2012年11月11日

推理作家ポー 最期の5日間/THE RAVEN



 いかにもB級なタイトルにやばいものを十分に感じたのですが(それこそかつての



ジョニー・デップ主演『シークレット・ウィンドウ』並みに)、ポー役がジョン・キューザック、



おまけに原題『THE RAVEN』とは『大鴉』のことではないか! 実はきっちりエドガー・



アラン・ポーへのオマージュが描かれているのかも、と期待していつものミント神戸の



レイトショーに参戦。 最近、スリラーやホラーは多いけど、<ミステリ:謎とき>を



前面に押し出す映画、少ないし!



   史上初の推理作家VSポーに魅せられた小説模倣犯

      偉大なる作家エドガー・アラン・ポーは何故死んだのか・・・?



 舞台は1849年のボルティモア。 戻ってきたエドガー・アラン・ポー(ジョン・



キューザック)は酒場でツケを払ってもらってないからと酒を出してもらえないのを



きっかけに大喧嘩の末に店を追い出される。



 が、その頃同じボルティモアでは世にも恐ろしい殺人事件が起こっていた。



 若いがやり手刑事のエメット・フィールズ(ルーク・エヴァンス)は、事件の手口が



どこかで見たことあるような気がして調べてみると、それはエドガー・アラン・ポーが



発表した小説の設定そのものだった。 一時は容疑者として取り調べられるポーだが、



酒屋での騒ぎがアリバイとなり、しかも次なる殺人も起こって「まるであなたに挑戦して



いるようだ」というフィールズ刑事の呟きから、不本意にも事件解決に力を貸すことに



・・・という話。



 ポーの死そのものには今も謎が残っているし、ポーを探偵役にする時代ミステリ小説は



多数存在するけれど、映画は初めてではないでしょうか? だけど、『推理作家ポー』と



タイトルにしないといけないくらい今では知名度がないということですか? それがすごく



ショックなんですけど(江戸川乱歩の筆名の由来、といったって、若い人は江戸川乱歩も



知らないのかもしれないしなぁ)。



   とりあえず、殺人現場、グロいです。



 映画は犯人による<ポーの小説の再現>を目指した殺人事件への迷宮に入り込んで



いくわけですが・・・これまた殺人の仕掛けや被害者の扱いが『SAW』シリーズ並みに



グロテスク。 でもそこに見せ場的な花道を用意するわけでもなく、結構投げっぱなし



なんですよね・・・なんで被害者が選ばれたのか理由が全然わからない(まぁ、ポーを



おとしめた評論家という接点はあったりしますが・・・もしくは誰でもよかったのか?、と



疑いたくなるほどに被害者の存在感は希薄)。 犯人の意図も最後までわからない



わけで、何を頼りに見たらいいのかちょっとよくわからなくなった。



 それもこれも、ポーが非常識人だからである。



 いや、多分実際のエドガー・アラン・ポーはそういうところのある人物だったんだろうけど、



映画のストーリー上、もうちょっと理屈の通じる人であってほしいというか・・・ジョン・



キューザックは役をつくり込み過ぎたのか、ポーへの敬愛の念が強すぎたのか、とにかく



ポーが全然チャーミングじゃないのだ!



   むしろ、エメット・フィールズ

     刑事のほうがポーと同じ思考派な上に勤勉で誠実な分だけポイント高し!



 「まぁ、犯人はこいつであろう」というのは比較的前半でわかってしまうのですが、



“ポーの死の謎”に一応説明がつくようにまとめた努力は認めます。 いろいろとポーの



作品は引用されているけれど『早すぎた埋葬』の再現度はぴかいちだったし(ま、『黒猫』



とかはちょっと無理矢理感があるというか、とってつけた感はあるのだが、好きな人に



にやりとさせる効果はある)。



 B級映画なのにどこか文芸作品的な香りがする・・・ポーが出会ったのは幻覚なのか



幻想なのか、というはっきり説明されない曖昧さがわりと好きです。 それこそポー作品



ぽいではないですか。



 ジョン・キューザック結構好きなんですが・・・でも、今回はフィールズ刑事を演じた



ルーク・エヴァンスに注目!、と思ってしまいました(常識人の方が好きなものでね)。



 エンドロールが何故か無茶苦茶かっこよくてしびれるのだが、本編の雰囲気とあまりに



かけ離れ過ぎてて違和感があり・・・うーむ、結局この映画、なんだったんだろう、と考え



込むことしばし。 面白くなかったわけではないのだが、手放しで人に薦められる作品でも



ない気がするし・・・ある一人の作家にフォーカスしてしまうことはマニアックのそしりを



免れないのでしょうか。 日本公開してくれてありがとう、ってことになっちゃうのかな?


posted by かしこん at 06:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする