2012年12月12日

北のカナリアたち



 『あなたへ』に引き続き、日本映画の王道に挑戦。 吉永小百合主演作も、映画館で



見るのは初めてかも・・・(あ、『おとうと』見てましたわ。 印象、弱いのか・・・)。



 北海道のある島で、川島はる(吉永小百合)は小学校の教員をしていたのだが、“ある



出来事”がきっかけで島を出るしかなくなる。 20年後、関東のある図書館で働いていた



彼女は定年を迎える。 そこへ刑事が訪ねてきて、かつての教え子の一人が殺人事件の



重要容疑者であると聞き込みに。 あれから、6人の教え子たちの身に何があったのか、



“ある出来事”とはなんだったのか。 観客の疑問を背に彼女は教え子たちに会いに行く



・・・という話。



   先生が島を追われた日、私たちは歌を捨てた。



 定年退職ということは現在のはるさんは60歳、20年前は40歳という設定。



 多分吉永小百合の実年齢はそれより上でしょうが、もうそんなことは関係ない、



もしくは言ってはいけないみたいな強引さが、「あぁ、彼女はアイドルなんだなぁ」と



しみじみ実感させてくれます。 回想シーンは髪型とメイクとハレーション効果、



できる限りアップにしないという対策で若さを演出しております(それ故、衝撃のある



シーンでの顔のアップには、別の意味で衝撃が)。



   現在:森山未來・満島ひかり・勝地涼・宮崎あおい・

    小池栄子・松田龍平の豪華キャスト。 出番が少ないなりにそれぞれいい味を残す。

    いちばんよかったのは森山未來と松田龍平ですかね〜。



 今の日本映画界を背負っているといってもいい若手たちを使い捨てするかの勢いで



進んでいく展開には「なんて贅沢な!」。 それはベテランに対しても容赦なく、なんと



里見浩太朗は吉永小百合の父親である! 夫は柴田恭平だし、仲村トオルは回想



シーンにおいて吉永小百合と同年代、へたすりゃ年上ぐらいの設定である!(思い



返せば年下だった可能性もあるかな)。



 この<吉永小百合ありき>の態勢をすべての出演者たちが受け入れている!



 これが大スター所以? アイドル所以?



 むしろ地味だが柴田恭平がこの物語におけるキーマンで、結果的にいちばんおいしい



役だったといえるかも。 まぁ、ミステリ的に物語は進んでいくんですが、途中からあまり



ミステリではなくなっていくというか・・・同じ出来事をそれぞれ違う立場からのコメントで



重層的に浮かび上がらせようとする意図というか、そこには根底に人間の嫉妬心や



独占欲のようなものが絡んでしまいます、というお話。 当時小学生の彼らにとっては



許せなかった出来事も、20年たった今となってはあのときの先生の気持ちがわかる



ようになりました・・・という大人同士の相互理解もまたテーマの一つかもしれません。



   けれど、楽しかった日々もまた大切な思い出で。



 しかし小道具提供のスポンサーへの配慮なのか、雪の降る土地で真冬にいくつも



オープンポケットがついたカバン(しかも牛革!)をななめがけで持ち歩かせるなど



「雪国、なめてんのか」的描写が気になって仕方がなく・・・雪がどんどんたまって取り



出すのが大変だよ! まぁ雪は外を歩いている限りは解けないので、室内などに入る



前にばさっと払えるように覆いのついたカバン(メッセンジャーバッグ的なの)とか、



ジッパーなどで隙間や空間ができないカバンを使うのが普通です。 そうでなければ



カバンをかけた上からコートを着ますよ。 あたしがこっちに来てうれしかったことの



ひとつは「雪対策を考慮せずにカバンを選んでいい」ということだったので、すごく気に



なるんですよ!



 とまぁ、このレベルの気になることが盛り沢山で(何故小学校の発表会で歌うのが



ヤマタツの『クリスマス・イヴ』なのか?、など)、見ながらつっこみ疲れるほどであった



のだが、寒さをしっかり焼きつける木村大作さんのカメラに免じて許そうかな! 映画館の



室温は寒くないはずなのに、見ていて寒さを感じましたからね。



   夕日が沈んでも、その赤は海を

     染めることができない。 細かなさざ波はすぐに凍ってもおかしくなさそうな、

     でも凍るのに対抗してもいるかのような。



 それにしても、子供たちが歌がうますぎる・・・最後はそれに負けて泣いてしまった。



 とはいえ、「東映だな・・・」という印象はぬぐえないのであった。 そこは真摯だが不器用、



ということにしておこう。


posted by かしこん at 07:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする