こいつ、大丈夫か」と思われていた若き刑事のサンディ・



ウィルソンが大役を! なんと帰省したウォルセイ島で、自分の祖母ミマの遺体を発見して



しまうのだ。 ウサギ猟の流れ弾に当たったせいと思われるが、ミマの遺体の状況に不審な



ものを感じたペレス警部はひそかに調査を開始する。 公式の捜査ではないので、今回は



本土からの応援はなく、サンディと協力することに。



   表紙の世界観も好きだなぁ。



 おぉ、ペレス警部に「サンディ、大人になったなぁ」って思わせるなんて!



 まだ全体的にダメダメの要素たっぷりのサンディ刑事ですが、ちょっとずつでも人は成長



するのね!、という望みをつなぐことができます。 しかし事件としてはなんとも・・・狭い



地域、固定された人間関係というものが醸し出す閉塞感は世界共通なのでしょうか。 島に



遺跡発掘調査に来た大学院生までもそのようなものにからめとられてしまうのはものすごく



かわいそう。



 なんだか横溝正史っぽい! (← 褒め言葉)



 残す季節は秋。 第四章はすでに刊行済みなのですが、それ読んだらこのシリーズ



終わっちゃうのか・・・と思うともうちょっと後回しにしようかなぁ、という気持ちになる。





必然の結末/ピーター・ロビンスン



 主席警部バンクスシリーズ、こちらも三作目。



 舞台はいつもの通りヨークシャーの田舎町イーストヴェイル。 反原発デモが思わぬ



暴動に発展し、そのさなかに警察官が刺殺される・・・という、なんとも「今後の日本でも



起こりかねない光景」の予感。



   “必然の結末”って・・・タイトルがもう後味悪い。



 でも反原発問題はあまり尾を引かない(書かれた年代のせいもあるでしょうし、あまり



社会派にしたくないという作者の気持ちもあるのかも)。 むしろ人間の深層心理とか、



人間関係の些細な陥穽を描きたいんだろうなぁ、という気がする。 だから特にものすごい



トリックや意外性があるわけでもないのに、バンクスたちの辿り着く先を知りたくなって



読んでしまう。 ヨークシャーの風土も好きになってきてしまった。



 アメリカのハードボイルドやシリアルキラー中心のものよりも、イギリスのミステリは



やはりクリスティの国という自負があるのかどうか、派手な演出よりも論理重視で、殺伐と



した結果であってもトータルとしてなごむのは、やはり古き良きミステリをあたしが好き



だからでしょうか。 北欧ミステリブームも続いていますが、イギリスもやっぱりいいなぁ。


posted by かしこん at 06:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月26日

『ひこうき雲』のビデオクリップ



 映画館で、宮崎駿監督の新作『風立ちぬ』の特別映像(4分間)が上映されてました。



 冒頭でちょこっと主人公のモノローグ(詩の暗唱?)があるけれど、それ以降は主題歌に



決まっているユーミンの『ひこうき雲』がフルコーラス流れ、それに合わせるようにときどき



効果音、登場人物のちょっとしたセリフ(といっても数えるほどですが)、文字での大雑把な



状況説明がありますが、もうこれはほとんど『ひこうき雲』の新しいビデオクリップだな!、



という感じ。



 そして映画のストーリーの流れも想像ができてしまった(実際は違うのだろうけれど、



なんだか見た気になってしまった)。 この4分で、結構おなかいっぱいです。



 むしろ、棒な台詞を聞かされたり、声とキャラがあってない等の被害を受けないためにも



ここで引いておいた方がいいんじゃないか、という気持ちになってきております。



 おかげで、ふと気づくと、



   ♪ そらにーあ・こ・がれてー そらをーか・け・てゆくー あのこのー いのちはー ♪



 と、口づさんでしまう始末。 あたし、荒井由実時代はリアルタイムでは知らないのですが、



のちのベストなどで聴いたり(なので荒井時代と松任谷時代の区別が曖昧)。



 というか、あたしがこの特別映像を見たのは上映前(しかも、たとえば21:20〜という



ときには21:16から特別映像が始まります。 そのあとにCMやって、通常の予告編を



やって、本編という流れ)。 しかし流し始めた当初は(6月8日から始まっているそうで)



映画館によるのかもしれませんがお客が見た映画のエンドロール終了後にこの映像を



流してたらしい。 「おかげで見に行った映画の余韻を全部持っていかれた!」と苦情が



殺到し、今はどこでも上映前に流すようになったとか。



 ・・・そんなの当たり前じゃないか、見に行った映画と関係ないものを終わったあとに流す



こと自体異常。 なりふり構わない宣伝姿勢を見せられると、ほんとにこの人たちは映画が



好きでやっているのか? 自分さえよければいいのか?、という気持ちになって哀しい。



 少なくともあたしは、最初に見られてよかったです。



 『風立ちぬ』を見に行くかどうかは、微妙です。


posted by かしこん at 05:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画関連情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月25日

イノセント・ガーデン/STOKER



 ポスターを見て、なんとなくダークファンタジーかな〜、と思い(ミア・ワシコウスカ好き



だし!)、が、チラシを手にとってみれば監督パク・チャヌクの文字が・・・『親切なクムジャ



さん』から『渇き』に至るまでの無意味なまでの流血が頭をよぎり、いやいや、ハリウッド



初進出なのだからそこらへんはちょっと抑えるんじゃないの?、ニコール・キッドマンも



出てるわけだしさ!、という希望的観測を含め(R+15ではなくてPG12どまりだし)見に



行くことにする。



   18歳になった私に届いたのは、秘密の扉を開ける鍵――。

     (このポスターだったら、ダークファンタジーの雰囲気でしょう)



 子供のことから他人とは違う鋭敏な感覚を持っていたインディア・ストーカー(ミア・ワシコ



ウスカ)は、大邸宅に父と母と三人で暮らしていた(離れには料理の出来ない母親のために



家政婦さんも住んでいるが)。 が、18歳の誕生日に父が事故死したとの報が入って・・・



という話。



 ファーストカットから、「やばい、韓国映画だ!」という空気濃厚。



 その感覚は登場人物が増えるほどに薄まってはいくけれど、美意識とこだわりが発動して



いるオープニングクレジットからまがまがしさがあふれている。 一見美しいだけに手に負え



ないぞ、という感じ。



 冒頭のインディアのナレーションの中で印象的だったのは、「花が色を選べないように 



人は自分も選べない それに気づけば自由になれる」というもの。 これがこの物語の



テーマそのものだと気づくときには、映画はもうラストシーンですが。



   似ていない、母娘。



 あたしは最初、てっきりインディアと母(ニコール・キッドマン)は義理の関係かと思って



いました・・・それくらいインディアの態度はよそよそしくて、まったく心を開いていない感じ



(だからといって母も夫の愛情を奪われたという気持ちがあるのでインディアに対して態度は



そっけないし、原因は娘だ、という姿勢。 仲良くなれるわけがない)。 誰に対しても彼女は



無愛想で仏頂面だけど、父親にだけは違っていたらしいと葬儀に参列していた人たちが



教えてくれる。 そしてずっと外国に行っていたという父の弟(インディアはその存在も知ら



なかった)、つまり叔父のチャーリー(マシュー・グード)が現れて、インディアの日常が大きく



形を変えていく・・・。



 誰も自分を理解してくれない、と思っていたところに自分と似た要素を持つ人物が突然



出現したら、しかもお父さん子が父親を失ったところにその父の弟が現れたら、そりゃー



興味を持たずにはいられないでしょう。



   まったく瞬きしないのではないか、と思わせる

    爬虫類要素たっぷりのチャーリー。 原題“STOKER”は<ストーカー家の血筋・

    その特徴を色濃く受け継ぐもの>の意であるようだ。



 インディアの感覚の鋭敏さを観客にも体験させるためか、クモの動きにすぐ気づくどころか



妙にはっきり見えたり、置いたグラスをテーブルの上で滑らせるときの音が耳障りな不協



和音だったり、窓の外から母と叔父の会話が聞こえたり、卵の殻を粉々にすることに夢中に



なったりと、不愉快なものを楽しみに変えていかないとやってられないのかなと思わされる



んだけど・・・。



 結局のところ<少女の性へのめざめ → 自立>というストーリーなんですが、そんな



よくある話をここまで禍々しく編めたもんだなと感心することしきり。 これ、サイコホラー



だよ・・・そして不意な流血シーン、やっぱりありました。



 脚本はウェントワース・ミラー(『プリズンブレイク』のマイケル!)。



 以前の来日インタビューで、「いつか作品をつくる側に回りたい」みたいなことを言ってた



けど、本気だったんだね!(外国の俳優さんは大概そういうことを言って、プロデューサー



業を兼ねたりするのはよくあることなので)



 初めて書いた脚本だそうですが、ポイントになる台詞にはいいものがあったと思う(でも



どこまでがオリジナルの脚本で、どこまで撮影中に変えられたかはわからないけど)。



 パク・チャヌク映画ではあれども、ミア・ワシコウスカなしではこの映画は成立しない!



天真爛漫少女よりも、何か秘密を隠し持っている、そんな役で(しかも年齢不詳な感じで)



しばらくあたしたちを楽しませていただきたい。



   上映が始まったらこっちの方のポスターになりました。

    この“強い意志”を秘めた表情が素晴らしい。



 あたしは韓国映画が苦手なんですけど(土着性が半端ないというか、重すぎる)、むしろ



韓国の外で映画を撮った方がその監督のセンスなり才能なりがよくわかる気がします。


posted by かしこん at 05:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月24日

六人目の少女/ドナート・カッリージ



 イタリア版『羊たちの沈黙』というキャッチコピーに思わず手にとってしまった。 が、



レクター博士のような強力キャラは登場しない。 では、何をもってして『羊たちの沈黙』



なのか? 多分、描かれるのは悪そのもののおぼろげな形だから、かな。



 少女が連続して誘拐される事件が起こり世間が騒然となっている中、ある森で6本の



少女のものと思われる左腕が見つかった。 が、誘拐されているのは5人。 では、6番目の



腕は誰のものなのか・・・という話。



   またポケミス読んじゃった。



 難事件に対して特別捜査班が捜査に当たる、というのは最近の傾向ですが、これも



その例にもれず。 ただ、失踪人(特に少年少女)捜査専門の下っ端女性捜査官が



チームに加わるところがちょっと異色か(その彼女を主人公という形に話は進みます)。



 本格推理物を期待して読んでいくと、途中で特殊能力を持つ人物が出てきてスーパー



ナチュラルな展開になったり、まるで海外ドラマ(特に『24』)のように決まった長さまで



話を続けなければいけないので無理矢理“身内に不幸”エピソードがねじ込まれている



ように感じたりと肩すかしになる可能性が大ですが、なにせイタリアだし、とすべてラテンの



ノリで受け入れれば結構楽しめるかと。



 といっても物語の舞台はどこと明確に規定されてはいないんですけどね(作者としては



世界のどこでも起こりうることだと思ってほしいから、ということらしい)、このラテンぽさは



隠しきれないなぁ。 この「なんでもあり」感がたまりません。



 サイコサスペンス、と謳ってあるけどむしろホラー寄りだと思うとすっきりかと。


posted by かしこん at 05:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

どうした、BLOGari!



 緊急メンテナンスが入って、多少落ち着いたかな・・・と思っていたこのブロガリですが、



またちょいちょい調子が悪い。 アクセスする時間とかタイミングの問題もあるだろうから、



と大目に見てまいりましたが、三日連続ログインに時間がかかり、挙句「見つかりません



でした」と言われるのは困惑(で、トップページに戻ってみればログインした状態になって



いたりする。 そこから管理画面に入るのも結構待たされる)。



 もしや先日のトラブル多発時から、根本的な解決がなされていない、ということでは?



 で、例によって<アクセス状況を見る>のページに入るのも大変。 <訪問者>のところは



更に待たされるか、もしくは「見つかりませんでした」。



 これでは、普段はあまり気にしていないけどアクセス数がいつもより少ないのは利用者の



みなさんが同じようにお困りだからではないだろうか・・・という気持ちになってしまう。



 ブロガリのサーバは大丈夫なんでしょうか。



 急に「このサービスやめます」って言われたら困るけど、それに反対を唱えてもどうにも



ならない立場だもんなぁ、こちらとしては。


2013年06月23日

すぐに青あざが出ないと不安



 数日前、仕事場で左のひざをしたたかとぶつけた。



 半月板でも損傷したのではないか、と思うくらいの痛みに狼狽。



 原因は、室内履きを夏用に変えたのでこれまでのと微妙に履き心地が違っていたから



である(新しくおろした当日は気にしていたのだが、三日目ぐらいで完全に油断をした)。



すべって、低いスチール棚の角にひざをぶつけたのである。



 仕事場なのでぶつけたところをすぐに確認することもできず、「これでもし半月板損傷なら



労災かしら?」と思いながらも誰にも見られていなかったことに安堵する。 とりあえず



立ち上がり、さわると痛いけど両ひざの屈伸は問題なくできるのでどうやら打撲ですんだ



らしいと推察。 それ以降、足の運びに油断をしないのはいうまでもない。



 家に帰ってシャワーを浴びるときによくよく見るが・・・内出血のあざがない!



 お湯のせいで普段ならあざははっきりわかるはずなんだが・・・さわってみるとやっぱり



痛いが、最初のときと痛い場所が違うような。 どうやら、思った以上に広範囲にぶつけて



いたようだ。 で、結構深い部分を強打したかも。 何日かたった今頃になって膝頭の色が



変わってきたし、ひざよりも上の足の部分がじんわりと腫れている。



 まぁ、日常生活に支障はないわけなんですが、床に座ろうとするときに左ひざを最初に



ついてしまったりしたらそのままひっくり返りたくなるほど痛いので、そこは右からつくように



しています。



 子供のころと比べれば、いい加減めったに怪我をしなくなったような気がするんだけど、



怪我をした後の対処の仕方に成長がないというか、こればっかりは年をくった分だけ治りが



遅い気もするし、精神的ダメージが大きいなぁ、と思うのである。


posted by かしこん at 06:24| Comment(1) | TrackBack(0) | 体調 好不調の波 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月22日

モネ・ゲーム/GAMBIT



 上映時間90分ほどなのに、それ以上に長く感じた・・・。 コーエン兄弟の脚本と聞いて



いたので多少期待していたのだが、若干テンポ悪くない?



 まぁ、<ゆるーいコン・ゲーム>だというならアリですが。 イギリス的笑いのセンスは



ちょっと外れると日本人には微妙なのかも。 『ミスター・ビーン』(テレビ版)も前半は



面白くても後半は・・・というの結構あるし。



   なぜ、盗めない!?



 億万長者で俗物のシャバンダー(アラン・リックマン)に雇われている美術鑑定士の



ハリー(コリン・ファース)は、彼から受けた屈辱を忘れられず、一矢報いてやろうと策を



考える。 旧友で絵画贋作にかけては天才的な腕を持つネルソン少佐(トム・コートネイ)と



組んで、シャバンダーがほしくてたまらないモネの絵を利用しての詐欺を思いつくが、



そのためには『積藁−夜明け』の行方に関係しているとされる人物と同じ名字を持つ



カウガール、PJ・プズナウスキー(キャメロン・ディアス)の協力が絶対に必要だ・・・と



いう話。 勿論、事態は計画通りには進まない。



 イギリス人とアメリカ人の対比が結構描かれている気がします。 そう思うとキャメロン・



ディアスって明らかにアメリカ女性的キャラクターなのね。



 オープニングのアニメはなんとなく『ピンク・パンサー』的でキュート。



 でも、モネとか印象派って日本で人気が強くて、ヨーロッパでは下火気味(安定した



価値)って感じがしてたので、印象派を買いあさるイギリス人大金持ちの存在は新鮮でした。



しかしそれがアラン・リックマンなので、ほんとにただの俗物なのか、何か裏があるのではと



つい疑ってしまう。 しかもオールヌードを辞さない役作り?、本能的にポンポンが大好き



など、ダメな人ながらどこか憎めない。



   やはりいい大人が大真面目に

                間抜けなことをやる、というのが大事。



 どこか憎めないのはコリン・ファースも同じで・・・ハリーは堅物だし計画倒れの癖ありだし、



自分の間違いを容易に認めない頑固者だし、美術鑑定家をしながら自分の生活には一切



美がないことに落ち込んでるし、それは金持ちではないからか的な悲哀が漂っていて、



繊細で複雑でありながら単純なキャラ。 そこはすごく興味深い。 コリン・ファースには



今後もラブコメよりもよりコメディ寄りの作品に出てもらいたいです。



 シャバンダーが新しく連れてくる美術鑑定家(スタンリー・トゥッチ)もいかにもあやしげな



ノリの人物で・・・フランドル絵画の専門家という触れ込みだけど、実際は現代アートを



やったほうがいいんじゃないの?、といういい加減ぶり。 またそのあやしさをスタンリー・



トゥッチが絶妙に演じており・・・なんでこういう役のときは見るからにゲイっぽいのかな。



出番はあまり多くはないのですが、見ていてニヤニヤ笑いが止まらず。



 とはいえ、サヴォイホテルにおけるどたばたは(ホテルマンの方々の対応も含めて、と



いうかホテルマンの人たちの態度のほうが面白い)イギリス的笑いでしたね、下ネタがらみ



多いけどさ。



   トランクス一丁で平然と(もしくは自覚なしに)

               ホテルを闊歩するのもまた、英国紳士のたしなみ。



 途中でトンデモニッポン描写があってげんなりしますが、それもまたどんでん返しの



ための布石、と思うと悪くない(しかし世界中の観客のどれくらいが「このトンデモニッポンは



作り話のためのノリですよ」とわかってくれるのだろう)。 チャイナマネーその他が世界を



席巻していても、美術品に価値をわかって金を出すのはやはりジャパンマネーだ、と



思われているならばそれはそれでうれしいんだが(でも、どうだろう・・・)。



 ネルソン少佐のナレーションで進んでいくこの映画、ハリーと少佐がいかにして仲間に



なったのかが知りたい、と思わされるほど少佐がキュートなのです。 コン・ゲーム的



ひっくり返しの爽快感もあるけれど、総じて役者で見る映画だったなぁ、という感じ。


posted by かしこん at 20:39| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月21日

今日は3冊と、他に2冊。



 雨である。 盛大に振ったり、しとしと降ったり、断続的に緩急つけて降り続く雨は



まさに<梅雨時>といった趣。



 それ故に、あたしは靴とカバンを固定している。 多少の水ならはじく帆布のカバンは



多少使いこんでいるがためにより雨に強い。 しかし縦に長い構造なので、細かいものが



どんどん下に入り込んでしまった見つけにくい、という欠点が(今日はポケットティッシュを



見つけるのに一苦労)。



 が、本を買うときも水に強いカバンは便利なのである。



   宇宙兄弟21/小山宙哉



 いつの間にやら21巻。 そしていつも通りのスローペース・・・ま、これが『宇宙兄弟』の



よさなんですけどね。 30巻ぐらいになったら、ムッタがNASAに行ってからあたりから



一気読みしたい。



 どこか影がある・問題を抱えていそうな人物として描かれてきた人も、ムッタやヒビトの



おかげ?で人間的な部分の深みが出てくることが多かったけど、出てきたときから取り



つく島もないNASAのゲイツは最強の敵役ですか? ま、そのうちコテンパンにやられる



んだろうな、と感じつつ、それがだんだんかわいそうになってきました。 ムカつくけど。



   嘘解きレトリック1/都戸利津



 初めて読む漫画家さんに対してはハードルが高くなってしまうあたしですが、これは



タイトルが気に入ったのと、どことなく神谷悠につながりそうな絵にあまり抵抗感が起き



なかったので。 舞台は昭和初年の日本。 物心ついたときから他人の言葉にウソが



あるかどうか聞き分けられる能力を持っていた浦部鹿乃子は、その能力故に生まれた



村では疎まれ、母親にもつらい思いを。 15歳で村を飛び出し都会へ出てきたはいいが



コネも何もない彼女には仕事口を探すのも容易ではなく、挙句行き倒れそうなところを



親切な人に助けてもらって・・・という話。



 「人は誰しも嘘をつく」という大前提を掲げておきながら、実はストーリー展開は性善説、



という・・・文科省推奨にしてもいいのではないかと思うくらい(この先はわかりませんが)。



 そう、彼女はその能力を高く買われ、探偵さんの助手になります。 信頼されて、自分の



居場所ができることに対しての彼女のよろこびが、葛藤を乗り越えて素直にうれしさを



爆発させられることに、あたしは安堵しました。



   パラダイス・ロスト/柳広司



 『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第3弾。 「あ、これ読んでなかったなぁ」と思い出したら



文庫がもう出ていたので買う。 ハードカバーが出たときに、『ジョーカー・ゲーム』



『ダブル・ジョーカー』に続いて『パラダイス・ロスト』って・・・これでシリーズ終わりって



ことなのかなぁ、と訝しがり、読むのをためらわせたのだった、そうだった(で、そういうことを



今、買ってから思い出すって)。



 それでもD機関には、組織として生き残ってもらいたいなぁ。





 それと、先日図書館から本を借りつつも、いそがしさのあまりまったく手をつけられて



いなかったもの。



   萩を揺らす風/吉永南央



 なんとなく“日本版・コージーミステリ”みたいな表紙につられて。



 主人公がおばあちゃんと呼ばれる年代の方だということで<老女ハードボイルド>を



期待しています。



   小説フランス革命1 革命のライオン/佐藤賢一



 あたしにとってのフランス革命とは『ベルばら』であります。 しかし終盤、革命の立役者だった



ロベスピエールやサン・ジュストもまたのちに断頭台の露と消える・・・ということが理解



できなくて、<恐怖政治>をキーワードに結構調べたつもりだったけど地方の図書館には



あまり資料がなくて、納得いかないまま大人になったあたしに、木原敏江が『杖と翼』



サン・ジュストをメインに描いて恐怖政治の実態を教えていただきました(自分で史学部



行ってフランス革命を専攻にするほど入れ込んではいなかった、というのがあたしのダメな



ところです)。



 そして満を持しての登場、<小説・フランス革命シリーズ>!



 これは読んでおくべきでしょ。 というか、読んでわかる自分になっているはず・・・という



期待もこもっていますが、なにしろ長いし(まだ完結してないし)、ゆっくりじわじわ行きたいと



思います。


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月20日

ポゼッション/THE POSSESSION



 見るからにB級ホラー映画ですが(しかもそういうの好きなんだけど)、サム・ライミが



プロデューサーをしているということで若干期待値が上がります。 しかも監督が『ナイト



ウォッチ』のオーレ・ボールネダルだというではないか、これまでなにやってたんだ!



 B級の中でも上位ランクではないかと更にやんわり期待する(期待しすぎると失敗する



のでひそかに自分を戒める)。



   少女 箱 体内 謎 実話

    ・・・・ポスター、グロすぎですよ!



 これは“事実に基づいた物語”=“Based on a true story”と出る。



 先日の『コレクター』に比べて脚色度は低いということだろうか(なんでも元ネタはLA



タイムスに載ったコラムだそうである)。



 ハイスクールでバスケのコーチをしているクライド(ジェフリー・ディーン・モーガン)は、



3か月前に妻と離婚したばかり。 親権は元妻であるステファニー(キーラ・セジウィック)が



持つことになったが、週末には2人の娘がクライドの家で過ごすことに。 クライドが新居に



引っ越してから初めて娘たちが遊びに来る日、近所のガレージセールで次女エミリー



(ナターシャ・カリス)が読めない字が彫りつけられた木箱を気に入って買う。 クライドには



開けることができなかったその木箱の中には、あるものが封じ込められていて、その日



以来エミリーとそのまわりでは次々と異変が起こりはじめる・・・という話。



   しかし木箱は開けてもらいたい人を

   選ぶようだ・・・エミリー一人のときに、勝手に開く。



 結構見覚えある人、多数出演。 あぁ、このお父さん、『グレイズ・アナトミー』の最初の



頃に出ていた心臓病の患者さんか・・・やっと思い出した。 元妻だって『クローザー』の



人だもんね(どんだけ海外ドラマ見てるんですか、という話)。



 まぁはっきり言ってしまうとエクソシストものなんですが、インターネットのある世の中



なのでぎりぎりまでお父さんが調べて自分でなんとかしようとするところが新しい? 宗教



関係の人(今回はユダヤ教のラビ)はギリギリまで登場しない。



   ちょっと映像美、意識されてます。



 露骨なビビらせ演出も控えめで、ホラーの王道を行くよりは、あえてそれを題材にして



家族そのものを描きたかったのか、という感じ。 じゃあ全然怖くないのかといえばさに



あらず、生理的な恐怖をちょこちょこ入れてきて、いやがおうにも盛り上げていくところ、



うまいです。



   その病院の構造で、そこからモルグにつながるのは

    おかしくない?、とツッコミどころも多数あれど、監督の得意なもので勝負したい

    気概を感じる。



 妹を守るため、と家族で一致団結していく過程は不自然さがなくていいのですが、



その分、元妻の交際相手が結構ひどい扱い・・・もしかして、今回いちばんとばっちりを



くらったのは彼だったのではないか、とちょっと同情。



 すべて解決、と思わせておきながらラストでひっくり返すお約束も踏襲しつつ、



本人たちが必死であるが故にちょっと笑えてもきてしまうというサム・ライミの『スペル』を



ちょっと思い出す(話は全然違うんですけどね)。



 だからですかね、結構好きです、この映画。 どうしても嫌いになれないタイプ。



   私の中に“■■■”がいる。



 ポスターはこっちの方があたしは好きだなぁ。


posted by かしこん at 06:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月19日

ハルさん/藤野恵美



 最近、この本がいろんな書店で『模倣の殺意』ばりのコーナーがつくられて猛プッシュ



されている・・・なんでだろ。



 人形作家をしているハルさん、今日は一人娘ふうちゃんの結婚式。



 娘の結婚相手ともその家族ともまだ一度も会っていなくて(式場に行けば会えることに



なっている)、よろこびと不安に揺れるハルさんはタクシーに乗って会場に行く途中で、



妻である瑠璃子さんを亡くして以来一人で育ててきたふうちゃんの子供の頃の記憶が



順次によみがえり、その都度あった不思議な出来事も思い出して、式場に向かいます、と



いう連作短編集。



 ミステリとしては東京創元社のお家芸<日常の謎>系列ですが、ここは風変わりな



父親と浮世離れしつつも基本はしっかり者の娘の交流がメインの物語と思っていただけ



ればよろしいかと。



   ま、このイラストがかわいいんですよ。

    あたしは幼稚園で、お弁当箱からたまご焼きが消える事件(?)が好きですね。



 正直なところ、ハルさん頼りなさすぎ! 父親としてとか男としてとか、そういう肩書



抜きで考えてもぼんやりしすぎじゃ!



 そりゃ心配で瑠璃子さんは天国に行けないでしょうよ!、というくらい頼りない(でも



そんな相手を選んだのは瑠璃子さんだから、自分で責任取らなきゃいけないと思って



いるのかも。 だとしても幽霊?の瑠璃子さんに頼り過ぎで自分でヒントも見抜けない!)。



 さらに<一人娘の結婚>という大事を前にしても変わらない、というのは・・・ある意味



大物ですか?



 しかしあたしは「もうちょっとしっかりしろ!」と言いたくて言いたくて仕方がなくて。



 そもそも自分の娘を「ちゃん」づけで呼ぶこと自体どうなのかな、というあたしにも古い



価値観があるもんで(おかげでしばらく「ふうちゃん」のフルネームがわからなかったよ)。



 勿論、家庭の数だけ関係性はあって、どれが正しいとか解答は存在しないのですけど。



ふうちゃんには父親がハルさんで、多分よかったということなんでしょう。



 でも泣くほどのことはなかった・・・書店のポップでは「感涙!」とか「涙が止まりません」



みたいなこと書いていて、揚句には<涙活しましょう>みたいなキャンペーン(気分よく



涙を流すことでストレス解消!、みたいな)のポスターも貼ってありました。



 なんでも<○活>とかしなくてもいいんじゃないですか・・・。







 今朝のブロガリ緊急メンテナンスはなんだったんだろう・・・開けなくて困りました。



 やっと雨が降って、過ごしやすい気温になりました。



 でも、動きを止めると汗がだらだら流れてくるけど。


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月18日

空へのお願い



 18日の夕方から19日にかけて、強く雨の降る可能性、みたいなことを知り、



そりゃ帰り道は大雨かも知れん、と思ったあたし。 濡れてもいい靴・雨でも



大丈夫なカバン、タオルハンカチ多め、などの装備で出かけた。



 が、帰る時間となり・・・確かに空には雲がみっしり張り付いているが、蒸し蒸し



してるだけで全然雨が降りそうな気配がない!(もしかしたらいっとき、ちょこっと



降ったのかなという名残は残っていたが・・・)



 ただ蒸し暑くなるだけなら、雨の降る意味はなかろう!!



 北東北では雨が降った後は気温が下がるんだぞ!(例外:冬の場合は雨が降る



のは暖かくなった証拠である。 しかし蒸し暑さとは関係ない)。



 こっちに来て「雨が降ったのに余計暑い」を体験したときはカルチャーショックだった!



今もまだ慣れませんけど。



 19日こそは降るらしいが・・・どうなのかしら。



 降るならある程度どかんと降って、気温を下げたまえ!



 でも局地的なゲリラ豪雨は困ります。 水不足にならないよう、万遍なく降ってください、



よろしくお願いします。


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月17日

コレクター/THE FACTORY



 最近やたら老けたよね、と思いつつ、あたしはジョン・キューザックが好きなのです。



彼の主演映画が続けて2本、<ジョン・キューザック・スペシャル>と題して公開されると



あらば(しかも神戸市内で上映あり!)、見に行くに決まってるじゃないですか!



 かつてはトム・クルーズと同期の青春スターだったという彼、『ハイ・フィディリティ』の



ような愛すべきダメ男をやらせたらヒュー・グラントとはまた違う度合いのキュートさを見せ、



『コン・エアー』のようなアクション大作では正統派二枚目路線を継承し、そしてついに



『“アイデンティティー”』ではB級サスペンスの帝王に! やはり大作よりもクセのある



作品に出たいという性格上か、低予算だが見どころのある若手監督の作品に率先して



出る感じもあり、独特な立ち位置にいる人である。 中でもホラー寄りのサスペンスやサイコ



サスペンスは彼の得意なジャンルということになるだろうか、この映画もそんな作品です。



 でも、『コレクター』ってありがちなタイトル、なんとかならんか・・・。



   不気味な地下工場があった。

   6人の娼婦が 拉致 レイプ 監禁 拷問 殺害 解体 嗜食・・・これは「実話」である。

   世界中を震撼させたケイリー・ハイドニック猟奇事件を生々しく描破した

   衝撃のリアル・サイコ・サスペンス!



 これは事実にインスパイアされた物語、と最初に出る。 「事実をもとにした」よりは話の



自由度が高いということかしら? 舞台は真冬のニューヨーク州北部の都市バッファローで、



もしや『羊たちの沈黙』に出てくる連続殺人犯<バッファロービル>の名前はここから来てる



のかな?、と思い出してみたり。 でもケイリー・ハイドニックって名前は記憶にないのです



(いろいろ読んでるはずなのに、覚えていないだけかしら)。 実際の事件は1980年代だ



そうですが、映画は完全に現代設定です。



 冬の限られた期間にだけ起こる連続娼婦失踪事件を追い続けて3年の刑事マイク(ジョン・



キューザック)は相棒のケイシー(ジェニファー・カーペンター)とともにまた冬の訪れを憂う。



これまで容疑者は上がったが、アリバイがあるため釈放せざるを得なかった。 そして



遺体も見つからない行方不明者たちはどうしているのか。 苦悩するマイクは一連の事件に



のめり込むあまり家庭を顧みなくなる傾向に。 が、ある日、マイクの娘で17歳のアビー



(メイ・ホイットマン)が行方不明になったと連絡が入り・・・という話。



   刑事である前に父親? 父親であると同時に刑事?



 そんな苦悩するジョン・キューザックが見られます!



 ジェニファー・カーペンターってどこかで見たことあるなぁと思ったら、『エミリー・ローズ』の



子がこんなに成長したよ。 おまけにマイクの妻(ソーニャ・ヴァルゲル)は『LOST』のひと



だし、娘のBF役の青年も見覚えあり。 そして雪がすべてを覆い尽くさんばかりの凍てつく



寒さ、荒涼とした地域、みたいなものをしっかり映してあるのが好印象。 シリアルキラー



もので冬そして雪という組み合わせ、珍しいんじゃないかしら。



 全貌が見えてくると、タイトルは確かに“THE FACTORY”のほうがいいんじゃないかと



いう気がしてくる・・・(ただサイコサスペンスで“工場”がしっくりこないのもわかるが)。



 でも全体的にいろいろ定番だなぁ、とか、マイク、何故その手掛かりに気づかない!、と



見ている側は大変にイライラさせられるのであるが、実はそれ自体が大掛かりなミスリードで



あったと最後のほうで気づかされ、やられました!



 きれいにだまされた!



 実はすべての手掛かりはフェアに観客に提示されているのである。



 あたしもしっかり見ていたし、気がついていたのだが・・・ジョン・キューザックのあまりの



おたおたぶりに気をとられ、うまく結び付かなかった。 多分、ジョン・キューザックのことが



好きな人であればある程、だまされる率は高くなると思われる(彼に対して何も思っていない



人は素直に真相が見抜けるかも)。



 解決編部分の描写が『SAW』っぽいのではありますが、「うわー、あの複数の違和感の



正体はこれだったか・・・」とあたしは素直に反省しました。 B級だと侮っててごめんなさい、



ちゃんとしっかりどんでん返しのあるミステリーでした。 最近は途中で読めるものが多い



のであえて追求せずにニュートラルな気持ちを意識して見ているのですが、だまされると



気持ちいいですねぇ。



 最後のオチから考えると、『コレクター』というタイトルはあながち的外れでもない・・・わぁ、



邦題ってむずかしい!


posted by かしこん at 05:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする