2012年01月29日

扉は今も閉ざされて/シェヴィー・スティーヴンス



 スリラー強化期間中でございます。



 2011年スリラー・アウォード新人賞部門受賞作というこちら、タイトルと表紙の



イメージで購入してしまいました。



   絵のようですが写真です。



 <わたし>が初老の女性精神科医に語る、セラピーにおける一人語り文体。



精神科医は呼びかけられるだけで何も話さない。 <わたし>に何が起こったのか、



何に苦しんでいるのかがちょっとずつ小出しにされ、思い出した順・そのとき気になる



話題から進むので時間軸もバラバラ。 そこらへんにミステリ要素がちりばめられて



いるので好印象です。



 リアルター(公認不動産業者)をしていた<わたし>、アニーはある家をオープン



ハウスにかけていて、そろそろ撤収しようかと考えていたときに<サイコ男>に拉致・



監禁された。 監禁生活が約一年も続いたこと、アニーはどうにかそこから生還できたが



今も強烈なPTSDにさらされていることが「セッション1」(精神科医との面談)から



わかるが、詳しい内容がわかってくるのは物語の半ばほど。



 スリラーとはいえ、<サイコ男>との恐怖の生活よりも、その後のアニーの苦しみの



ほうに多くの描写が割かれているように感じる(まぁ、監禁生活をあまり事細かに



描かれても読んでる方がつらくなりますが)。 被害妄想が膨らんでいく過程、自分が



おかしいとわかっていながらも冷静になれない感じ、些細なことに苛立って感情を



爆発させてしまう不安定な精神状態を、「この女、イヤなやつ」って思わせずに描いて



いるのはすごいです。



 アニーが<サイコ男>への対処法をドラマ『クリミナルマインド』に出てくる支配欲の



強い性犯罪者・シリアルキラーにあてはめて考えていくところはちょっと笑ってしまったが、



あのドラマにはそういう需要があるわけ?、と愕然としたり。 多いのか、アメリカ。



 が、<サイコ男>と被害者、という話と思ったら大間違い、実は母と娘の複雑な関係と



いう話だったという・・・ある意味こっちの方が怖いんですけど。


posted by かしこん at 07:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする