2012年07月09日

氷の天使/キャロル・オコンネル

 『クリスマスに少女は還る』の衝撃もいまださめやらないキャロル・オコンネル。
 次にどうせ読むなら、彼女のデビュー作でもありライフワーク的シリーズに手をつけるべきでは、と考える。 また、デビュー作には作者の特徴が否応なく織り込まれているものですし。

  マロリー氷の天使.jpg というわけで、キャシー・マロリーシリーズ開幕。
   これは復刻(?)版なので表紙が新しくなっています。

 舞台はニューヨーク。 孤児として盗みと逃走生活に明け暮れていたキャシーは警官であったルイ・マコーヴィッツに捕まるが、その妻ヘレンに「子供に手錠をかけるなんて!」と怒られ、ヘレンは愛情を持ってキャシーを引き取ることになる。
 時間は流れ、キャシーはルイと同じ職場で働くようになるが彼女の倫理観は子供の頃から変わっていない(彼女にはハッカーの天才的な才能があり、あるものを誰にも悟られず持ち去れるのに何故してはダメなの?、的感覚の持ち主。 おまけに氷の美貌の持ち主なので尾行など絶対つとまらない)。
 なんと、物語冒頭で、捜査中の老女連続殺人事件に巻き込まれて警視であるルイ・マコービッツが死ぬ! キャシー・マロリーはひそかに復讐の炎を燃やして事件解決にのめり込む。 マロリーの周囲には、ルイの同僚・部下・友人たちがいてはっきり口には出さないがマロリーを気遣っている・・・という話。

 天才的に頭は切れるが人の心の機微がわからない、そのうえ絶世の美女、というマロリーの存在は少女マンガのキャラクターみたい。 が、まわりにはマロリーだけが浮かないようにか、作者のもともとの趣味なのか、ほんの脇役までもなんだか変な人・何かを隠し持って生きている人がいっぱい! これって『クリスマスに少女は還る』もそうだったなぁ(同じようなトラウマを持つキャラクターが登場してるし)。
 おまけに文章が読みにくい! 下手ではないんだけど、視点が独特(しばらく読んでいると慣れてきますが)。 なんでも作者キャロル・オコンネルは画家としてのキャリアもお持ちのようで・・・登場人物チャールズ・バトラーが目に映るものを写真のように記憶できる能力の持ち主なので、もしかしたら作者もそういう意識で描写をしているのかもしれない。
 事件としては、最初にあやしいと思った人物がやはりあやしかった・・・ということでものすごい意外性はありませんが、なにより登場人物たちのキャラ立ち具合が半端ではなく、続きが読みたくなっちゃいます。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 05:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする