2012年03月19日

人生はビギナーズ/BEGINNERS



 ユアン映画再び、ということで『人生はビギナーズ』。



 しかしクリストファー・プラマーがキュートすぎて、またもユアンの影は薄い。



 まぁ、誰とでもいい仕事ができて相手のよさを引き出せるってことも十分ひとつの



才能よね、と思うんだけど、ユアン・マクレガーにはもう少し仕事を選んでほしい



(いや、この映画はいいんだけど)と考えてしまう今日此頃。



   「私はゲイだ」

     父が75年目に明かした真実が、僕の人生を大きく変えた。



 誰もいない家の一角から映画は始まる。 あぁ、この家に住んでいた人はもういない



のだ、とわかって、悲しみから抜け出せないオリヴァー(ユアン・マクレガー)の現在と



回想が入り混じって最後まで。 それは誰かの頭の中をのぞきこんで追体験したかの



ような時間。



 オリヴァーの回想で生き生きとよみがえる父・ハル(クリストファー・プラマー)。



  「私はゲイだ」とカミングアウトするところ、

     あまりに発言が衝撃的だったので父がどんな格好をしていたか思い出せない

     オリヴァーは紫のセーターがいちばんふさわしい、と記憶に後付けする。



 そんなコミカルな演出とクリストファー・プラマーが予告以上にキュートで、服装も



変わるしそういう専門誌に自分のプロフィールを送って若い恋人を見つけちゃうし、



ゲイ仲間と交流を持ち始めるし、自由を謳歌するよろこびを知ってしまったお年寄りは



なんでこんなにかわいらしくて胸がキュンとしてしまうのか。



 しかも「自分がゲイだということを親に認めてもらえないから、年上の男性に惹かれ



るんだ」とハルの恋人になったアンディ(ゴラン・ヴィシュニック)は『ER』のコバッチュ



医師ですよ・・・(前にもこれ思ったな、と思ったら、この二人『ドラゴン・タトゥーの女』でも



共演してますわ)。 でもナチュラルにゲイの人にしか見えない、さすが役者です



(ユアンも『フィリップ、きみを愛してる!』ではゲイ以外の何者にも見えなかったけど、



今回はゲイ仲間の中にひとりぽつりといるノーマルとしての身の置き所に多少躊躇して



いる感じが見えて面白かったです)。



   すっかりラブラブな二人。

    ハルのスカーフはカミングアウト後の欠かせないファッションアイテムです。



 と、ゲイの方々の醸し出す空気感がすごくいいんですよね・・・ハルとアンディの



お互いを思い合う気持ちとか、グループ仲間のベタベタしないけど気遣いのある関係



とか。 大人になってから知り合って、大事な共通項を持つ“仲間”としての関係性と



いうものが、オリヴァーを通して描かれるのでシーンとしてはあまり多くはないのですが、



結構しんみりさせてもらいました。 ハルの飼い犬・アーサーもキュートだし(実はなんと



オリヴァーとは会話ができるのですよ、ジャック・ラッセル・テリアなのもまたあたしの



ツボです。 テリア好きなんで!)。



   でももうちょっとブラッシングしてあげて。



 その反面、父親がゲイと知ったことで子供の頃に感じていた母親の孤独・さみしさの



ようなものが気にかかって仕方がないオリヴァー。 オリヴァーの少年時代を演じる



少年がまたいい雰囲気で、この過去は過去で気になる感じ。



 そんなわけでイラストレーターとして生計を立てている現在のオリヴァーは悲しみに



振り回されつつも新しい恋をしていくのですが、二方向の回想シーンのほうがフックが



強くて今のオリヴァーの恋愛なんかちょっとどうでもいい感じに・・・。



 37歳にもなって「恋に臆病」とか言ってる場合か!(しかも完全に片思いだという



わけでもないのに。 気持ちはわかるけどさ)。 しかし若く美しい娘・アナ(メラニー・



ロラン)もなかなか図々しいというか、父親を亡くした悲しみを自分が埋めてあげられると



思いこんじゃってるところが素晴らしい(で、埋めてあげられないから彼のもとを去る、



的な)。 そんな簡単なものじゃないのにな〜。



 母は不幸だと思い込んでいたオリヴァーが知る意外な真実、やりたい放題に見えた



父親の秘められた苦悩、それらに気がついたときオリヴァーには新しい世界が・・・と



いうわけですが、「いくつになっても人は人生の初心者」というメッセージは、ひどく



あたたかくわかりやすく伝わってまいります。



   今回は消極的な方向にダメな人だった

    ユアンですが、笑顔はやっぱりキュートなのよね。



 トータルとして悲しみがベースになった話なんだけれど、全体を包み込むユーモアが



消えないのが素晴らしい。 お涙頂戴が大好きな日本映画は是非是非見習って



いただきたいです。 しかもマイク・ミルズ監督自身の身に起こった出来事がベースだ



そうで・・・客観性を保つためにも笑いを使っているのかも。 笑いってすごいなぁ!



 そして『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』のマックス・フォン・シドーとこの



クリストファー・プラマーと、どっちを助演男優賞に選ぶのか、すごい難しい・・・結局



クリストファー・プラマーがもらったわけですが、ほんとは二人にあげたいよなぁ。


posted by かしこん at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする