2012年11月23日

ソハの地下水道/IN DARKNESS



 ナチスドイツ下のユダヤ人をめぐる話ってなかなか尽きないなぁ、と感心しつつも、



ポーランドが舞台ということで興味がありました。 しかも完全実話!



   その暗闇は、やさしい秘密を隠している――

    1943年ナチス政権下のポーランド。 迷路のように張り巡らされた地下水路に

    ユダヤ人をかくまった、一人の男の真実の物語



 下水修理が本業ながら、それだけでは食ってはいけないソハ(ロベルト・ヴィエツキー



ヴィッチ)は同時に空き巣もしながら家族を養っている身の上である。 ナチス・ドイツ



支配下のポーランドは無法地帯そのものであり、自分の身は自分で守らなければ



ならないのだ。 ある日、いつものように下水修理に地下に入ると、ゲットーから逃亡



するために穴を掘っていたユダヤ人たちと出くわす。



 彼らをナチに引き渡せば報奨金がもらえるが、それは一時のこと。 むしろ勝手知ったる



地下にかくまってやることでソハはユダヤ人から金を絞り取ることを選ぶ。



 いろいろと、あたしが抱いていたイメージが覆されます。 ナチスにもロシアにも蹂躙



されるポーランドはユダヤ人に幾分好意的なのかと思っていたのだがさにあらず(いや、



個人差はあったでしょうがかなり反ユダヤ色の強い人たちがしっかり描かれている)。



 そしてゲットーに押し込められているユダヤ人たちも不安にかられたりこれからどう



なるのかとおびえたりしているのかと思いきや、大勢が押し込まれた部屋で寝ている



のに、妻と娘が近くで寝ているのに他の女と堂々と不倫している男あり。 がっちり妻に



聞こえているのに・・・(その行動は地下に行っても変わらず、衛生観念は?!)。



   地下水道、といえば聞こえはよいですが、下水道ですから。



 子供たちは「暗い、くさい、上の方がいい」と泣き(当然ですよねぇ)、続々と地下に集結



するユダヤ人はソハの想定をはるかに超える数のため、パニクる。 それにしても、



たくましいというかなんというか、地下に来たユダヤ人たちはそれでもこれまでの生活を



変えないようにするのである。 ソハが持ってきた食糧を調理し、「下水からタマネギの



スープのにおいがする」と地上のポーランド人からタレこまれてナチ配下のガサ入れが



あるくらいなのに、彼らには危機感がないのか? というかユダヤ人が置かれていた



状況を当時のユダヤ人こそ理解していなかったのか? そこが謎でした。



   いい金蔓だと思っていたのに、彼らの

    食料や生活必需品を買っていたらもうけが出ない・・・勝手に抜け出すやつもいるし、

    ナチに見つからないようにするフォローも大変。 完全にあてが外れているソハ。



 そう、極悪非道なのかと思いつつ、実はどこか間抜けで情に厚いソハなのだった(ま、



ユダヤ人をかくまっていたのがばれれば自分も家族もただではすまない、というせいも



ありますが)。 そういう意味では、ソハの奥さんがいちばん常識人だったような・・・そう



いう相手がそばにいて助言してくれるって、大事ですねぇ。



 ご多聞に洩れず、死ぬ人もいれば助かる人もいる。 地下を嫌がっていた子供たちも



邪魔だからとドブネズミをさっとつかんでどかす、ぐらいまで慣れる。 当然ソハもそれ



ぞれの人々との交流もでき、もう守るしかないみたいな覚悟ができる。 その過程が



非常に自然で、変なイデオロギーの入る隙間などなく、「人として、当たり前」みたいな



流れなので安心して見ることができました。 映画として見る分には仕方がないのかも



しれませんが、地下の耐えがたい暗闇・絶望的に不衛生なにおいなどは見ている側に



あまり感じられず(感じたら感じたでつらいのですが)、「地下の生活、そんなにつらく



ないのかな? そんなわけないよな」と指さし確認するほどでしたが。



 でも、「おーい、衛生観念!」とは何回も思った・・・こういうところ、日本人は潔癖すぎと



言われる所以であろうか。 もしくは意外と、人間も大丈夫なのか?



   赤ん坊も生まれたりするしね。



 ソハ役の方は勿論、ユダヤ人側グループのリーダーっぽいおじさん、実戦部隊担当の



おにーさんなど印象深いキャラ多し。



 エンディングで、その後の彼らに対するテロップが出る。



 ナチスドイツの占領から逃れたのも束の間、ポーランドはソ連に蹂躙されることはもう



知っている。 だからラストに射した光はほんのわずかなものであることを、言われる



までもなくあたしにはわかっていた。 だから、地下から人が出てきて自由を分かち



合っても、心からよろこべないあたしがいた。



 テロップの続き、<神の名を利用して人を貶める人たちもいる>。



 この一言が、ぐさりと刺さった。


posted by かしこん at 05:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする