2012年01月30日

出遅れシアター → 文学との相性



蟹工船



 プロレタリア文学、苦手です。 どうも貧乏くさいイメージが・・・だから文学史と



しての知識はあるんですが、読んだことがありません(筒井康隆の『蟹甲癬』は



読みました、面白かった!)。 だから数年前に起こった『蟹工船』ブームにも、



この映画にもあまり関心がなく。



 でもWOWOWプログラムガイドで若手実力派(しかも地味顔)勢揃い、みたいな



豪華キャスティングにひかれて録画、なのにそのままほっといてました。



   労働者の団結を示すマークが、全然違うのに

           『20世紀少年』のともだちマークと印象がかぶるのは何故?



 オープニングタイトルが出る直前の映像が、すっごいシュールで期待しちゃったん



だけど・・・船の中の工場の様子があまりにチープだし、労働者たちの会話はシュール



ギャグだし、え、『蟹工船』ってコントだったんですか? もしくはプロレタリアートは



実はパンクなのか?



 新井浩文、滝藤賢一、中村靖日、柄本時生、山本浩司、高谷基史といった地味顔、



もしくは貧相に見える方々をよくここまで集めたな、ということでやたらおかしく、



その中でひとり“監督”が西島秀俊でかっこよすぎて浮いている(権力を持つ者・



持たざる者たちの対立というよりも、かっこいい・かっこよくないの差、みたいな)。



 TKOのお二人もいる貧相労働者たちの中で、松田龍平と高良健吾だけが地味顔に



映ってないってことにも笑ってしまい、監督の側近が皆川猿時だとわかったときには



もう大爆笑でした(他にもロシア船にいる怪しい中国人?:手塚とおるとか・・・監督、



笑わしにかかってますね)。



 当時の『蟹工船』ブームや共産党に入る若い人が増えたとか、そういう事情を一切



無視して作った感じが今となっては心地よいかも(でも公開当時は「原作を冒涜するな」



等、かなり叩かれたのであろうことは想像に難くない)。



 ちなみにこれ、2009年映画。 高良健吾はすでにこの映画で存在感を発揮していた。



今更新人賞なんて、3年以上遅いっつーの。





春の雪



 日本の華族を題材にした作品が好きだと『ロマンス』の感想で述べましたが、この



映画はちょっと・・・恋愛中心だからか、清様(妻夫木聡)に“滅びゆく者としての自覚”が



まったく感じられない。 ただの困ったちゃんである、というのがかなしい。



   なんかこのふたり、やたら若いんですけど!



 むしろ、彼にとっては頑固者にしか見えないのであろう父の松枝侯爵(榎木孝明)が



素晴らしい。 祖母が岸田今日子だったのもよかった。 と、主演のお二人よりもまわりを



固める人たちがいい味を出しているよ。



 ソフトフォーカスやらいろいろ使ってこれでもかと繰り出す映像美はなかなかなんです



けど、使いすぎると効果半減なのがむずかしい(だって、ラブシーンの必然性が薄く



なってるんだもん)。 なんかいろいろ、もったいないことになっているとしか言えない



感じなのがかなしい。 エンディングの宇多田ヒカルの歌もありえない・・・三島作品の



中でもあやしさ度合いが少ない美しい作品なだけに、もうちょっとなんとかならなかった



のかなぁ、と思う。


posted by かしこん at 05:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする