2013年05月19日

哀しみの密告者/トム・ブラッドビー



 映画『シャドー・ダンサー』の原作本。



 もう品切れだったので図書館から借りだしました。 筆者はもともとジャーナリストで、



綿密な取材のもとに書かれた(というか、取材しているうちに書きたくなった)という感じが



する。 いろいろと衝撃的な内容です。



   なのに絶版という悲しさ。 和解が成立したから

                もう過去のことということ?



 読み始めてかなり最初の段階で驚く。 映画と全然違う!



 勿論、主人公はコレット。 彼女が子供との生活のために密告者になる、というメインの



部分は同じなのですが、それ以外は相当変わっている。 そもそもシャドー・ダンサーの



意味すら違う。 原作者が映画の脚本を書く場合、日本では失敗する例がかなり多いの



ですが、外国の場合は自作に驚くほどの改変を加えることも多くてその思い切りはどこ



から来るのかと思わされるけれど、映画としては成功なんですよね・・・(逆に、日本の



失敗は原作にこだわりすぎるため・台詞に頼り過ぎて映像的な表現の余地を減らして



しまうからともいえる)。 小説と映画は違うということがよくわかっているからなのか、



伝えたいテーマさえぶれなければあとはどう変えても構わないという気持ちなのか。



 なんかすごいなぁ、と感服。



 で、原作のほうですが・・・結構長いです。 それはIRAの中の組織というか人間関係の



描写に力を入れているせいもあるし、同じくらいMI5(国内問題担当)とアイルランド警察



との関係性も描かれているせい(そのあたりがジャーナリストっぽい)。



 確かに、邦題を『哀しみの密告者』とつけたくなるほど悲しくも非情な世界が展開して



います。 映画よりももっと非情な方向で、あれはあれで救いがあったんだな、と思うほど。



やはりIRAとイギリスの和解という事実が影響しているのだなぁ(原作が描かれたときには



まだ先が見えない状況だったため)。



 そう思うと日本は平和だ・・・けど、これからはそうも言ってられなくなるんだろうなぁ、と



暗澹たる気持ちになってきます。 勿論、そのレベルは全然違うんですけど。


posted by かしこん at 05:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする