2013年03月14日

これぞジュブナイル!



この湖にボート禁止/ジェフリー・トリーズ



 冒険ものと思いきや(冒険要素ももちろんありますが)、ビルとスーザンの兄妹が



湖のそばの山荘に引っ越してくるまでのディテールがなんだか<家族小説>って感じ。



 ビルの一人称で話が進むため、余計に「子供は子供なりに家族のことを一生懸命考えて



います」というのがわかり、それがイギリスの国民性をも映し出しているように感じられたり。



 1949年の作品だそうですが、そういう意味では古びていない、むしろ新鮮で面白い!



   この表紙・装丁には時代を感じますけども。



 ビルは地元のグラマースクールに通い、妹のスーザンは別の学校へ(この頃は男女



共学ではなかったのかな?)。 湖のそばの山荘に引っ越してきた翌朝、二人はボート



小屋を見つけて丈夫なボートを発見、喜び勇んで湖に漕ぎ出す。 ところが、湖の中に



ある小島の持ち主で対岸の屋敷の主・アルフレッド卿が突然現れて「あの湖はボート



禁止だ」と言い放たれる。 なんでそんなことを言われなければならないのか? ビルと



スーザンはそれぞれの学校で親友と出会い、4人で島の秘密を探るのだった・・・という話。



 怖くて厳しい、と見られていた大人が実は話のわかるいい人だったり、とご都合主義と



取られかねない部分がありますが、しかしその時代に大人は子供に対して厳しく接する



責任があったということでもあるわけで。 そして協力が必要となったら惜しまないんです。



大人ってこうあるべきよね!、とまた学ぶわけです。



 なんだか普通にわくわくして、面白かった。



 

少年少女飛行倶楽部/加納朋子



 加納朋子さん、お久し振りです!、と思わず本を手にして呟いてしまう。



 これの単行本が出たのは知っていたんですが、「面白そう」と思いつつ単行本だったので



スルー。 いつの間にか文庫が出ていました。 個人的には『レイン・レイン・ボウ』以来?



 中学校に入ったみづきは昔からの腐れ縁の友人・じゅえりの片思いに巻き込まれ、



強引に<飛行クラブ>なる部活に入ってしまう。 部長は変人、入ってくる部員はちょっと



変わった人ばかり、なんか私だけ苦労してるかも・・・のみづきの中学生ライフ一年目。



   これは「最近の本」って感じ。



 これがまたなんとも清々しいというかまっすぐというか・・・世の中には悪意とかいろいろ



あるけど、自分にも気付かない至らないところが沢山あるけど、それでもまっとうでいる



ことって素晴らしいよね、知らないでいるよりちゃんと気づいた方がいいよねという内容で



・・・あまりのまっすぐさに己のひねくれ度合いを思い知らされ、涙すること数回でした。



 「あいつ、話通じないんだけど」や「なんであの人は人の悪口ばっかり言うんだろう」など、



自分から見てどうも常識外の相手にも、歩み寄ってみれば別の面が見えてきます、という



当たり前なんだけど大人になると結構難しい(そこまでやる余裕がない)と判断して切り



捨ててしまうこと、その中に意外な真実があることを見逃しているのかもよ、という・・・人間



関係の基本ですなぁ。



 だからこそ、余裕のある中学生に是非読んでもらいたいかも。 もしくは、この4月から



中学生になる卒業前の小学6年生。



 結局いい人しか出てこないとか、実際の学校ではいじめとか大変だという冷酷な事実も



あるでしょうが(それこそ映画『桐島、部活やめるってよ』ばりの残酷なヒエラルキーなど)、



こういう小説の中でぐらい穏やかな気持ちでいたいではないですか。



 あぁ、なんかすがすがしい気持ちで読み終わる・



 ラブコメにする必要はあったのかなぁ、という部分はなきにしもあらずだし、みづきの



話し方・考え方が「ついこの前まで小学生だった割にいろんなこと知ってない?」的な



ところはあるけれど、そこは家庭環境によって培われたものだと考えましょう。 最近の



“読めない名前”についてもつけられた側からの言及もあって、そこも興味深かったです。


posted by かしこん at 04:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする