2012年10月06日

桐島、部活やめるってよ。



 原作は未読。 神木隆之介見たさに行ったあたしですが、意外にもというかなんと



いうか、見ごたえのある<劇的なことは何も起こらない群像劇>でした。



 あぁ、もう、こういうの大好き。



   全員、他人事じゃない。



 まずは11月のある金曜日を、様々な登場人物の視点から、ちょっとずつ時間を遡って



描いていく手法は、最初全然わけがわからないのだけれど、高校生たちの個体識別&



人間関係がわかってくるにつれ見ている側が勝手にスリルを感じてくる、という不思議で



計算されたやり方。 だからこそ、リアルタイム高校生よりもかつて高校生だった、それも



学校の中でメジャーに目立っていなかった部類にいた普通の高校生だった大人のほうが



楽しめる映画となっております。



 あたしは演劇部で図書委員会でちょっと映画研究会でした、ということを否応なく思い



出し、そんな自分が今の立ち位置にどう影響されているのかも考えさせられる。



 あぁ、あるよね、運動部と文化部の間にある<全然違うんだ>的感覚。



 で、運動部の中でも強いチームやエースのいる部は特別扱いで(顧問の先生の学校



内での権力によって影響を受ける場合もあり)、文化部は運動部ほど顕著ではないもの



の「あそこは予算が多くていいなぁ・部員が多くていいなぁ」みたいな気持ちもあって、



更にさりげなく進学校であったりすれば成績なんかも絡んできて、暗黙の了解的ヒエラル



キーがあるよねぇ、としみじみ(だからこそ、入学試験で似たような学力の生徒が集まる



高校のほうが住んでる場所で決まってしまう中学校よりもいじめなどは起こりにくいと思って



いたのですが、それはあたしが平和な高校に通っていたからですかね。 しかも地方の



公立だったし)。



   そんなヒエラルキーは放課後だけじゃなく、

                       日常を支配する。



 映画部の部長前田涼也(神木隆之介)は人一倍映画への強い情熱を持っていて、



ロメロへの尊敬もありゾンビ映画を撮りたいと脚本も書くが、マニアック映画に無理解の



顧問に却下され続け、顧問が書いてよこす青春全開映画を仕方なく撮らされて腐って



いる。 野球部をやめて宙ぶらりんに帰宅部の菊池宏樹(東出昌大)は親友の桐島



(バレー部のエース)と一緒に進学塾に行くために他のヒマなやつらと校舎の裏で



バスケに興じて時間をつぶす。 吹奏楽部部長の沢島亜矢(大後寿々花)はひそかに



菊池に思いを寄せているようだが口にはできず、バスケをしている彼が見られる場所で



自主連をする。 桐島の彼女(山本美月)と菊池の彼女(松岡茉優)はいかにもな女子



高生で、しかも沢島さんが菊池君に気があることも知っていて二人の仲をあえて見せ



つけたりするしたたか者。 でも、それは一見した関係性であって、いくらでも裏を読もうと



思えば読めるという・・・見る側の性格の悪さも試されてるかのような映画です。



   大後寿々花、かわいい!



 同年代の出演者がほとんどのこの映画(先生も多少出てきますが影が薄すぎる)、



キャラとしていい味出している人たちも沢山いるんですが、演技力という面では大後



寿々花と神木隆之介が群を抜いているというか、二人がやりあう微妙にかみ合わない



場面が二回あるんですが、「もっとやってくれよ!」と言いたいほどにうまい。



 ここの場面だけでも見た甲斐があった、と思えるほどで。



   真ん中の菊池君がなんとなく主役っぽく

    感じられるのは、野球部のキャプテンの存在があってこそだからな!



 桐島は最初から最後まで現れない。 エース・スターと思われるような存在もそれなりの



悩みや苦しみはあり、でもそれを見せてしまったらトップの座にはいられない(本人の



意志はそこは関係ない)。 だから桐島は彼女にも、親友にも何も言わないのだ。 誰も、



自分のほんとうの姿を見てはくれないから。 もしくは、誰もが憧れるような夢の存在など、



もとからいないのかも。



 けれど、彼の不在は決して交わることのない彼らを一か所に集める効果をもたらす。



   怒涛のカタストロフ&カタルシス



 吉田大八監督って『クヒオ大佐』の人だ、とエンドロールで気づき、最後の盛り上がりに



共通するものを感じて納得(でもこっちのほうがもっと洗練されてましたよ)。



 更に、エンディングテーマが高橋優だったのが「いかにも!」で、より強いリアル感を



受けたのだった。 日テレがスポンサーでしたが、もしかしたら土9とかでドラマとして



やりたい企画だったのかも・・・でも、映画にしてこれは大正解だったと思います。



 自分の中では、今年の邦画でベスト5に入ります!


posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする