2013年01月06日

シャルダン展−静寂の巨匠@三菱一号館美術館



 東京駅丸の内南口側から徒歩で約5分、実際は美術館の入口がよくわからずに



周囲をぐるぐるし、やっと発見。 外見はレトロなレンガの洋風建築なれど、中は



最先端のセキュリティセンサーと空調を備えた小さな美術館でした。



   優しい沈黙に、つつまれる。



 一枚目の<ビリヤードの勝負>から度肝を抜かれる。 あまりに素晴らしい保存状態。



シャルダンは18世紀と記憶していたが間違っていたか?、と思うくらいの絵の表面の



つややかさ。 絵画の修復技術のレベルがすごく上がってる?、というのはエル・グレコの



ときも感じたんだけど、それとも外部の展覧会に出す前にはお化粧直しをするのかしら?



 ともかくも、ジャン・シメオン・シャルダン(1699〜1779)はフランスを代表する静物画・



風俗画の巨匠だそうである。 しかし彼の作品は世界中の美術館や個人コレクターまで



幅広く散らばっているので、彼の作品だけを集めての回顧展というのは難しいらしく、この



シャルダン展は日本で初めてのシャルダン個展。 次はいつあるのか、そもそも次がある



のかわからない、と言われてしまっては見に行くしかないでしょう、みたいな。



 今回の東京日帰り旅の目玉がこれでした。 静物画、好きです。



 そしてこの時代の静物画として欠かせない素材が現れて、ニヤリ。



   <死んだ野兎と獲物袋>



 他の画家は鴨とか鳥系が多いんですが・・・うさぎとは大胆な。



 水差しやら鍋やら、台所用品が続きますが、残念ながらシャルダンの描く肉の切り身



(腿肉や骨付き肉など)がどうもおいしそうに見えない。 鍋やらグラスは素晴らしいのに。



肉は描くのが難しいのか、それともシャルダン側に肉をあまり描きたくない気持ちがあった



のか、どうなんだろう、と考える。



   <銅の大鍋と乳鉢>

         ほら、肉がなければ何の問題もなくまとまっている。



 しかしそこを過ぎると風俗画のコーナーになる。 うーむ、シャルダンは人を描かない



方がよかったんじゃないか?、とがっかり感が押し寄せるが、あるラインを境にいきなり



完成度が高まってタッチも緻密になる。 なるほど、これなら「フェルメールに似ている」と



いう評判はダテではないぞ。



 とはいえ彼はまた静物画に戻ってきて、抜群の安定感を誇るのだ。



   <木いちごの籠>

    ポスター・チラシにも使われている絵ですが・・・木いちごよりも、グラスの中に

   ほんとに水が入ってるよ!、と見えることに驚愕。



 他にはモモ・ブドウ・スモモなどがほぼ同じ構図でちょっと周囲のものの配置を変えたり



している絵が続くのですが、「グラスに水」の衝撃には勝てない。



   <桃の籠>

      ここではグラスの中にワイン、これもなかなかいけてるが、やはり水がいちばんだ!



 なるほど、静物画の巨匠と呼ばれることに納得!



 その後、この美術館の目玉所蔵品であるらしいルドンの<グラン・ブーケ>を見たの



ですが・・・サイズが大きい上にライティングが派手派手すぎるというか絵の前からも



後ろからも光を当てているかのように見えて、一瞬あたしは「これ、スライド?」と思って



しまった(一緒に行った人は、「バス停の横の広告スペースにあるポスターみたいだと



思った」そうだ)。 よく見たらキャンバス地にパステルで描かれているのがわかるのだが、



最初に安っぽい印象を与える展示法は見直した方がいいのでは・・・でも、そう感じたのが



あたしたちだけだったらどうしよう。



 建物の中をぐるぐる回らされる流れ(で、要所要所に二重の自動ドアがあってドキドキ



させられる、引き返すことはできないのかと)なれど、こじんまりした絵を見るにはいい



スペースである。 旧財閥系でこういう美術館が東京駅から歩いて行ける範囲に一体



何か所あるんだろう、と考えると歴史を感じますね。


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・演劇・芸術・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする