2013年05月04日

中町信特集!



 先日の『模倣の殺意』以後、「知らなくてすみませんでした!」ということで、中町作品を



今更ながらに読むあたし。



   錯誤のブレーキ/中町信



 序章からもう嫌な予感。 登場人物の誰ひとり好きになれないような予感!



 和南城(わなじょう)健・千絵夫妻が素人探偵として活躍するシリーズもののようですが、



警察側からむしろ事件にかかわることを歓迎されていることに、なんとなく時代というものを



感じさせられます(警察から歓迎されない人たちのほうをあたしが読むことが多かったせい



でしょうか。 明智小五郎・金田一耕助・伊集院大介など、プロの私立探偵さんならば



歓迎されるのはわかります)。



 犯人以外にも、関係者それぞれの事情がじわじわわかっていくところは“犯人探し”だけが



目的ではない感じで好印象。 しかし二時間ドラマばりの<死亡フラグ>に「ちょっと、そこ、



スルーする気?!」とあっけにとられました・・・(いや、時代のせいよ)。



 でも、プロローグとエピローグで物語の印象をガラッと変えてしまう中町節は健在。





   三幕の殺意/中町信



 東京創元社が初期作品に手を入れさせて出した長編改訂版。



 なので物語の舞台は昭和40年の冬、尾瀬。 いわゆる<雪の山荘モノ>ということで、



本格度は否応なく増す。 そして構成がものすごく『模倣の殺意』によく似ている。



 叙述トリックをメインに進めた方が、やはりこの方の個性がよく出るということか。



 人物に対する何気ない描写で、「わー、もし次にこいつが殺されてもまったく同情しない



なぁ」と読者(この場合、あたしです)に思わせるところは大変親切だと思います。 今回、



あたしは津村刑事が好きでした。



 といっても津村刑事は別作品に再登場しないと思うので・・・レギュラーメンバーがいない



作品のほうが中町カラーが出せていいんじゃないかしら(でもかつてのノベルズ全盛期には



シリーズをやってくれと言われることが多かったんだろうなぁ、と出版社の事情・これまた



時代の話に思いをはせてしまいます)。


posted by かしこん at 05:29| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする