2013年01月01日

マリー・アントワネットに別れをつげて/LES ADIEUX A LA REINE



 これは予告を見て「面白そう」と思ったのですが・・・そりゃそうでしょう、予告で思いっきり



ネタバレしてましたわ! いまだにこんなあくどい予告編商法がまかり通っているようでは



「だまされた!」と思った観客は安全牌の映画しか行かなくなるではないか・・・配給会社に



猛省を促したい。 チラシは読んでないけど、もしそうだったら被害は拡大していると思う。



 ま、本編は予告編とは関係ない。 映画の途中で「こりゃまずい!」と気づいたあたしは



見てしまった予告編を頭から追い出すようにがんばった。



   世界でいちばん、残酷な、片想い。



 冒頭、目を覚ました主人公が腕をかく。 眠っている間に虫にかまれたらしい。 もう



時間だからと急いで御用に行くも、途中で香水をもらって耳元や首に塗る。 あぁ、



華麗なるヴェルサイユ宮殿での生活といっても全然衛生的じゃないことに度肝を抜かれ



(多分日本人が過度にきれい好きなんでしょう)、この映画がドキュメンタリータッチで



進むことを無言のうちに了解する。



 とにかくヴェルサイユ宮殿での王族・貴族側と仕える者たちの側のリアルな暮らしぶりが



よくわかる映画です。 夜、ろうそくを吹き消したら真っ暗だし・・・こりゃ朝になるまで何も



できないというか、何か用ができてもう一度ろうそくに火をつけることすら難しいだろう。



使用人側は大食堂みたいなところで思い思いに食事して、朗読係や刺繍係といった女性



同士だけでなく、近衛兵やいろいろ記録を残す係のご老人とも気さくに会話できるって



ことにびっくり。 使用人同士で階級はないのか?



 これは意外というか、新鮮でした。



   いつも遠くから物事を眺める。



 主人公はシドニー(レア・セドゥー)、王妃マリー・アントワネット(ダイアン・クルーガー)の



お付きの朗読係である。 彼女が目覚めた朝は1789年7月14日。 それからの4日間を



彼女の視点でヴェルサイユ宮殿内で何が起こっていたのかが語られる。 確かな説明も



何もないので、シドニーは平民出身の孤児だが何らかの事情でヴェルサイユ宮殿で



お仕えする一人となり、王妃のきまぐれからか朗読係に任ぜられたらしいことぐらいしか



わからない。 天下に名高いマリー・アントワネットと間近に接することができるように



なって、シドニーは忠誠や思慕を越えた愛情を抱く。 けれどその王妃はポリニャック



伯爵夫人(ヴィルジニー・ルドワイヤン)にご執心で、シドニーはポリニャック伯爵夫人の



ことをガブリエルと陰で呼び捨てにしていたりする。 少女による王妃の絶対視は、



のちのち少女に思いもかけない選択をさせることになる・・・という話。



   蚊に刺された痕に、王妃が香油を塗ってくれて有頂天。

    これでは自分が王妃にとって特別、と思い込んでも仕方がないか・・・。



 シドニー役の人、どこかで見たことがあると思ったら『ミッション・インポシブル:ゴースト・



プロトコル』でダイアモンドを報酬に要求した女殺し屋であった(『ミステリーズ 運命の



リスボン』にも出ていたね)。 こっちはずいぶん幼いというか若い感じがあるのですぐに



気付かなかった、女優は年齢がわからないなぁ! フランス本国では「三大美女共演」



みたいな騒がれ方をしたのであろうか。



 フランス革命に関してはあたしの知識の基礎は『ベルサイユのばら』なので、まず



ポリニャック伯爵夫人が若すぎることに驚愕。 母親であるマリア・テレジアの面影を見て



おそばに置いたとかではなかったのか。 それに、もっと早い段階で逃げていたような気が



したのですが・・・(まぁ、『ベルばら』=史実ではないのですが)、バスチーユ陥落から



実際に王と王妃が処刑されるまでに、あたしが思うよりも実際はもっと時間がかかって



いるのかもしれない。



 でもそういうことはシドニーにはわかるはずがなく、ただひたすら王妃のことを考え、



宮殿がざわついているから何かあったのかと情報収集するけれどもその目的は王妃に



害が及ばないかどうか。 だから貴族たちのあわてふためく様が、シドニーを通してどこか



滑稽に映る。 フランス革命の大きなきっかけであるバスチーユ陥落すらも王宮にいれば、



詳しく事情を知らなければ大した事件だと思えないという閉鎖性は、ヴェルサイユ宮殿



そのものが標的になっていない余裕でしかないのだろうか。



   貴族や、お付きのものたち。



 完全にヴェルサイユ宮殿でロケをしたな!、という豪華絢爛なバックが素晴らしい。



それ故、王族であろうとも人間はちっぽけと思えたり。 むしろ数が集まるそれ以外の



人たちのほうが迫力があって、このシーンはのちに革命の主役となる市民・民衆の



存在を思い起こさせる(そのようなシーンはこの映画には出てきませんが)。



 が、そんな歴史上の大事件も、一人の少女の前ではかすんでしまう。 彼女にとって



重要ではないから。 彼女には、王妃の期待にこたえることが(たとえ彼女が所詮使用人と



してしか見られていなくても)なによりも重要。



 なにしろフランス映画なので、ちょっと油断していたら「そこで終わりかい!」ということに



・・・。 いやー、びっくりした。



 ラストシーンのあとのことは自分で想像しなさい、なんでしょうけど、きっと彼女は



最後には王妃の言われたとおりにするんだろうな、としか思えなくて、シドニーの王妃への



想いの深さに戦慄するしかなくなる。 同時に、彼女は底知れぬ絶望をも味わっている



はずだから。





 これで、2012年に見た映画、全部です。 やっとまとまった・・・。


posted by かしこん at 17:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち/ANOTHER HAPPY DAY



 家族ネタってかなり使い古されてるテーマだけど、それでも家族を題材にした



映画や小説が次々出てくるのは「ここの家よりもうちのほうがまし」と思いたいから



だろうか? 自分の家が普通、とつい考えがちになるから「普通なんて基準はない」と



思い知りたいからだろうか。 今回あたしは今の自分がいかに<家族から自由か>と



いうことを実感したくてこの映画を見たのかもしれない。



 ま、予告編がちょっと面白そうだったしね。



   みんな誰かに愛されたい――

       問題だらけの一家が過ごす、ある特別な週末――



 離婚した元夫ポール(トーマス・ヘイデン・チャーチ)との息子ディラン(ミシェル・



ナルデリ)の結婚式がリン(エレン・バーキン)の実家で行われることに。 ディランは



元夫とともに住んでいるため普段なかなか会えないし、ポールの再婚相手パティ



(デミ・ムーア)が母親面しているのでリンはディランに対してどう振る舞っていいのか



戸惑いがある。 リンもその後再婚し、ポールとの子であるアリス(ケイト・ボスワース)の



他に再婚相手との息子エリオット(エズラ・ミラー)とベン(ダニエル・イェルスキー)がいる。



が、リン側の子供たちはそれぞれ自傷癖・ドラッグ中毒・軽度アスペルガー症候群と



それぞれ問題を抱えていてリン自身も神経衰弱状態。 ただでさえ実家の家族の中では



自分は浮いた存在なのに、ポールやパティとも会わねばならないのかと思うとリンの



気持ちはふさぎこむ。 結婚式の準備はこれからなのに、当日まで耐えられるのか。



   全員集まるとこれくらい。



 しかし映画はそういう情報を小出しにしてくるので、最初はとにかくリンが痛い人に



見えて仕方がなかった。 喋れば喋るほどまわりをひかせる存在って、なかなかいない。



しかし次第に、リンの両親だけでなく実家に集まってきた姉妹の言動などにも刺が見え、



リンの<心が休まない感じ>が見えてくるにつれ同情の念が。 母親であるドリス(エレン・



バースティン)くらいはリンの気持ちをわかってくれてもよさそうなのに、「そんなことを言う



お前がわからない」とか突き放されてしまう始末。 それなのに、家族に受け入れてもらう



ことを、評価されることを望んでしまうリン。 アダルト・チルドレンですか。



 もうあきらめたらいいのに、こんな家族のことは。 自分には別の家族があるじゃないか。



いつまでも求め続けるから苦しむだけなのに。



 あと、いちばんの困ったちゃんはエリオット。 心臓病の祖父の薬<フェンタニル>を



こっそり盗んで吸引、白目むいてばったり倒れてもまた繰り返す高い薬物依存性は早く



治さないとやばいよ! それなのに、「家族が一体感を得るのは結婚式じゃなくて葬式



だね」的なことを訳知り顔で鋭くを言う。 それで彼も自分の薬物中毒は母親のせいと



思っている節がある。 こういう神経衰弱の連鎖ってどこからどこまで続くんだろう?



問題だらけでも、その問題にどうやって向き合うのか。 その問題を非とせず受け入れる



ならば徹底的に、中途半端がいちばんいけないのかもなぁ、と感じたり(これはちょっと



精神科医の方に解説をしていただきたい)。



   それでも、リンと子供たちは互いを思い合っている。



 誰ひとり感情移入できるまともな人はいないのか?、と思えば、ディランとその結婚



相手は比較的まともそうなのである。 逆に、この環境でまともに成長した理由は何か



他の兄弟たちに教えてやったらいいんじゃないの?



 そんなわけでなかなか面白い会話劇でした。 エレン・バーキンはところどころ疲れた



キャメロン・ディアスにも見えたんですけど・・・。



 エンドロールで、監督の名前がサム・レヴィンソンとなっているのに気づく。 もしかして、



バリー・レヴィンソンの息子かなにか?(じーっとスタッフロールを見ていたら何かの



カメラ担当にバリー・レヴィンソンの名前が!)



 映画監督も、二世時代が続々到来か・・・まぁ実力で判断される世界だから、問題は



この後だし、それもいいのかも。


posted by かしこん at 16:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

謹賀新年



 明けましておめでとうございます。 2013年、平成25年です。



 なんとなく去年までは「明けましておめでとうございます」がなんとなく言いづらかった



・・・今も言いやすい気分になったとは言い切れないのですが、それでもやはりあえて



新年を寿ぎたいと思います。



 めでたい、と口にすればめでたい年になるかもしれない。 被災地の復興が進むかも



しれない、いろいろな意味でガタガタになってる日本がちょっとでも立ち直るかもしれない。



 言霊思想と言わば言え、であります。





 ともかくも、ブロガリを通じて知り合うことができた多くの方にお礼を言いたいです。



 アクセス数はそんなに気にしていないんですけど、去年一年間で一昨年の約1.5倍の



カウントでした。 読んでくれている人が増えたのか、同じ人が何回も来てくれているのか、



そこらへんは不明ですが、大変ありがたいことです。 こんな、自分の好みばかりを



ぐだぐだ言っているだけなのに(しかも長いし)。



 コメントを下さったみなさま、読んでくださるみなさま、ありがとうございます。



 昨年中はお世話になりました。



 今年もこれまでと大して変わらない姿勢でよしなしごとを書き綴っていくと思いますが、



どうかよろしくお願いします。





 新しい年が始まりました。



 これをいつも読んでくださるみなさまにも、それ以外のすべての方にもよい年であります



ように。 そして世界が平和でありますように。



 どうか日本がいい方向へ進みますように。



 無神論者(というか絶対唯一神否定派)なのですが、祈ります。


posted by かしこん at 06:00| Comment(8) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ホビット 思いがけない冒険/THE HOBBIT:AN UNEXPECTED J



 『ロード・オブ・ザ・リング』の轍を踏まぬよう、一作目からきちんとサブタイトルをつける



ところに好感が持てる。 正式には“THE HOBBIT:AN UNEXPECTED JOURNEY”です。



字幕監修に岩波書店と翻訳者の方を迎える態勢を、何故『LOTR』の一作目からやらな



かったんだろうね!(訳が違うと非難が殺到し、2作目からはこの態勢になりました)。



 さて、原作『ホビットの冒険:ゆきてかえりし物語』は読んでいないあたし。



 『指輪物語』は読んでいたのに、子供って選り好みが激しいよなぁ、と自分の過去を



振り返ると思う。 アガサ・クリスティーだってポアロ物ならば率先して読んだくせにミス・



マープルや単発ものは読もうという気にならなかった。 そのかわり、気に入ったものは



何回も繰り返して読んでいたから記憶に残っているんだろうなぁ。 今となれば、ちょっと



気になるものに手を出すハードルはすごく低くなったけど、繰り返して読むことは少ない。



そりゃ記憶も薄れますね。



 というわけで、『ホビット』三部作に参入! これも170分って・・・3Dだとメガネのせいで



視界がうす暗くなるので、あえて2D字幕版をレイトショーでやっている映画館(神戸市では



109シネマズHAT)まで遠征。 その甲斐はあった!



   世界の冒険はここから始まった!



 あたしはイアン・マッケランのファンなので当然『LOTR』ではガンダルフ派(もともと



原作でもガンダルフが好きでしたが)。 でも、冒頭に年取ったビルボ(イアン・ホルム)が



現れた瞬間、ぶわっと視界が曇る感じが。 かつてを回想するその場面は『LOTR』の



冒頭部分とちょうど重なる時間。 サービスでフロド(イライジャ・ウッド)まで登場するし、



「あぁ、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作ってあたしにとって映画というより<体験>だった



んだな」と改めて認識する。 フロドを見て「ビルボを思い出す」と目を細めていた



ガンダルフの気持ちにも似たものを、あたしも持つなんて!



 さてさて、物語はそれから60年前。 ガンダルフに冒険の旅にビルボ・バギンズ



(マーティン・フリーマン)が誘われるところから始まる。 そんな危険な冒険だなんて



とんでもない!、ホビット庄での静かな生活が大事だと断ったビルボだが、その家が



いつの間にか待ち合わせ場所に指定され、夜になるとドワーフの方々が次々と尋ねて



くることに。 予期せぬハイテンションの客の相手にてんてこ舞いのビルボの姿は、



あたかも『SHERLOCK』で現代版ホームズを前にリアクションに困ってたワトソンさんの



姿が重なる(どちらも演じているのはマーティン・フリーマン)。



 あぁ、中つ国ではホビットってイギリス人なのかな?(となるとドワーフはイタリア人か



スペイン人か)、と感じて笑いが止まらない。



   マーティン・フリーマンはこの三部作で

    スターダムに乗るのかしら? でもあたしは、若き日のビルボが彼でよかったと思った。



 冒険の主旨としては、いつしか強欲にとりつかれて黄金を集めまくったドワーフの王が



いて、その黄金の存在を嗅ぎつけた同じく金が大好きなドラゴンが黄金ごと城を奪った。



追い出されたドワーフたちは途中でひどい目にあったりバラバラになりながら、再び城を



取り戻すための最後の遠征隊を派遣する。 それがドワーフ13人と魔法使い、そして



忍びの技をもつホビットの15人の部隊。 そしてこの第1部はドワーフたちがビルボを



仲間と認め、ビルボもまた彼らの「城を、故郷を取り戻したい」という希望に共感を心から



覚える、という<本当の旅の仲間>になるための過程。



 『LOTR:旅の仲間』とはディテールは違えどテーマは一緒だ!



 そういう風に対応させるために三部作にしたのかな?



 ただ、『LOTR』のときは参加する種族が様々いたし、この世界が滅びるかもみたいな



危機感がありましたが、この段階ではまだ滅びの風は届いていないし、サウロンもまだ



目覚めていない。 ドワーフの中にはリーダータイプもいるしそこそこハンサムもいるが、



どうも『LOTR』に比べると地味なメンバーという感じがする。 これから各々目立って



くれるのかもしれないが。 でも、それぞれ困ったさんのように見えたドワーフも、じわじわ



個性が見えてくると楽しくなってくるから観客は現金なもの。 今回の件でドワーフが



エルフ族を嫌っている理由がしっかりわかったし。



   エルロンド、ガラドリエルさん再登場。

        レゴラスはそのうち出るのでしょうか?



 ま、見ていて安心なのは大半のみなさんがドワーフなので、いろんなのと戦ったりしても



そう簡単に死なないってことですね(それ故、子供はぜひ見るべきだと思う!)。 でも



ドワーフの宿敵・オークのリーダーのヴィジュアルも言うことも怖すぎる・・・子供は



トラウマになるかもしれん。



   やっぱり登場、のゴラム。

    <ひとつの指輪>をめぐるやりとりがすべて判明。 ビルボはフロドと同じタイミングで

    指輪を自分の指にはめます。



 絶体絶命!、のときに必ず何か・誰かが助けてくれたり、というのはご都合主義かも



しれないけれど、助けてもらえないと困るんだからそれでいいんだ!、と開き直る。



 その感覚が、ちょっと心地よかったりなんかして。



 エンディングは明らかに次作に引っ張るB級映画のような振りが・・・いいんだ、子供を



ひきつけるためにはこれくらいベタな演出も必要だ! ということからも完全に子供目線を



意識した作品ですが、大人が見たからって面白くないわけじゃないのよ。 むしろ子供の



頃の気持ちに戻って手に汗握ってわくわく・ドキドキすることが必要じゃない?、という



気持ちになりますよ。



 あぁ、この旅が、また始まってしまった。 次は1年後、と待つのもあと二回。



 『旅の仲間』を見たときの気持ちが思い出される〜!



 というか、『LOTR』のDVDを全部また見てしまいそうなんですけど・・・。


posted by かしこん at 05:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする