2012年09月11日

最強のふたり/INTOUCHABLES



 予告で見たイメージ的には「ヒューマニズム寄りな『大逆転』かなぁ」と思っていた



(明確な敵役がいるわけではないが、立場の全く違うふたりが段々と理解者になって



いく、みたいな)。 大きく間違ってはいなかったが、それよりももっとスマートで、



リアルを含みながら抑制に富んでいた。 フランス映画なんだけど、どこかフランス



映画っぽくないエンタメ色が強かったです。



 スリリングな演出のオープニングからE,W&Fの“セプテンバー”が流れるくだりは、



あたしもいろんなシチュエーションでこの曲を聴いてきたけど、かなり記憶に残る



名場面である(ちょっと泣いちゃったし。 でも全体的に泣くような映画になっていない



のがポイント高いところである)。



   さぁ、人生に繰り出そう。



 大金持ちのフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は首から下の神経が麻痺、住み込みの



介護人を必要とする立場だが<健常者からの身体障害者への同情のまなざし>に



耐えられず、介護人は長続きせず次々と変わる状態。 そんな介護人の面接の席に



現れたのがこれまでとは全く毛色の違う男ドリス(オマール・シー)。 それもそのはず、



彼は失業保険に必要な就職活動実績の証拠のサインだけをもらいにきたのだった。



福祉とは全く無縁に生きてきた男だからこそ、気遣いを全然しないドリスを気に入った



フィリップは彼を雇うことに。 それから、正反対のふたりの“最強伝説”が始まる・・・



という話。



   こんな顔されたら、笑うしかないよね。

   そんで仲良くなる基本って、お互いの悪影響からよね(いい影響はそのあとから)。



 ドリスは移民であろう、と全く説明はないが想像はつくのはフランス(ヨーロッパ全体が



そうだが)の移民社会ぶりをあたしもわかってきたからだろう。 クール&ザ・ギャングや



アース・ウィンド&ファイアを愛するフランス人、というだけでなんとなくドリスに好感を



持ってしまう(また、演じている彼が憎めないというか、やたらキュートな笑顔の持ち主



なので。 『ミックマック』でもそんな愛すべきキャラだった記憶が)。 でも彼の過去と



いうか家庭環境はシビアだ。 それはどの国も解決できない貧困と犯罪のミックスで、



そこに安易に手を出さなかったのが(まぁ、出せないのであろうが)この映画の印象を



軽やかなものにしているのかな。 ドリスの弟という存在を使ってダークな世界がある



ことに触れてはいるんだけどね(そしてドリスも多少関わりをかつては持っていたと



いうことも)。



 紋切り型でいけばただの偏屈なじじいであるはずのフィリップも、これまた実は



キュートなおじさんで。



   文通相手に会いに行くための服選びに

       何時間かけました? 普段着でも十分いいもの着てるんですけどね。



 介護人は長くは続かないという設定だが、看護師や秘書、メイド頭など家の使用人の



みなさんは長く働いている感じなのである。 女性が多いからか? 男性が男性から



介護される、という立場が複雑で微妙なのであろうか(お互い・・・)。



 ちょっと『最高の人生の過ごし方』と似てる部分もあるんだけど(たとえ首から下が



すべて不随であろうとも、ある程度のことはお金が解決してくれるんだなぁ、的な)、



実話を元にしていますと言われると文句の言いようがないというか、世界にはいろんな



お金持ちがいるのね、と変なことに感心したりして。



 パラグライダーはとても気持ちがよさそうでやってみたい気持ちはあるんだけど、



高所恐怖症なあたしはいざとなったらダメなんだろうなぁ、とか、想像と実際は違うように、



半身不随になった人の気持ちは想像してみても絶対本人の気持ちとはズレがあるん



だろうし、だったら想像や共感とかはあえて忘れて感じるままに振る舞う方がお互い楽



なのかもしれない。 それは誰しもそうで、“社会的ふるまい”を常識の範囲から自分を



縛るルールにしてしまうことで勝手に自分で窮屈になっているのかな、とか(いやいや、



程良い常識の範囲内を守ることは大切ですよ)。



 大人になってから友情を培う方が難しい、と思っていたけれど(仕事仲間と友人の



違いはどこなの?、とか)、昨今の小中学校の子供たちのいづらさなどを聞くにつれ



(あたしのときもそういうのがなかったわけではないが、むしろあったけどさ)、大人の



方が楽かも〜、と思ったり。



 現状がつらい子供たちよ、早く大人になるのだ。 大人は大人でつらいこともあるが、



ある程度は自分のことは自分で決められるし、思いがけない出会いが待っているぞ。



 多分、観客の年齢層は高そうだが・・・若者に見てほしい映画かもしれないですね。


posted by かしこん at 06:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする