2012年05月24日

孤島の王/KONGEN AV BASTOY



 ノルウェー映画、『孤島の王』を見る。 いつものシネリーブル神戸でございます。



 予告の雰囲気ではウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』+『es』かなぁ、という



イメージでしたが・・・どうしてどうして、少年期の喪失と痛みをきっちり描ききって



くれていました。



   人は誰でも、王になれる―。



 ノルウェーの南海に浮かぶバストイ島には、1900年〜1960年くらい?まで



非行少年たちの更生施設があった。 そこで、1915年に実際に起こった出来事を



もとに映画化。 南海といったってノルウェーなので、とにかく凍てつく寒さが全編を



覆っていて、大変素晴らしいのであります。



 今日の船で、本土から新たな少年が二人やってきた。 一人は「何故ここに来る



ことになったの?」と思わず訊きたくなる気が弱そうでやせこけた肌の白い少年。



もう一人は百戦錬磨の猛者ですか?、的なふてぶてしさを背負った方に入れ墨も



いれている体格のいい少年。 やせこけた少年にはC−5、猛者の少年にはC−19と



いう呼び名がつけられる(C寮の住人になるからだ)。



 C−1はC寮の実際的なリーダーで、近いうちに島から出ることが決まっている。



19は1を「優等生め」と毛嫌いするけれど、彼が文字を読めないことを知った1は



フォローし、二人の間にはほのかな友情が育っていくのだが、19は脱走をたくらみ



・・・という話。



   食事の席。 全体的に寒々しい。



 1と19の友情がメインストーリーなのではありますが、5のおどおどしかたがどうも



あやしくて、これはあれを疑わざるを得ないな・・・と結構序盤で気づく。



 実際、中盤以降5に関する真実が島を揺るがすことになりますが、それに気づけた



のは『残酷の神が支配する』をあたしが読んでいたからだわ・・・(結構共通する描写



あります)。



 ノルウェーはカトリックの国だったのでしょうか、この施設を運営しているのは



教会側が指示した理事会っぽい。 しかし院長は悪魔的な雰囲気を漂わせていて、



ステラン・スカルスガルドが似合いすぎる配役です。 他にも寮長(クリストッフェル・



ヨーネル)など、大人にもまともな人はいない感じ。



   ステラン・ステルスガルド、怖いです。

    しかし息子がなかなかハンサム、ということはこの方も若い頃はハンサムだったのかも。



 「過去は話すな」という寮の掟故、何故ここに収容されることになったのか、という



個人の話はまったく出てこないため、少年たちが本土でどれだけ悪かったのかは



わからない(実際、1は11歳からこの島にいるらしいが、11歳で何をするというのか



・・・)。 それ故に観客側は彼らに配して「自業自得じゃない?」という気持ちを抱くことも



ないわけで。 そこは<管理教育される子供の気持ち>になっちゃうのです。 少年から



青年への移行期独特の空気もたっぷり。



   この冷たくダークな映像美、ステキ!



 映画の展開は想像通り、ではあるのだけれど、ラストのどうしようもなさと美しさには



思わず涙してしまいそうに。 「映画を見た!」という満足感ってこれだなぁ、としみじみ。



 やっぱり北欧、いいなぁ。


posted by かしこん at 05:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする