2013年02月25日

ゼロ・ダーク・サーティ/ZERO DARK THIRTY



 というわけで、『ゼロ・ダーク・サーティ』見に行ってきました。



 『ペイド・バック』が牧歌的に思える内容でした・・・。



   本当は、何が行われたのか。

   9.11から10年、ビンラディン殺害に至るまで―― 世界は、真実を目撃する



 オープニングは真っ暗な画面の中、世界貿易センタービルから“最後の”通話をしている



人たちの声が乱れ飛ぶ。 ビル崩壊のシーンを描きたくはなかったのだろう。 そして、



誰もがあの光景を思い浮かべることができるだろうという自信のようなものすら感じる。



今後時間がたてば、9.11をリアルタイムに体験していない人も増えるだろうに、この映画は



未来に残ることを想定していないのだろうか? それとも考えているからこそ、この描写



なのか。 ただ、電話の声の一人がマヤという女性に呼び掛けていた。 もしかして、彼女の



執念の原動力はこれなのかもしれない、とあたしは勝手に想像しています。



   CIAの情報分析官マヤ(ジェシカ・チャスティン)

   アナリストは基本オフィスでの仕事ですが、現地に行くこともあります。



 9.11−全米同時多発テロの首謀者にしてテロ組織アルカイダの指導者とされるオサマ・



ビンラディンの殺害計画を進めるアメリカ・CIAだがその消息は一向につかめないままに



時間が過ぎる。 2003年、パキスタンの秘密施設に「若いが、有能で冷血」との評判と



ともにマヤ(ジェシカ・チャスティン)が送り込まれる。 まずは容疑者の尋問に立ち会うが、



それは拷問と言えるものであった。 顔色を変えつつもその場に向かい合わなければ



ならないマヤだが、次第に平気になっていく。 仕事から執念へと変貌するマヤの10年を



描いた映画、なんだろうなぁ。



 オバマ政権への賛辞が含まれたプロパガンダ映画である、みたいな感じでアカデミー



会員からは人気がないらしいこの作品。 アメリカの状況がわからないのでプロパガンダか



否かの判断はできないのですが、しっかり捕虜の拷問場面がある上で、オバマ大統領が



「拷問してはいない」と記者会見(?)している映像も流れたりして中立っぽくやってる感じも



あるのだけれど、意外と拷問のシーンがあっさりしていたり。



   ちょいちょい星条旗も映されます。



 でもこれはドキュメンタリーとして見てはいけないような気がする・・・(勿論、現実にあった



事件も多数描かれているのですが)。 <マヤ>というキャラクターが、実際に何人かいる



CIAアナリストを集約してつくられたように、10年間の出来事を160分で語ることには無理が



ある。 現実にあったことをもとに、いかに観客にわかりやすく提示するかって話(そこは



脚本の力なのかなぁ)。



 現実を前にするとへこたれるので、あたしは<情報分析>という自分の仕事に絶対の



自信を持ち、上司に盾つくことも辞さない力強さと覚悟(一歩間違えば狂気になるわけ



ですが)のほうに重点を置いてみました。 そのマヤのスタンスは、ちょっとあたしにもある



部分かもしれない・・・でもそんな人をうまく使いこなすのは、上司の技量ひとつですよ。



  

   そんな上司たち。 またしてもあたしは、マーク・ストロングにすぐ気づけず。



 で、その結果のネイビーシールズ投入作戦。 軍事マニアな人たちはワクワクものの



映像なのかもしれませんが、あたしはちっとも心が躍らない。 テロ組織はアルカイダだけ



じゃないし、この期に及んでビンラディンを殺害したからって今後の状況が変わると言えるの



だろうか? 復讐は復讐の連鎖しか生まないし、しかもこの復讐は個人のものではなくて



国家のなのだ。 むなしすぎて立ち上がれない。



 ラストシーンにあるのは、マヤのむなしさなのか。 <テロとの戦い>を掲げる各国、



そして命を散らすことでしか自分たちの主義主張を伝えることができないと考えている



全てのテロリストに対するものなのか。 彼らとあてもなく戦う自分たちのことなのか・・・。



 現代を生きる者として、あたしにもそのむなしさや哀しさは伝染した。



 けれど、そこで立ち止まっていてはいけないんだよな。 どうにかしようとまた考えて、



動きださなければ・・・でも、どうしたらいいのか。



 マヤ同様、あたしも立ちすくむ。 そんな映画でした。


posted by かしこん at 06:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする