2012年06月01日

レンタネコ

 荻上直子監督の『トイレット』に次ぐ新作、ということで期待しておりました。
 市川実日子がレンタネコ屋をやる・・・もうそれだけで初期設定OKですが、物語として・映画としてどうまとまるのかが気になって、いつものシネ・リーブル神戸へ。

  レンタネコポスター.jpg さみしいまま、なんてゼッタイいけません。

 平屋の日本家屋で、多くの猫と同居するサヨコ(市川実日子)は、今日も川べりでリアカーをひいて<レンタネコ屋>を商う。 そこに声をかけてくるお客たちとの話の顛末。 同時進行の話なのかと思ったら、お客さん一人一人に対するオムニバスストーリー形式でした。 しかもこれまでのどの映画よりもファンタジー設定。 主役が市川実日子だからなりたつ話(いや、彼女のことはとても好きです)。
 あぁ、きっとこの監督、ものすごくネコが好きなんだろうな・・・と感じてしまう。 ひたすらネコのかわいい仕草を狙うわけでもなく、ただ淡々とそこにいる姿を撮る、という姿勢だけでネコバカ度がわかるというか(ちなみにエンディングロールは『くるねこ』の人が絵を描いていて本編以上にほのぼの度上昇)。
 サヨコの家の裏に住んでいる毒舌おばさんを小林克也がやっているのがすごい。

  レンタネコ06.jpg 左の人、小林克也。
 多分、これは本来もたいまさこの役なんだろうけれど、小林克也(女装!)の得体の知れなさが半端なく(『スネークマンショー』か?!)、その存在自体が毒をはらんでいるのだけれどわけのわからなさがいい方向にミックスされて唖然としつつ脱力、というか。
 <ネコがかわいいファンタジー>に注ぎ込まれる異物感がディテールをつくるけど、リアル感からは遠ざかるというか・・・どこかはわからない日本家屋の隣家との関係性のみに還元されない不可思議な距離感というか。

  レンタネコ11.jpg 寝てるとネコが寄ってくる、よくある。 このネコは「歌丸師匠」と呼ばれていて、サヨコも頭があがらないこの家の主?
 それ以外はわりとフツーというか・・・『トイレット』がよかっただけに同じ感じを期待すると肩すかしかも。 ただ、飼い主とペットという大上段に構えた関係性ではなく、人間のほうが基本寿命は長いのだからできる範囲でネコたちの最後まで付き合いましょうみたいな、そこだけ守ってあとはお互い楽にやりましょう的な、ちょっとドライなところが面白いなぁ、と。 ただそこは犬好きの人には冷たく見えてしまうかもなぁと感じたりして(あたしは犬も猫も好きなので、それぞれの気持ちがちょっとわかります。 でも今は何も飼っていないので傍観者的感覚だけど)。

  レンタネコ10.jpg エサをどうするか、話し合い。
 子供の頃からネコが自然にまわりに集まってくる体質のサヨコにとってはネコたちはいて当たり前の存在。 ましてネコはそれぞれ自由気ままだし、過剰に心配したり世話したりしないで、お互い歩み寄った形で会議なんか開いてみたり。
 「これを、変える必要があるのか?」、と年齢的に結婚などを意識したりして考えることになってしまったサヨコの迷いがそのままこの映画だったのかなぁ、という感じもしなくもない。 ・・・急いで変える必要、ないんじゃない? このネコたちごとOKという人が現れるまで、今のままでいいのではないでしょうか。
 現状維持も、ファンタジーには大切な結論。

posted by かしこん at 03:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする