2011年12月06日

心理学的にありえない/アダム・ファウアー

 何年か前に読んで面白かった『数学的にありえない』の作者による二作目。
 てっきりシリーズなのかと思ったら全然関係なかった(いや、前作の登場人物がちょこっと登場しますが、まったく別の話)・・・邦題のつけ方に、悲しい日本の出版業界の、特に翻訳ものの世界の事情が見える感じ。

  心理学的にありえない1.jpg 文藝春秋・・・もうちょっと装丁にお金をかけて。

 天賦の才能で人の表情から内面を読み取るアナリストのイライジャ、圧倒的な感動を与える天才ヴァイオリニストのウィンター。 まったく繋がりのないはずの二人に共通する銀のネックレスがはずされたとき、巻き込まれていく巨大な陰謀。 破滅の時を演出する謎の宗教指導者ヴァレンチヌス、何かを阻止しようと動いているラズロとダリアン。
 いったい彼らにはどんな繋がりが、その秘密は過去にある…というような話。
 原題の『EMPATH(Y)』は、『共感覚者(共感覚)』の意。
 作者はマイクル・クライトンの後継者みたいなイメージがあったけど、実は全然違います、ということがわかったり。勿論、科学ネタてんこ盛りですが、リアルサイエンスというよりもSとFの間をミシンで張り付けながら縫いつけてる・・・ような(というか結果的にそうなったのかもしれないが)。 おかげで大変疾走感にあふれています。 後半、進めば進むほど加速度的に読むのが速くなった。

  心理学的にありえない2.jpg おかげで下巻は2日かからず読了。
 “ラスト4行までわからない!”と帯にあるのですが・・・エピローグ自体が大がかりな仕掛けです。 その仕掛けがうまく働いている分、それまでの出来事がどこかに行ってしまうというか、「・・・終わってないじゃん!」と一拍遅れて感じるという。
 これまでの積み重ねはどこへ?
 彼らはその後、どうなるの?
 キャラクターに感情移入していたらしていたほど、やりきれない気持ちになる(もしくは肩すかし)。 後味のよくなさというか容赦のなさはスティーヴン・キングなみ。
 ただびっくりしたのは現代パートのニューヨークで、イライジャとウィンターが逃げているときに迷い込むのが“食肉産業地区”・・・あ、ミートパッキングエリアか!
 今は普通のアパートとかある地域のはずだが、“食肉産業地域”とか書かれると食肉工場が軒並みつらなってるみたいでドッキリするわ。
 これは・・・続編、あるのかしら。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 03:07| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする