なんだかこれも映像優先っぽい感じがするな、とは思ったものの、特に何も考えずに映像で盛り上がる映画が見たい気分であった(とはいえ、3Dは疲れるので2Dで鑑賞)。
のちの第16代アメリカ合衆国大統領となるエイブラハム・リンカーン(ベンジャミン・ウォーカー)だが、少年時代に母親を<何者か>にとり殺されており、その復讐を深く胸に誓っている。 そこに現れたヘンリー・スタージス(ドミニク・クーパー)は、やつらはヴァンパイアであるとリンカーンに告げる。 ヴァンパイアの数に比べてハンターの人数は圧倒的に足りない、とスカウトに来た彼はリンカーンに技を仕込んでいく。 が、やつらを殺しても殺しても次から次へと現れる(というか、アメリカ人の生活の中にヴァンパイアが入り込みすぎ)。 弁護士志望であるリンカーンは次第に政治に興味を持ち、昼の顔も周囲に知られるようになっていくが、仲間を殺されているヴァンパイア側も黙って見ているわけはないのであった・・・という話。
(でも、実際ヴァンパイアハンターを主にしているのは大統領になる前なんですけどね)
ただ単に娯楽に徹した映画を見るためだったのですが・・・なんというか、アメリカの歴史浅いコンプレックスというかそういうものを強烈に感じさせる一作でした。 実際の歴史に、伝説を組みこみたい!、という欲望がひしひしと感じられて。
で、ヴァンパイアたちが主に南部に基盤をつくっていたので、奴隷制度は彼らに食事を安定供給するためだったとか、南部の白人は自分たちの安全のために奴隷制度撤廃に反対をしていたのだとか、大量の死者を出した南北戦争の理由づけにもヴァンパイアを利用しています(なんか南北戦争を正当化させるためか、と感じたりして)。
とはいえアメリカ南部と北部がなんでそんなに仲が悪いのか、ということがいまいち理解できていないあたし。 同じ国で争うとは、朝鮮半島のことを言えないではないか(だからアメリカは介入したのか? いやいや、あれは北のバックにソ連がいたからだったはず)。 アメリカ人はどういう気持ちでこの映画を見ているのか、とちょっと考え込んでしまいました。
ま、そのあたりはともかく、若きエイブラハムくん、結構おバカ系? 天然?、というわけでまったく魅力を感じられず(意見には個人差があります)。
むしろドミニク・クーパーや、リンカーンと生涯の友情を築く黒人のウィル・ジョンソンを演じるアンソニー・マッキー(彼は『アジャストメント』や『リアルスティール』でもいい味を出していた、要注目俳優だ!)、リンカーンを見い出しのちの政策上の盟友ともいえるジョシュア・スピード役のジミ・シンプソンらのほうがおいしいというか、かっこいいんですけど! なのにスピードが最後どうなったのかちゃんと描かないで放りっぱなしなのはひどい!
南北戦争時代のことをもっとあたしが詳しく知っていれば、実際の歴史とリンクする部分がいろいろと楽しめたのかもしれませんが、これから勉強しますよ、すみません。
ヴァンパイアたちの恐怖も微妙だしな・・・仲間が薬局を営んでいて、特殊な日焼け止めクリームを売っていたりする。 詳しくはわからないのだが、それが彼らが日中も歩き回れる理由のようだ・・・最近のヴァンパイアばやりで弱点がどんどんないことになっていくのはなんだかなぁ、と思ったり。
ラストシーン、ヘンリーに日記を託してリンカーンが劇場に向かうのは、「劇場って、あの劇場?!」と歴史とのリンク度合いにまた盛り上がりますが(あたしが知ってるのがそれくらいということもあり)、まぁそれぐらいですかね。 実は次に『声をかくす人』を観たので、結果的にその予習になりました。 順番、逆にならなくてよかった・・・。