2012年12月29日

悪の教典



 原作は結構前に読了済み。 映画は見る気はなかったのですが(三池監督、ちょっと



苦手だし)、生徒役に二階堂ふみと染谷将太が出ると・・・『ヒミズ』のふたりをそのまま



持ってくる監督の図々しさにあきれつつ、あの二人が普通の高校生としての生活を送る



姿が見られるのならば見たいなぁ、というとんでもない弱みを刺激されたような格好に。



   まるで出席を取るみたいに、先生はみんなを殺し続けたんだ。



 高校の英語の教師・蓮実聖司(伊藤英明)は“ハスミン”というニックネームで



生徒たちからも慕われ、周囲の教師からも一目置かれる存在。 しかし実は彼の



本質はサイコパスであった・・・という話。



 なんとなく原作から抱いていたサイコパスのイメージがこの映画ではちょっと違う



感じで解釈されているような・・・ま、傍迷惑な存在であることには間違いないですが。



映画として新しい表現は、彼のテーマソングとして『匕首マッキー』と『マック・ザ・ナイフ』を



使っていること。 ここはすごくいいなぁ!、と思ったけれど。



 ハスミンの内面にクローズアップしすぎてるせいで最後のあれも彼の計算であることが



伝わりづらいというか、彼の幻聴・幻覚みたいなものを描いてしまったら反社会性人格者と



いうより精神異常者ではないか、という気がしてしまい、<悪>のどうしようもなさが浮かび



上がらないではないか、とちょい不満。



 まぁ、そこは伊藤英明が一皮むけた熱演、ということで満足すべきか(三池監督が彼を



気に入りすぎだからなのではないか、とハスミンの脱ぎっぷりのよさから感じたり)。



性格が悪いことを自覚している性格の悪い男をやらせたら右に出る者がいない吹越満が



出番少ないながら強烈だったり、林遣都くんが「あ、あの生徒役か!」と出てきた瞬間に



わかってドッキリしたり、あと大人が微妙に『のぼうの城』とキャストがかぶっているのが



気になってみたり。 二階堂ふみの役はあれだろうけど、と予測してましたが(そういう



意味では原作に忠実)、染谷くんそっちか!、とわかったら脱力。 どっちにしろ別れ



別れになるふたりなのね・・・それでも、普通の高校生活を送るふたりが少しの間でも



見られてよかったです(だからもはや目的はなんなのかと)。



   心なごむ三人の姿だったなぁ。



 ラストに向かい皆殺し展開ですが、それに対して何も感じない自分・・・どうしよう。



 しかし驚愕したのは To be continued.



 え、続くんですか!?(映画は原作のラストまで描いてます)



 意味がわからなくてぼーっとしていたら、エンディングクレジットにはエグザイルな



方々の歌が・・・いやいや、ここ、『マック・ザ・ナイフ』を使うべきなんじゃないの?



 大人の事情って完璧でない映画すらも台無しにするわ。


posted by かしこん at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

007 スカイフォール/SKYFALL

 これ、新しい『カジノ・ロワイヤル』から何年後って設定なんだろう?(前作『慰めの報酬』はそのまま続きという時間軸だったが) ボンドがなんか老けてるよ!、というのがファーストシーンの印象。 が、それは彼がもう駆け出しではなくある程度の実績がある<ダブルオー要員>になったことの証明。
 オープニングの怒涛のアクションのさなか(CMでも流れてましたが)、ふと乱れた袖の位置を直す仕草。 おぉ、英国紳士だ!
 毎回期待のオープニングクレジット、今回はアデルがテーマソングを担当ということで・・・往年の007的メロディでありながらしっかりアデルの歌になっていて(彼女が歌う姿が目に浮かんだ)、アカデミー賞のステージで歌ってくれないものかなぁ、と思う。 ここまでで結構満足してしまったあたし、それで正解だったかも。

  007スカイフォールポスター2.jpg この映画にはキャッチコピーがありません。
      それはそれでチャレンジであり、自信?

 Mの監視役としてやってくる男(レイフ・ファインズ)がすごくイヤミンな感じで面白い(で、実はいい人なんだろうなぁ、みたいな)。 新顔Qとして登場するベン・ウィンショーが、これまでのどの映画で見るより若くて、「若返ってる!」と驚愕。 ボンドもQを子供扱いですが、『パフューム〜ある人殺しの物語』の印象が強すぎて大丈夫かと勝手に心配していた彼がいろんな役を見せてくれるのはとてもうれしい。

 それにしても、『スカイフォール』って、もしかして番外編?、と感じてしまうほど、ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)の<自分探し>もしくは<ミドルエイジ・クライシス>がテーマになっているような・・・『ダークナイト』にも似た、<自己の存在証明>を迫られている感じ。 ヒーローが自分の存在を自分で肯定する道を見つけなければならないほど、この世界は混迷しているのでしょうか? いるんでしょうね。
 というわけで、今回の敵はボンドの上司M(ジュディ・デンチ)に個人的な恨みを抱くかつてのMの部下・シルヴァ(ハビエル・バルデム)。

  007スカイフォール01.jpg なんとシルヴァのアジトは軍艦島だ! ロケOKなの?

 ある意味内輪げんかであり、ひとつの精神世界に住みつく白と黒の戦いにも思える(このあたり、キリスト教的世界観にも通じるのかもしれませんが、あたしにはよくわからず)。
 勿論、アクション山盛り・異国情緒あふれる最新鋭の映像美あり・スコットランドに戻っての伝統的展開と<王道のアクション映画>なのではありますが、実は地味にストーリーを追っていくとつじつまが合わない部分が・・・そこは言ってはいけないのだ。
 劇中でシルヴァが「今や世界征服なんか秘密組織をつくらなくてもネット環境があれば可能」みたいなことを言うのですが、そういう時代になっている以上ボンド・ガールって必要?、というあたしの懸念を笑い飛ばすかのごとく、今回ボンドに関係する女たちは「え、それだけ?」みたいにあっさり消えていく。 ボンド・ガールなんて実はいらないことを制作陣はよくわかっているようである。

  007スカイフォール02.jpg ま、今回いちばん目立ったのはMだけど。

 歴史ある作品だからこそ、時代に即して新作をつくり続ける意義を問い直していかなければならないというのは重たい作業なのね。
 それだけに、ラストにびっくり!
 これって、ショーン・コネリーの時代につながるじゃないか!
 原点回帰を図っていたのか!
 MI6の崩壊と再生が裏テーマだったのか(Mとボンドが疑似家族的関係だったことを考えれば、MI6は家であり家庭。 わ、監督はサム・メンデスだった! 『アメリカン・ビューティー』のテーマをここにも投入か?!)・・・と盛り上がったので、中盤以降のつじつま合わない感はどうでもよくなりました。 むしろ、この次はどうなるのだ!、という期待感に包まれる。
 結果的に、よかったんじゃないでしょうか、この映画。 むしろ007ファン必見!

ラベル:映画館
posted by かしこん at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする