2012年02月24日

サラの鍵/ELLE S'APPELAIT SARAH



 やっと見に行ってきました。 シネリーブル神戸は一週間単位で上映時間が



がらりと変わることがよくあり、上映終了もいつ決まるかわからなかったりするので



毎週タイムテーブルをチェックするのですが、こっちの予定も必ずしもうまくいくとは



限らないのが困りもの。 2月からはまたレイトショー設定がなくなり、大変困って



おります。



 しかしこの映画、公開から結構な日数がたっているのにいちばん大きいスクリーンで、



しかも客の入りもなかなかよい。 口コミで広がっているのか!、とちょっとうれしく



なってみた。 内容は・・・うれしいものではないですが。



   ただ、伝えたい。 決してあなたを忘れはしないと。



 『黄色い星の子供たち』でも描かれたヴェルディヴ事件を、当時の視点だけではなく



現在から掘り起こしていくパートにわかれて真実に迫る、という先日見た『灼熱の魂』と



似た構成。 でも当然ながら、手触りはまったく違う映画になっております。



 アメリカ人ジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は結婚して現在は



パリで暮らし、雑誌のパリ特派員という形で仕事をしている。 夫の家族が住んでいたと



いう古いが改装されたアパートに引っ越し、新たな生活を始める中、若者がまったく



知らない<ヴェルディヴ事件>を10ページの特集記事にするという約束を編集長と



取り付ける。



 一方、1942年のパリはナチス占領下。 早朝のユダヤ人一斉検挙によってヴェル



ディヴ競輪場に連れてこられた少女サラは、アパートのクローゼットに弟を隠してきて



いた。 鍵をかけたまま。 そして悲劇はつづく。



 サラ役の少女(メリュジーヌ・マヤンス)はどこかで見たことあるような気がするん



だけど・・・思い出せない。 つまりそれくらいうまいのです。



 屋内競輪場での場面はかなりの部分『黄色い星の子供たち』と酷似しており(だから



どちらの映画も、史実の再現に気を配っているということなのかも)、医療テントの中には



メラニー・ロランやジャン・レノがいそうな気がして仕方がなかった。



   そんな不思議な既視感。



 編集部で青年が「自分の国のことなのに知らなくてすみません。 同世代を代表して



お詫びします」みたいなことを言っていたのがちょっと面白かったんだけれど、しかし



自分ももはや“「わからないです」と言って許される若い者”の世代ではないのだと



気づかされて「しまった!」と思う。 あぁ、人生勉強だなぁ。



 サラのパートは本人の回想というわけではなく、ジュリアが知り得ることの断片が



繋ぎ合わされたものなので『黄色い星の子供たち』のように当時の悲惨さ・苦しさが



前面には出てこない。 むしろジュリアのパートのほうが比重が高いことに少し驚く。



   ジャーナリストという職業のせいも

        ありましょうが・・・いつしか調べることをやめられなくなるジュリア。



 フランス人にとって、当時を記憶するフランス人にとってヴェルディヴ事件はやはり



思い出したくないもの。 ましてそれを自分が(子供の頃だったとはいえ)見ていた・



関係していたことを語りたくない気持ちはわかるし、でもそういうことがあると知って



しまったジュリアが相手を傷つけるとわかっていても“真相”に辿り着きたいという欲求も



わかる。 その結果自分もまた深い傷を負ってしまっても、それでも知りたいのだ。



 好奇心、猫を殺す。 そんなことわざを知ってはいるけど止められない。



   美しい、心洗われる場面もあるのですが

                ・・・それもいつしか痛みとセットになる。



 あたしは「命が続いていくのならば、それでいいじゃないか」的まとめをあまり容認



しません。 いやいや、それでも個人の思いはあるじゃないか!、と考えてしまうから。



 けれど、血縁とかまったく関係なく、誰かから受け取ったと思うことをまた誰かに



手渡したいと考えることは、寿命の限られた生物でしかないあたしたち人間にとって



時間を縦軸で考えたときに唯一できることなのかなぁ、と思ったりして。 でも、伝えたい



内容は吟味されなければならないですがね。



 クリスティン・スコット・トーマスのベストアクト!、と評されてるみたいですが、勿論



悪くないんだけど、『ずっとあなたを愛してる』のほうがあたしは入り込み方が半端



なかった気がして、そっちのほうが好きですが、どちらにせよすごい女優さんです。



 知らなかったけど、実は原作が新潮クレストブックスから出ていた・・・しかも表紙が



ハンマーホイだよ・・・どうしよう、ほしいかも、とすごく悩んでおります。


posted by かしこん at 04:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする