2012年02月16日

デビルズ・ダブル−ある影武者の物語−/THE DEVIL'S DOUBLE



 一応、“実話の映画化”とのことなのですが・・・どこからどこまでほんと?、と



考えてしまうのはやはり日本が平和だからでしょうか。



 イラク軍中尉のラティフ(ドミニク・クーパー)は、ある日突然拉致同然に連れ



去られる。 その相手はかつて高校の同級生だったウダイ(ドミニク・クーパー、



二役)、独裁者サダム・フセインの長男だった。 高校時代から二人は似ていると



評判だったが、状況が混迷している昨今、ウダイはラティフに自分の影武者になる



ようほぼ脅迫の命令をするのだった。



   ポスターイメージ、何故こんな感じ?



 ドミニク・クーパーといえば『マンマ・ミーア!』が代表作と書かれるようですが、



あたしは以前WOWOWで見たサブプライムローンをテーマにしたスペシャル



ドラマみたいなやつで、庶民をだまくらかしてローン書類にサインさせる金融マンを



やっていたのが印象的。 一歩踏み込めば狂気、という感覚が似合う役者である



ような気がして、意外なキャスティングではありませんでした。



 父親であるサダム・フセインに「生まれたときに殺しておけばよかった」と言われる



ほど自らの欲望に忠実に極悪の限りを尽くすウダイの姿は紋切り型ではあれど、



見る側に嫌悪感を抱かせるに十分(たとえ実母が父親の女遊びのために苦しんで



きたのを目の当たりにしてきて精神が歪んで・・・みたいなエクスキューズがあると



しても許容の限界を超えている)。 一方のラティフはそこそこお金持ちのいい家柄で



自分自身も軍でそこそこ出世しており、ウダイの影武者になって自分の存在を消される



なんて到底容認できないし、ましてやその相手が相手だしと抵抗・逃亡を続けるもすぐ



つかまり拷問にかけられ、言うことを聞かないと家族を殺すと言われてしまう。 これで



ラティフが最下層の出身だったら「そのかわりに家族にちゃんとした生活を」と進んで



身売りしかねない話になりそうですが、ラティフくんには学もあるので純粋に迷惑な話。



 そして普通“影武者”の存在はひた隠しにするはずだと思うのですが、その存在、



知ってる人が多すぎ。 そこまで情報統制が完璧にできているということなの?



 ウダイのお目付け役でフセインの側近でもあるムネム(ラード・ラウィ)は明らかに



何かを感じているのに、それでも従ってしまう・・・独裁というか、恐怖政治はいけません。



 というわけで、ウダイとラティフ、ラティフが真似するウダイ、という3パターンをドミニク・



クーパーは演じているわけですが・・・サングラスを外すと、それが誰だかすぐわかると



いう親切設計演技となっております。 というか、見どころはそこですね、はっきり言って。



   左:ラティフ、右:ウダイ



 時期はイラクのクウェート侵攻からアメリカの反撃あたりですが・・・そんな国家の



一大事にウダイが何をしていたかというと、クスリに酒に女あさりに気に入らないやつ



殺すぐらいで・・・いっこうに国政に参加しておりません(参加しているといえばむしろ



ラティフ)。 ちょっとフセイン、だったらこいつ殺しちゃってもいいんじゃないの!、と



あたしは何度思ったことか・・・。 そうそう、ブッシュ(父)大統領の声明が当時の映像で



流れるのですが若くて、「うわっ、ブッシュ(息子)にそっくりじゃん!」と驚愕しました。



 自分そっくりになっていくラティフをあたかも自分がつくり出した作品のように執着を



見せるウダイ(まさに凶悪なジャイアニズム)に支配される感が日々強くなっていく



ラティフ。 狂気に巻き込まれる前に彼がとった決断は・・・という話ですが、キーマンと



なる女性、ウダイの気に入りの情婦サラブ(リュディヴィーヌ・サニエ)なのですが・・・



これが『8人の女たち』の末っ子なのかと思うほどあやしい変貌を遂げており、フランス



女優は油断がならないことを思い知ったり(いや、ヘアメイクのせいなんかもあると



思うんですけどね)。



 これが実話だというならば、歴代北の将軍様にも何人もの影武者がいる説はぐんぐん



信憑性が増すのですが・・・でも“影武者”って呼び方、やめてほしいかなぁ。



 だって武士じゃないもんね!


posted by かしこん at 06:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする