2012年03月06日

GOMORRA/ゴモラ



 かつて読んだルポルタージュ、『死都ゴモラ』が映画化!、とは聞いてはいたけど、



ほんとになっていたんですね・・・やはりハリウッド映画以外の情報ってなかなか入って



こないものです。 原作はルポの危険性をくるむために小説風に描かれているとはいえ



中身はほぼ事実だったと記憶してますが、映画もドキュメンタリーではなくあくまで劇



映画ということで・・・でも限りなくドキュメンタリーに近い構成になっておりました。



 というか、説明しなさ過ぎてほっぽりっぱなしの部分がなきにしもあらず。 これは



原作を読んでいたから助かった、という例。



   この世界を、知っていたか?



 チラシのコピーには『ゴッド・ファーザー』×『シティ・オブ・ゴッド』=『ゴモラ』と書いて



ありますが、かなり『シティ・オブ・ゴッド』寄り。 しかも出てくるのが若者ばかりじゃない、



というのがより闇の深さを感じさせます。 『ゴッド・ファーザー』ではシチリアンマフィアの



家族の結束の強さも描かれていたけれど、この映画で描かれる犯罪組織<カモッラ>



ではファミリー感がむしろ希薄(原作では<カモーラ>と訳されていたので個人的に



微妙に違和感)。 組織の中に敵対するグループがいくつもあり、おかげで暴力や



報復がより無軌道に感じられます。



 舞台はナポリ。 はっきりとした筋はないのですが、主な登場人物5組を軸に話は進む。



 商店から生活必需品を配達することでお小遣いをもらっている少年トトは、あたかも



必然であるかのように通過儀礼を受け、カモッラに加入するがその自覚も覚悟もある



とは思えない。



   防弾ベストのようなものを着せられ、

   ピストルの前に立たされる。 少年たちは順番待ちをしている。



 が、トトの親友シモーネは別の敵対するグループに入っていた。 二人の友情は



終わりを告げる。



 町の議員であるかのようなフランコ(トニ・セルヴィッロ)は、実は産業廃棄物の



ビジネスをしており不法投棄で多額の金を稼ぐ。 その影には使い捨てにされる



労働者たち。 フランコの秘書(?)にとりたてられた若者ロベルトは、父親にその職に



ついたことを褒められるが現実を知るにつれ苦悩を深める。



 組織の一員でありながら、帳簿係・現金の運び屋という立場故に直接危険なことには



携わってこなかったドン・チーロは、恋をして初めて道を半歩踏み外す。 その代償は



大きいものになった。



 オートクチュールの仕立屋として素晴らしい腕を持っているパスクワーレ(サルヴァ



トーレ・カンタルーポ)だが、いいかげん下請けの仕事にうんざりしていた。



   ただ、いい服を作りたい、

             その技術を誰かに伝えたいだけなのに。



 雇い主は自分の仕事を評価しない、満足に金を払わない、納期だけは責め立てる。



彼の腕を高く評価する人物に出会ったとき、彼のその後の人生が決まった。



 組織が隠していた武器をたまたま見つけてしまい、有頂天になったマルコ(マルコ・



マコール)とチーロ(チロ・ペトローネ)は自分たちで盗みを繰り返しフリーでやって



いけると夢を見る。 それが組織の怒りを買うことになるとも知らず。



   抗争のあと、外に出れば・・・。



 ナポリにそんな世界があるなんて想像がつかないのだが、観光案内は都市の



一部しか映さない。 貧困層が集まる団地は、もはやそれ自体が有機体のように



<カモッラ>を形作っていることに戦慄する。 いや、日本にいたって日本の闇社会の



ことはよくわからないもの(それは自分にとって平和でよいことですが)、団地に住んで



いる人たちは自分が<カモッラ>の構成員であることに気づいていない人だっているの



ではないか? そんな疑惑が頭をよぎる。



 あたしが好きなのは(というか共感できるのは)仕立屋さんの話。



 イタリアの一流ブランドも下請けの下請けってこうなの? 全部自分たちでやるから



こそのブランドなんじゃないの? しかしそこに金が落ちるからこそ生活できる人たちが



いて、けれどだからこそうまい汁を吸おうとする人たちもいて、なんか「イタリア製」に



憧れを持ってしまうのはいけないことなのか・・・という気分にさせられる。



 かなしい。 彼らがつくったドレスが、ハリウッドのレッドカーペットを彩る。



 アングラマネーと正規の投資、それらが区別がつかないほどに絡み合って



<カモッラ>を肥え太らせる。 NYのツインタワー再建にも資金を出しているほど



巨大化している組織の下には無数の屍。 それは現在進行形・・・。



 黙示録を意味しているのでしょうか、それとも静かな告発なのでしょうか。



 これを映画と呼んでいいのだろうか。



 なによりも現実のほうがはるかにシビアで容赦がなく救いがない、と言われて



しまっては・・・。


posted by かしこん at 04:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする