2013年04月28日

続々・図書館の逆襲



 調子に乗って本を借り出すあたしがいけないのですが、だからって何ヶ月も前に



予約を入れていた本が急に来るのも困りもの・・・そのタイミングもわかったらいいのに!



(予約者何人中、あなたは○番目です、みたいな。 そんなシステム仕様変更しただけで



膨大な費用を負担しなければならないことはわかっていますので、はかない夢ですが。



でもカウンターの人に聞いたら教えてくれるらしいですよ)。



 というわけで、<予約が詰まっている本>は早く読んで返さねば・・・と焦ってしまうあたし。



   特捜部Q−Pからのメッセージ/ユッシ・エーズラ・オールスン



 特捜部Qシリーズも第三弾。 前二作とも、読んでいるあたしの気分を不快にして



やまない描写が多々ありまして、もう読むのはやめようかと思っていたんだけれども・・・



この作品で“ガラスの鍵”賞(北欧ミステリを対象に贈られる文学賞)を獲ったということ



なので、じゃあちょっとは洗練されたのかな、と期待して。



 まぁ、事件としては相変わらずひどい話なんですけれども、確かにこれまでの話よりは



いくらかましというか、多少救いがあるというか。



 物語の構成上、被害者視点&犯人視点と捜査側視点が交互に並ぶので、犯人に



対する意外性はないし(それはある種の倒叙物としては避けて通れない道なんですけど)、



幼少時のトラウマや家族関係が原因でそうなった、みたいなのもちょっと飽きてきたかな〜。



 結局はタイムリミットものになってしまう点でミステリとしては弱いのですが、続きが気に



なるから読んじゃうんですよね(つまりは自分が弱いのでした)。



 それよりも、マイペースすぎるデンマーク人の仕事っぷりが気になってしまいます



(それでも読んでいるうちにお国柄が違うからと慣れてはきているのですが)。 一応、



主人公のカール・マークに「仕事しろよ!」と言いたくなること何回も・・・日本人が仕事し



過ぎってこういうことなのかな?



 第一作目から続いている謎はまだ明かされないし、マークとアサドやレギュラーメンバー



たちにもそれなりに愛着を覚えてきたし、なんだかんだと続きを読んでしまうのだろうなぁ、



と思う(近々4作目が発売になるし、こう順調に翻訳されるということは翻訳ミステリが



売れていない日本でも人気があるということなんでしょう。 それはめでたい)。



 でも、ドイツ語からの二重翻訳(デンマーク語から直接日本語にじゃない)というのは



残念です。





   アグルーカの行方/角幡唯介



 サブタイトルは<129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極>。



 これって、ダン・シモンズの『ザ・テラー』の元ネタのことだよね?、という興味で。



 デビュー作『空白の五マイル』よりもずっと読みやすかった、と感じたのは筆者のプロと



してのキャリアのなせる技か、それともあたしの好きな<極地>という題材のせいか。



 なかなか面白く読みました。 



 幻の北西航路発見のために、19世紀にイギリスの威信をかけて北極圏に出発したのが



フランクリン隊129名。 その後、ほぼ全員が消息不明のまま今尚“極地探検史上最大の



謎”とされるフランクリン隊の足取りを追うために自分も同じルートを歩いてみた、という



「普通の人なら思いつくけど多分実行には移さない」ことを実行に移してしまった筆者の



日々の記録&北西航路発見までの探検史まとめ。 今回は北極冒険家・萩田泰永氏との



二人行です(だから写真が豊富なのかな?)。



 “アグルーカ”とはイヌイット語で「大股で歩く男」のこと。



 フランクリン隊の生き残りらしき人物のイヌイットによる目撃談をまとめ、アグルーカとは



誰のことだったのかを検証してますが、それはこの本の一部にすぎない(結論は『ザ・



テラー』と同じだったような気がするし)。



 結果的に成功した(犠牲を出さなかった)冒険記というのはなんとなく楽観主義的だったり、



ナルシズムが見え隠れしたりするものが多い気がするんだけれど、筆者は自分の情けない



姿を赤裸々にさらけ出すので別の意味でリアル。 まぁ、「赤裸々」というか、「とほほ」と



呼ぶかは読む人次第ですが(あたしとしてはとほほ感が強く感じられましたが)。



 ぐっときたのは、自分たちは現在GPSを持って移動しているが、そもそも地図すらなかった



場所に向かう人々の覚悟や恐怖はいかに、と自問するところ。 あたしも、初めて行く場所は



事前に調べます(当たり前ですが)。 伊能忠敬がすごいってのはそういうところでもある



のだけれど、あるかどうかも定かでない北西航路を探す・しかも生きて帰れる保証はない



(勿論、参加者全員がそこまでの危機感を持っていたかはわからないけど)。 ばたばたと



まわりの者たちが斃れていく中、それでも先を行こうと、どうにかして国に戻ろうとしたの



だろうアグルーカ。



 探検って、ものすごく、かなしい。



 と、あたしは思うのだけれど・・・探検に魅せられる人々もまたいるわけで。



 せめて、どんな些細な持病であっても持っているのならばその薬は携行しようね!、と



いうことは強く伝えたいのだった。


posted by かしこん at 07:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする