2012年09月04日

THE GREY 凍える太陽/THE GREY



 涼を求めて、この映画はぜひ見に行かなければ!、と決心しつつもタイミングを外し



続けて、あっという間に神戸市での上映は今週いっぱい、やばい! トニー・スコットに



敬意を表して仕方ないが定価で見るか、とあきらめかけたが、運よく普段通らない場所に



あった安売りチケット屋さんで前売券を発見!



 というわけで、¥1,300−で見てしまいました(トニー・スコットへの敬意はどこへ?)。



   生き残れ。 本能が、叫んでいる。



 どこか極寒の地で飛行機が墜落、運よく生き残った7人のサバイバルアクション・・・



というイメージだったのですが(それこそ『八甲田山』ばりの寒さと戦う話だと)、まさか



『フローズン』と『デンデラ』が入ってしまうとは・・・ま、あまり聞いたことのない制作会社が



メインだし、低予算なんだろうなぁということは想像ついてましたが、ここまでとは。



 アラスカの石油採掘会社に狼ハンター(スナイパー)として雇われているジョン・オット



ウェイ(リーアム・ニーソン)は、野外作業中の労働者を狼の被害から守るためライフルを



構えて立っているのが仕事だ。 しかし地の果て・アラスカで働こうとする男たちは誰もが



それぞれの事情や過去を抱えており、妻を病気で失ったらしいオットウェイにとっても



話したくない過去に触れられないで済む居心地のいい職場であるらしい。 しかしオット



ウェイの妻への思慕は抑えがたく、毎日夢を見るほどだ。



 ある日、作業場移動のため飛行機に乗るが、どう考えても悪天候。 気がつけば



飛行機は空中分解(このへんの理不尽さあふれる描写はよかった)、どこかもわからない



雪原に放り出される乗客たち。 勿論、大半死んでます。



   それでも大した怪我ひとつしていない

      オットウェイ、生存者救出に走る! 走る!



 多分リーアム・ニーソンですから、彼が強烈なリーダーシップを発揮して生き残る!、と



いうイメージは十分あり、そういうストーリーにしてもよかったと思うのですよ。 でもこの



映画はそうしなかった。 B級以下のパニックアクション映画かよ、と思わせながら(と



いうか、そういう一面があることは否定できませんが)、「生きるとは人間にとってどういう



ことなのか?」という根源的な問いかけに迫ってもいる、とも感じました。



 それはつまり、自分のこれまでの生き方すべてを振り返ること。 自分が影響を受けた



ものすべてを見据えること。



   ということで生き残った人々は、いろいろ

    振り返らずにはいられなくなります(考えることを放棄するやつほど先に死ぬ、みたいな)。



 どうやらマイナス20℃です。 高度障害の影響が出ている人もいます。 ていうか



それで食料は? 水は? 低体温症で動けなくなるぞ!、とリアルにツッコミたいシーン



続出ですが、どうやらこの映画はそこをつっついてはいけないようなので・・・。



 寒さ以外の敵として、何故か狼の群れがすぐ現れて襲ってきはじめるという・・・



スナイパーたるオットウェイですが、墜落でライフルがダメになり、頼りになるのは狼に



対する知識のみなのに結構行き当たりばったりでは?、みたいな。



   だって、彼の本心は生き残りたいのか

      どうかわからないんだよね、とその目を見てわかる。



 一人ずつ仲間がやられていき、生存者を絶望が飲みこみそうになるのだけれど、



それでも前進をやめないのは<生き残る>のが本能だからなのだろうか? けれど



過去に幸せな記憶があれば理不尽な死に唐突に出会っても本人は心安らかにいける



のだろうか? どうなんですか、トニー・スコット?!



 そしてふと思い出してしまった。 確かリーアム・ニーソンも奥様を数年前にスキー



場の事故で亡くされてるはず・・・え、これって<喪の仕事>として自らやりたいと言った



役なのだろうか(そう言われてみれば、オットウェイが亡き妻へと綴られた手紙は再三



出てくるが、中身は読まれることはない。 冒頭で、断片的に示されるだけだ)。



 わー、考えすぎかもしれないけど、そういうことを思っちゃうと最近の仕事をあまり



選んでない感じのリーアム・ニーソンの働きっぷりもそれにつながってる気がして、



かなしくなっちゃいますね(観客としてはそういう目であまり見てはいけないのだが)。



 だからこそこの映画の敵は極寒や狼だけではなく、運・タイミングの悪さや偶然、



運命という名の人生の皮肉、ほんのひとかけらのズレ・・・なのだろうか。



 そして「父に愛されたことがない」と言いながら、オットウェイが最後まで呟き続ける



父の詠んだ詩。



    もう一度戦って、

   最強の敵に勝つことができたなら、

   その日に死んでも悔いはない。

   その日に死んでも悔いはない。




   そしてこれが、最強の敵。



 生きたいのか、死にたいのか。 生きるために死ぬのか、死ぬために生きるのか。



 まるで禅問答のような映画・・・。



 関西はあと一週間計画停電期間が残っていますが、十分電力が安定供給されている



せいか、いつも以上に映画館の冷房が強く感じましたよ・・・十分寒さ、感じました。



 エンドロール後にワンシーン、あります。



 これが解釈のわかれるところだと・・・。 これも皮肉? それとも希望?


posted by かしこん at 05:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする