2012年07月01日

星の旅人たち/THE WAY

 予告を見て、「サンティアゴ・デ・コンポステーラだ!」と密かに盛り上がり、楽しみにしていたのです。 以前、特に期待していなかったのだが見たらものすごくよかった『サン・ジャックへの道』と同じ題材だから。 何故か『サン・ジャックへの道』が面白かったのだからこれも面白いであろうと思い込んだのである(一瞬、リメイクかとも思ったし。 よく考えたら同じ題材だからといって面白さが保証されているわけではないのだが)。 でも、結果的にその勘は間違ってはいなかった。
 それで、結構込んでいたのです。 巡礼の旅は中高年以上の方には身近な話題なのか?(確かに地理的には四国は近い)。

  星の旅人たちポスター.jpg さあ、人生の旅に出かけよう

 眼科医のトム(マーティン・シーン)はある日突然、疎遠の息子ダニエル(エミリオ・エステベス)がピレネー山脈で嵐に巻き込まれて死んだと聞かされる。 慌てて現地に確認に行くトムを待っていたのはダニエルの遺体。 実はダニエルはサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅の初日だったと知り、トムはいつの間にかダニエルの荷物を抱えて約800kmの道程を歩きはじめる・・・という話。
 マーティン・シーンは好きな俳優さんですが・・・なんか最初はすごい老けててどうしようかと。 でも自分には理解できないことをしている息子に対しての苛立ちとか頑固おやじな感じが非常に似合っているし、いろいろ気持ちを秘めながら黙々と歩き続ける姿には次第にかっこよさを感じたり。 この映画、監督・脚本もエミリオ・エステベスなのですが最初から父親を想定して描いたのじゃないか、というくらいマーティン・シーンのための映画になっているのです。 しかし回想シーンなどでちょいちょいダニエルは顔を出し、結果的においしいところはエミリオ・エステベスが持っていっているんだよな!

  星の旅人たち4.jpg 美しい風景もまた見どころのひとつ。
 歩くルートは『サン・ジャックへの道』と同じなので、なんか見おぼえがあり・・・懐かしさを感じてみたり(勿論、あたしは行ったことはない)。 しかしあっちではみなさんものすごくへばっていたり、ちょっとでも荷物を少なくするために途中でいろいろ捨てたりする場面があったのだが、こちらではあまりなし(ダニエルの身元確認のときに一緒だった警部さんに「トレーニングもしてないのに無茶ですよ」とトムは言われているのだが・・・800km歩く過程で筋肉痛などに苦しめられる描写なし。 どんだけいい靴を履いているの!)。
 そんなディテールはストーリー上は関係ないのですが、ちょっと気になりました。
 で、当然<旅は道連れ>なので、宿で行きあったり追い越したり追い越されたりで、顔見知りは増えていき、いつの間にかグループみたいになっていくわけで。 トムもオランダ人のヨスト(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)、カナダ人のサラ(デボラ・カーラ・アンガー)、アイルランド人ジャック(ジェームズ・ネスビット)が道連れに。

  星の旅人たち2.jpg それぞれ色分けされているのが笑える。
 トムはアメリカ人なのでまずは個人である前に〇〇人であることが前提の会話。 ルーツを大事にするのとその国の特徴を理解するのと、偏見を持つのとは結構紙一重なのかも。 お互いを尊重する気持ちがあれば偏見ではなくギャグに聞こえるのかも。 国際人とはどういうことか、とも考えますなぁ。
 なんで何ヶ月もかけて歩いているのか、という巡礼の目的を自分から喋る人が多いのも、みんなそれぞれ自分の事情を聞いてほしいからなのだなぁ(基本、巡礼は自分のためだし)。 その中では息子の代わりに歩いているトムは異色、息子のためだって話さないし。 事情を話さないことで喧嘩になったりするけど、みんな毎日歩きっぱなしで疲れてるから辛抱が効かないというか、本性丸出しになってしまうところが面白い。 だからこそ、ともに歩いた仲間としての絆は強まるのであろう。

  星の旅人たち3.jpg ダニエルが見つかった場所から始まって、道の要所要所でトムはダニエルの遺灰をまく。
 目的地に向けて歩いていく、途中でエピソードあり、の繰り返しなのでストーリーにはっきりとした山場があるわけでも派手な展開になるわけでもなく、なんとも地味といえば地味な作品なのだけれど・・・それがなんだか味わい深いのですよね。 主な4人もそれぞれ性格にクセがあってすぐ好きになれるタイプではないけれど、だんだん許せてくるというか、仕方ないよねと思えてくるというか。
 そうしてついに到着した大聖堂でのボタフメイロ(大きな香炉を使った荘厳なミサ)には、キリスト教徒ではないあたしもちょっと胸を打たれたり、巡礼の旅を完了したと事務局に申告する場面ではトムの言葉につい泣いてしまったり。 かと思えばムシーアの海は日本海並みの荒波で笑ってしまったり。 これが人生って感じですかねぇ。
 「ブエノ・カミーノ!」というのが行き合う巡礼者たちや途中で出会う人たちとの合言葉。
 「よい巡礼を・いい旅を」という意味合い。 エンドロール最後にも BUEN CAMINO! と書いてあったのにはちょっとジーンとした。 エミリオの気遣い?
 コンポステーラとは<星の平原>という意味だからこういう邦題になったらしい。 しかもちょっと調べてみたら全国で上映しているのは6館だけ・・・何故こんなに少ない!(だから込んでいたのか!)。
 普通に見れたあたしは幸運でしたが・・・スパイダーマンの上映館をちょっとわけてほしいですねぇ(しかも今のスパイダーマンにはマーティン・シーンが出てるらしい)。

posted by かしこん at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする