なんだかなぁ、と思いつつ、つい見に来てしまった。
夏以降に公開されるもうひとつの白雪姫ものはどう見てもコメディなので(女王が
ジュリア・ロバーツじゃ洒落にならんだろ)、だったらシリアスで来てるやつのほうが
いいな、と思い。 ま、こういうのはお祭り騒ぎですよ、ある意味。

今、新たなる「白雪姫」伝説がはじまる!
というわけで<戦う白雪姫>がウリのようですが・・・実は戦うのは最後の方だけ。
とはいえ国や城のディテールはなかなかで、『ロード・オブ・ザ・リング』と同じ世界観
だと言われても納得できそう(科学水準などは似てる感じ)。
だからこそ、夜襲されたとはいえ姫様を救わずに逃げ出す侯爵とその息子なんて
ありか!、と激怒する。 いやいや、そこで観客が激怒しても仕方ないんだが・・・だから
こその狩人(クリス・ヘムズワース)の登場になるのですが。
が、この映画の主役はスノーホワイト(クリスティン・スチュワート)ではなく、王国を
乗っ取る女王ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)なのです。

『七王国の玉座』のサーセイ・ラニスターをそのままやってください!
ま、ラヴェンナにも実は過去が・・・みたいなシーンはあるのですが、正直それは
いらなかったのでは。 具体的な過去がなくとも彼女が何かの心の傷を引きずって
いるのは明白だし、だからといってそのことで<悪の女王・いつまでも若さと美しさを
追い求める女>であることの言い訳は必要ないというか、最初から最後まで得体の
知れない存在でいてほしかったですね。 魔力が衰えてのしわしわメイクも、若い娘から
血や生気を絞ったあとの輝くばかりの美しさも、どっちにも女優魂が炸裂していて
かっこよかったです!

ときより細マッチョな印象。 甲冑が神様仕様ではないからかしら。
クリスティン・スチュワートもがんばってますが・・・シャーリーズ・セロンより美しいかと
言われると・・・どうなのか。
物語はかなり(思った以上にシリアスに)進行するので、最後までこのトーンで行く
のかなぁと思っていた矢先に七人の小人登場。 ・・・なんか微妙にがっかりする
(しかし小人さんたちはベテランの俳優さんたちなのでそれはそれでうれしい)。
で、小人たちに妖精の森に案内されるのだが・・・(あ、その前に姫が迷い込んで
幻覚を見たりして狩人に助けてもらう森はまるで『ネバーエンディングストーリー』で
あった)、妖精の森は『もののけ姫』でしたよ・・・<森の主>として登場したのは
おっことぬしさまだったし! さすがにデイタラボッチにはならなかったけどさ、西洋の
森で乙女に祝福を与える存在といえば、ユニコーンを期待するではないか!
ま、そんな感じで・・・確かに映像表現はすごい。
こういうのは子供が見て、「わー、すごい!」と思ってもらうための作品です。
あたしも『ネバーエンディングストーリー』のときそう思いました。 そして子供の度肝を
抜くためには、大人はすべての部分で手を抜かず、本気にならないと。
エンディングのシックな映像や、ジェイムズ・ニュートン・ハワードの重厚にして荘厳な
音楽もまた、十分に本気モード。
大人はシャーリーズ・セロンの熱演を堪能しましょう!