2012年05月10日

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜/THE HELP



 見たい見たいと思いながら、気がつけば公開から一カ月が過ぎてしまった。



 それでもロングラン絶賛上映中、ということはそれだけ観客が続いているという



ことであろう(公開当初を避けたのは「込んでるんだろうなぁ」と思ったからで、



それからはタイミングはずしまくりで、先に『裏切りのサーカス』を見ちゃったりしたし)。



 しかしようやく、見た。



   彼女たちの物語が、私を変える。 私の物語が、世界を変える。



 1960年代のアメリカ南部、というだけでなにか身構えてしまうものがありますが



・・・そこはこの映画、そんな重たさをできるだけ軽やかに描こうとしています。



 だからその時代に“産後うつ”という言葉が広く使われているのか疑問だし、タバコを



吸うシーンが最小限になっていたり(絶対タバコは体に悪いと思うぞ!、と嫌煙権を



主張する編集長もいたりして)。 現在からみて不快に思える部分にエクスキューズを



折り混ぜながら、それでいて黒人差別の現状だけがそのまま・・・というのは余計に



不自然さを感じさせるのですが、まぁそれはともかく。



 大学を卒業して戻ってきたスキーター(エマ・ストーン)は、家に<ヘルプ>と呼ばれる



黒人メイドのコンスタンスがいないのにショックを受ける。 母親には「娘と一緒に暮らす



からといって引っ越した」と説明を受けるが、どうもそれだけではないようだ。



 スキーターは作家になるのが夢だが大手出版社には雇ってもらえず、地元の新聞社で



家庭欄を担当する仕事は得られた。 家事の困りごとを解決するために、スキーターは



友人たちの家のヘルプたちから話を聞くことにする。 とはいえヘルプたちはそれぞれの



家の使用人、スキーターは友人たちの許可を得なければならないのだが。



   嫁入り前の娘が仕事するなんて!、

   という空気がミシシッピのこの町には流れています。 当然彼女は気にしない。



 スキーターが大学に行っている間に、友人たちはみな結婚して子供を持っている。



そこで人間関係が出来上がってしまい、スキーターは深く彼女たちと関われなくなって



しまっていた。 かつてはあんなに仲が良かったのに。 彼女たちはみな、子供の頃から



ヘルプの人たちに大事に育てられてきた、いわばヘルプは育ての親なのに、彼女たちは



家庭を持って家を継ぐことでヘルプたちの<雇い主>になっており、ヘルプたちを育ての



親もしくは親友と考えているスキーターにとって、特に公衆衛生法案を知事に送りつける



ヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)はまったくもって敵のような存在である。



   こんな役ばかり最近多いですね・・・似合うけど。



 彼女の公衆衛生法案とは・・・ヘルプ専用のトイレを、家の外につくること。



 白人と黒人が同じトイレを使うなんて、病気になったらどうするのか、というのがその



主旨だが・・・だったらさぁ、そんな相手になんで自分の子供の世話をさせるの? 自分



たちが食べるごはんをつくってもらうの? 合理的一貫性がない! 大学に4年いかない



だけでこんなにバカになるのか?(いや、大学行ってまで習うことじゃないでしょ)



 というわけで腹の立ってきたスキーターはへルプとして感じてること、今通っている家で



起こったとんでもない出来事など聞かせてほしい、と頼むのだが、それは家事のコツを



伝えることとは話が違う。 時代は公民権運動が激しくなってきた時期で、黒人だという



だけでいきなり撃たれたりするのだ。 いくら匿名が条件とはいえ、読む人が読んだら



わかってしまう。 仕事をクビになるかもしれない。 しかしヒリーの横暴によってミニー



(オクタヴィア・スペンサー)が解雇され、まとめ役エイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)の



もとに続々ヘルプたちが集まってきて、スキーターに身の上話をしていくのだった。



   ミニーとエイビリーン



 ヴィオラ・デイヴィスはいくぶん老け役なんですけど、なんだかもう、彼女は出てきた



だけで目が離せなくなる存在というか、画面の中に多くの人がいても、目が自然に彼女



を探してる、という素晴らしさ。 スキーターもかわいいし、彼女が後半母親と和解する



シーンはとても感動的だし、泣けてしまうんだけど、それでもエイビリーンのナレーション



にはかなわない。 かなりコメディっぽく作ってあるんだけれど、エイビリーンのモノローグ



ひとつで映画のグレードが上がるのだ。



 そのあと、ミニーを雇ったシーリア(ジェシカ・チャスティン)。



   ヒリーから仲間はずれにされているので、

   逆にヘルプに対する接し方の雛型を知らず、ミニーを信頼する仲間と思っている。

   それが、初めは戸惑っていたミニーの心を溶かす。



 最近出演作が続くジェシカ・チャスティンですが、毎回印象が違うのが素晴らしい。



ローラ・リニーに続く人ですか?(あたし、ローラ・リニー大好きです)



 と、他にもアリソン・ジャネイ(スキーターの母)、シシー・スペイセク(ヒリーの母)、



メアリー・スティーンバージェン(出版社の社長)など、女優たちの層が厚くて(むしろ



男優で誰が出てきたか印象が薄い)、見どころ多し!



 なるほど、これを女性映画というのであろうか・・・。



 現実はこんなにうまくいかないかもしれないし、実際もっとひどい目に遭ってた人たちも



いるでしょう。 けれどこのような形で戦っていた人たちは確かにいて、だからこその今が



ある。 女性の得意技<他の人と仲良くなること>をもっと有効活用しなければ・・・と



思ってしまったり。



 この映画の主役は、間違いなくエイビリーンです!


posted by かしこん at 05:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする