2012年02月27日

普通に面白いですよ!



キング&クイーン/柳広司



 読み始めたら結局止まりませんでしたよ。 なんでですかね。



 あたし自身はチェスはしないのですが(というか一対一のボードゲームはオセロを



含めて基本的に苦手です)、それを題材にした物語は大概好きだったりするのが



不思議なものです。



   内容はこんなにあやしい感じじゃないのですが。



 愛想のない女性バーテンダー、実は元SPという設定からついつい真木よう子を



イメージして読んでしまったり(途中から「違うな」と自主的に変更しますが)、アメリカ



大統領とか出てくるような陰謀を期待してたら意外にもこじんまりとした事件だったとか、



多分この作品を面白くない!、と言ってしまう人はいるだろうなぁと思うのですが(実際、



アマゾンでは予想以上の低評価)、あたしは普通に面白かったんですけどね・・・。



 何故か。 チェス盤の上には世界が(もしくは宇宙が)広がっている、ということが



ちゃんと書かれてあるから、です。 いい面も悪い面も含めて。



 『ジョーカーゲーム』以降、この人に対する期待値が高くなってしまっているのも



原因かと・・・「トリックが甘い」みたいなことをおっしゃる方もいますが、だったら『葉桜の



季節に・・・』だってなしになってしまうのではないかと。  ただ、どうしてもこの著者の



性格上、話をあっさり終わらせたい傾向が感じられるので、もうちょっとキャラクターの



背景を書き込んで500ページ越えぐらいにしてもらったら、もっと物語に厚みが出たの



ではないかという気もします(文庫は実質360ページほど)。



 あたしも、もっと読みたかったですし。





十蘭レトリカ/久生十蘭



 しまった、他のシリーズをまだ探していなかった・・・次に本屋に行くときは、忘れずに。



 それにしても、結構前に物故した作家の、自分がまだ読んだことのない短編集という



のはわくわくしてしまいますねぇ。



   また、程よい薄さでさらっと読めてしまう。



 数ページから数十ページ、長さも内容もバラバラな8編。



 幻想文学タッチのコントから不思議な味わいのユーモア小説、かと思えば壮絶な



残酷話(ミステリではない)がきて、なんとなく浄瑠璃や浪曲にありそうな人情話が



来てみたり。 共通するのは久生十蘭独特の“語り”の面白さ、そして言葉のリズム。



ただ美文調は今回の作品集では抑え目でしたね。 『湖畔』や『ハムレット』で過去に



ノックアウトされた身としてはちょっと物足りず・・・だから他も読もうと思ってしまうの



でしょう。







 それと、私事ですが・・・実家の妹からメールがきまして。



 「戸籍謄本を取り寄せたら、知らない妹がいるんだけど」



 ということで・・・「へー」という感想しか出てこないあたし。



 遥か昔に両親が離婚して以来ずっと母親のもとで育ったあたしと妹にとって、



遺伝子上は父親ですが結構前から「いないも同然」の存在なんですよね。 何してるか



知らないし、興味もないし。 まぁ向こうが連絡してこないのは新しい家庭ができたから



なのかもしれないし、こっちはこっちで別に用はないし、下手に連絡して向こうに波風



立てる気もないしってことで一応気を遣っているかのようですが、やはりどこかで「もう



この人はあたしには関係ない」と判断したからでしょう。 だから二十年以上たって、



今更半分血のつながった妹がいると知ったからといって何の感慨もないのです。



 「一切興味がないんだけど、まずいかな?」と妹に返事したならば、「いいんじゃない、



私もそんな感じ」という返答。



 血は水よりも濃し、とか、親は子供のことを忘れない、子供もまた親のことを忘れない、



とかいろいろ言われますが、人それぞれです。 子供は連絡もしてこない親のことは



忘れます。 そして親だからといって子供のことを考えている、というのも幻想です



(だからこそ虐待による子供の死亡事件が減らないのでは)。



 生みの親より育ての親、血のつながりだけが家族じゃない。



 そういう考え方のほうが広まってほしいなぁ、とあたしは思っているのですが。


posted by かしこん at 05:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする