2011年12月19日

マーガレットと素敵な何か/L'AGE DE RAISON



 予告でエスカレーターを逆走しようとするソフィー・マルソーがあまりにかわいらし



かったので。 しかも監督は『世界でいちばん不運で幸せな私』の人だというでは



ないか! キュートだがひとひねりのある内容かなぁ、と予測して。



 キャリアウーマンとしてバリバリと仕事に生きるマーガレット(ソフィー・マルソー)の



40歳の誕生日、職場にひとりの公証人が一通の手紙を持って現れる。 その差出人は、



7歳の自分だった。



   ある日、かつて少女だった私から手紙が届いた

                    私の明日はキラキラと輝き始める―。



 過去の自分なんか関係ない、そんなことはもう忘れた、と考えるマーガレットだけれど、



今だって仕事のシチュエーションに合わせて机の引き出しから世界中の偉大なる女性の



写真を取り出し、「今日はマリア・カラスかしら? それともエリザベス・テイラー?」と



メンタルトレーニングをやってる姿は少女そのものではないか!、とつっこみたいほど



自分を見失っている(しかも彼女の仕事が原発の推進・売り込みなので今の日本人から



見るといささか複雑である)。



   現実第一主義といいつつ、手紙を前に少女に戻る。



 「子供の頃に思ったような大人になってる?」という問いかけに立ち止まらずに



いられる大人はどれくらいだろう。 勿論マーガレットは少数派ではないので一度は



手紙を放り投げながらも、次々届く手紙にいつしか引き込まれて“なりたい自分”を



模索していく・・・のですが。 子供の頃からマーガレットは頑固で気が強く、それは



今も変わっていなくて、「これ、ソフィー・マルソーじゃなかったら成り立たないのでは?」



というほどよく考えたら身勝手な女性の話に思える部分も。



 ダメダメな男かと思われた現在のマーガレットの婚約者マルコムが実はいい人だった



から、ふらふらと揺れ動くマーガレットを支えてすべてを受け入れてくれる人だから



よかったよね、ということに。 女の人生は男選びが重要なのね〜。



 ポップでキュートな映像は期待どおりでしたが・・・ま、求めたのはソフィー・マルソーの



かわいらしさなのだからこれでよかったのかも。 誰しも考える自分の“素敵な何か”は



違うから、それを愛したらいいだけのこと。 底の浅い自分探しとはちょっと違うって



感じられたのはよかったかな〜。


posted by かしこん at 03:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月18日

タンタン三題



 『タンタンの冒険』、映画が公開中ですが・・・。



 本屋で以前から見かけていて、悩んでしまったこちら。



   ようこそ! タンタンの世界へ



 ムックですが・・・くくられているため中身が見られず。 お値段の割に薄いが・・・



まぁこういう機会でもなくてはタンタンのムックなど存在するまい、と購入。



 そしたら内容も薄いこと・・・映画の紹介・原作の紹介もちょこっと、ほぼグッズの



カタログ的な。 お値段のほとんどは付録のトートバック(スノーウィの型押しチャーム



付き)が占めているようだ・・・。



   しかしこちらのムックは。



 同じようなお値段だが、映画の内容に特化して記事充実。 ワールドプレミアレポートや



監督・出演者インタビュー、スピルバーグとエルジェのかかわりなども書いてあるし、



なかなかの読みごたえ。 こちらもトートバッグがついていますが、こっちの方が



キャンバス地が厚めです(チャームはないけど)。



   ユリイカ12月号



 そしたらなんと『ユリイカ 詩と批評』がタンタンを特集してた!



 これにはピーター・ジャクソンのインタビューが載ってるけど、基本的には原作に



対しての言及・評論が中心。 タンタン学の発表会みたいな趣で大変楽しい。



 映画化がきっかけでこういうのが揃うなら、それはそれで悪くないのだが・・・。



 映画の出来がよくなかったら一過性のブームで終わってしまいそうでかなしい。


posted by かしこん at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月17日

コンテイジョン/CONTAGION

 スティーヴン・ソダーバーグ監督がオールスターキャストで描く“パンデミック映画”ということで、『トラフィック』的なドキュメンタリータッチのものを期待して。 ビッグネーム勢ぞろいですが、オーラを消せと命令されたかのような地味っぷりが好感触でした。
 ある世界的な企業に勤め、香港出張から戻ってきたベス(グウィネス・パルトロウ)は頭痛を感じ、咳も出始める。 風邪だろうと休んでいたら容体は急変し、死亡する。
 夫のミッチ(マット・デイモン)は唖然とするばかり。 すると息子も咳をし始めて・・・。
 原因は接触によって感染し、致死率が高い新型ウィルスだったがそう特定されるまでに時間がかかり、感染は世界各地に瞬く間に広がっていく。

  コンテイジョン5.jpg この世の苦悩をすべて一人で背負うかの男。
   『CSI:科学捜査班』のラングストン教授のキャラにちょっと似てるが、また違う。
 CDCのドクター・チーヴァー(ローレンス・フィッシュバーン)とドクター・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)はアメリカでの感染例第一号がベスだと断定、WHOのドクター・オランティス(マリオン・コティヤール)は感染源を探すために香港へ飛ぶ。
 公式発表が出ない中、フリージャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)は「伝染病に違いない」と自分のブログで症状・致死率、治療法や特効薬などをとばし気味に発表し世の中をパニックに陥れる手伝いをする。

  コンテイジョン4.jpg また別の意味で“イヤなやつ”。
   あのかっこいいワトソン先生と同一人物とはとても思えない・・・。

 グウィネス・パルトロウがイヤな感じの人っぽくて「わー、イメージぴったり〜」とちょっと笑ってしまった。 接触感染だとまだ説明がない段階で、彼女が触れた手すりなどに観客の注意が行くように視線を誘導させるのがうまい。 決してアップにすることはなく、ほんの一瞬焦点を合わせるだけなのに。 これが『リ:ジェネシス』だったら目に見えないウィルスをCGで視覚化させちゃうとこだろうなぁ、とこれまたにやにやする(しかし、公共の場所の何かに触れたりする気をなくさせるに十分な描写である)。

  コンテイジョン1.jpg ダメダメ夫&父
 妻が感染症かもしれないと告げられても、息子が調子悪いことに結びつかないマット・デイモンの間抜けぶりにイライラするが、いきなりの出来事だとだれしも頭が働かなくなるものなんだろうなぁと感じるのは出てくるのがあくまで普通の人たちだから。
 そう、ヒーローは一人もいない。
 あまりに地味展開で、どこかの国際機関がつくる“パンデミック・シミュレーション映像”のようだが、だからこそリアルであるというか、「あぁ、こういうこと起こりそう・・・」みたいな気持ちになる(最初のほうの被害拡大地域として東京も出てくるが、微妙に日本じゃない感じなのが残念である)。 いざワクチンができてもそれを配布する方法でゴタゴタが起こるし、そもそも暴動・略奪・職務放棄が簡単に起こって日常生活が成り立たなくなるみたいな(また、決定したワクチンの配布方法がまたドライである)。
 パニックを押さえるためには情報統制が必要なのか? でも情報が限られることでデマが流布し、余計パニックを助長するだろうし・・・今も昔も解決できない問題、ということなのか。 自分だけは大丈夫、みたいに思ってしまうのもまた人間の性、ですかねぇ。 結論としては“世界的大企業が世界各地を開発し続けるが故に思いもかけぬ形で病原菌と人間との接点ができてしまう”ということと、○○人は料理人であっても衛生観念はない・・・というようなことなんですけど・・・それでいいのか?
 とりあえず、ちょっとでも外に出たら手を洗う、という自分の習慣が悪いものではないと気づかされます(でも正しい洗い方なのかどうか自信がないが)。

posted by かしこん at 02:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月16日

今日は、6+2冊

 前回「どうしようかなぁ〜」と悩んでいた本、やっぱり買うことに。

  シンドロームE−1.jpgシンドロームE−2.jpg 表紙、怖いんですけど!
  シンドロームE/フランク・ティリエ
 話題のフレンチ・スリラー、だそうで・・・急死したフィルムコレクターのコレクションから買い付けたラベルのないフィルム缶から取り出した映画を見た者は、失明する・・・というショッキングな幕開け。 サスペンス・スリラー系で“映画”そのものが題材の作品といえば『フリッカー、あるいは映画の魔』をついつい連想してしまうけど(そしてそういう盛り上がりを期待してしまうが)、これは『リング』みたいですけど!
 そのフィルムの謎を追いかけるうちに何かに巻き込まれそうな女刑事と、まったく関係ないところで脳と眼球をえぐり出された5つの死体が見つかった事件を追わされる病気休職明けの警視は、かつて妻と娘を亡くしたショックで統合失調症となり、今も幻覚と会話する。 そんな二人が交錯しそうな雰囲気です(まだ上巻1/3)。
 で、著者のフランク・ティリエ氏はそれぞれを主人公にシリーズを持っていて、この作品で二人の主人公を出会わせる作戦に出てるらしい。 この作品単独でも十分楽しめます、とあるが、精神をやられている警視殿に興味が湧いて過去作品を探してみたら、品切れ! なので図書館から調達する。

  タルタロスの審問官.jpg タルタロスの審問官/フランク・ティリエ
 どうもじわじわと警視殿が追い詰められていく過程が描かれているらしい。
 そのへんがミステリではなくスリラーと判断される所以?

  七匹の蛾が鳴く.jpg 七匹の蛾が鳴く/フランク・ティリエ
 この2冊はランダムハウス講談社から。 別の方向に表紙が怖いよ・・・。
 やばいなぁ、また外国モノばっかりに手をつけちゃうよ。
 が、すかさず新刊が出ていたのでこちらもためらいなく入手。

  ちはやふる15.jpg ちはやふる 15/末次由紀
 永遠に続くかと思われた全国大会決勝戦がついに終わっちゃった!
 「個人もいいけど、仲間がいるからやれる団体もいいよ!」なまっすぐさに、若者たちを陰で支える先生方のお気遣いにまたも目がうるうる。
 やっと三人が同じところに立ち、新たなステージに進みそうな気配。

  このミス2012.jpg このミステリーがすごい!2012年版
 気づけば出ている年末の風物詩。 上位の国内作品、ほとんど読んでない(もしくはその存在も知らない)・・・。 海外作品はほとんど読んでるor読んでないが買ってあるor図書館で予約中である・・・もうあたしは『このミス』ではなくて、ハヤカワで出している『ミステリが読みたい!』(海外作品中心だから)に乗り換えるべきかもしれない。
 『このミス』ではあたしが好きだった座談会もなくなったし、個人的ランキング部分もコメント量が減らされている。 読むとこないじゃんか! どこに向かっているのか?
 そして、アマゾンから届いたこの2冊。

  江戸川乱歩ー魔術師.jpg江戸川乱歩ー吸血鬼.jpg 創元推理文庫
  魔術師/江戸川乱歩    吸血鬼/江戸川乱歩
 『江戸川乱歩クラブ』主宰のルビー奥村さまに影響を受け、いきなり読みたくなったのであった。 子供の頃何回も読んでいるのですが・・・でもヴァージョン違いもあるし。
 勿論、ここは『魔術師』から。 創元推理文庫は当時の雑誌掲載時の雰囲気を含めて復刻してきてるので、挿絵も当時のままだし編集者が書いたのであろう次号への煽り文句まで入れてくれていて、ちょっとしたタイムスリップ気分である。 あたしが唯一全巻読破した乱歩の全集はポプラ社の少年探偵シリーズしかないのであるが、あれにも挿絵があって、「うわっ、福田氏の着てるガウンの柄、見たことあるぞ!」と激しく記憶が刺激される。 岩田専太郎画伯の挿絵がその後の乱歩作品の挿絵に多大な影響を与えているそうだから、初めて見る絵でもなんとなく見たことあるような懐かしさを覚えてみたりして。 で、読んだことあるから話は知っているにもかかわらず、「明智さん、それやばいって!」とかつい思ってしまうという・・・小学生の時の気持ちに戻ってしまうのか?もしくは乱歩世界に入り込んだら常にそういう気持ちになるのか。
 あー、なんだかとにかくわくわくして、にやにやしてしまう。
 三つ子の魂、百まで・・・。

ラベル:新刊 このミス
posted by かしこん at 04:34| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 買っちゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月15日

バールでひとやすみ@西梅田

 西梅田で芝居を見る、となると、結局このお店である。
 おなかがすいたままでは芝居を見れないが(会話主体の芝居の場合、おなかがなったり咳をしたりするのもよろしくない)、満腹になっても困るのでさっと食べられる場所、かつそこそこおいしいものを求めたい。 まぁ、あまり他の店知らないんですけど。 ハービスENT地下にあるにカフェ&バールです(お店の名前がよくわからない・・・)。

  西梅田バール1.JPG ここの“スピナッチ”が好きなのさ!
 ほうれんそうとベーコン、キノコのバターソテーみたいなやつを挟んだパニーニ。 でもバターというよりはチーズの風味があるんだよなぁ。 実体はよくわからないですが、具だくさんで食べ応えあり。 注文してからパンをローストしてくれるので、生地はカサカサ・サクサクでとても軽いから余計に具が多く感じられるのかも。

  西梅田バール2.JPG おともはチョコラテ。
 ホットチョコレートなのかと思えば、エスプレッソ+ミルクに、チョコレートソースでした。
 何度も飲んでいるのだが、いつも予測以上にエスプレッソが強い。 夜に飲めば眠れなくなること確実である。 チョコが入ってくれてありがたい。

posted by かしこん at 03:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ごはん・お茶の時間 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月14日

ヴィラ・グランデ青山〜返り討ちの日曜日〜@サンケイブリーゼホール

 気づけば、この人の作品をよく見ているような気がする。 作家で選んでたわけではなく役者で選んでるんだけど、結果的に作者はこの人でした、みたいな。
 今回も竹中直人&生瀬勝久につられたけど、作・演出は倉持裕さんでした。
 で、特にファンというわけでもない立場から見ると、どうもこの人は不条理ホラーが好きそうなのだ。 だから一度本気でホラーをやってみたらいいと思う。 ホラーかと期待したらコメディ&いい話でちょっとがっかりした『鎌塚氏、放り投げる』と比較すると、はじめからコメディと目されているこの作品はザラリとしたイヤな感触が残るホラーテイストにじむ内容だった。

  ヴィラ・グランデ青山.jpg こんなリゾート光景はない。
  話はすべてマンション内部で。

 バブル期に建てられたマンション、ヴィラ・グランデ青山。 そこの住人である広告デザイナーの民谷(竹中直人)は三年振りに仕事仲間でかつてはここに住んでいたカメラマンの陣野(生瀬勝久)に会う。 娘(谷村美月)の元カレ・鳴川とのトラブルについて相談するためだった。 そこへ鳴川の親友・日野(松下洸平)、住人の津弓(山田優)、管理人の岡根(田口浩正)が絡み、ドタバタした日々&個人の認識のずれが浮かび上がる・・・という話。
 冒頭しばらくは竹中&生瀬の二人芝居が続き、なかなか見せてくれます。
 説明がなく状況から始まって、二人の会話を聞いているとだんだんどういうことかわかってくる。 映像作品ではすっかりオッサンである様子をがっちり見せてがっかりな生瀬だが、舞台だとやっぱりかっこいいんだよなぁ。 それは竹中直人も同じなんだけど(でも遠目だと高橋克実との違いがわからない)。
 認識のずれ、という意味では観客にも“ずれ”が起こる。 登場人物の名前は台詞を音で聴くだけなので名前の漢字変換は自分の頭の中。
 「タミヤ」は「田宮」だと思ってたし、「ジンノ」は「神野」かと。 「ナルカワ」も「成川」と。管理人さんに至ってはずっと「オカベ=岡部」さんだと思っていた(終演後、パンフレットの配役表見てびっくり!)。 このへんの違和感も計算のうちなのかな〜と。
 まったく新しいわけではないが、ひとつの場所で2つの部屋の様子を表現する演出はシュールで、このストーリーによく合っていたと思う。 特筆すべきはそこかなぁ。
 バブル期が青春だったおっさん二人のなんとも言えない友情と個人的な事情。
 年をとったからその分大人になってるわけでもないんだみたいな諦観と、よかれと思った行動の積み重ねが相手に脅威を与えることもあるという話。 登場人物は必要最小限、という芝居の方があたしは好きなようです。
 けれど・・・これはこの舞台そのものとは直接関係ないんだけれど、オリジナル作品でここまで震災の影響がまったくないといえる感じなのも珍しくないか、と感じた(ずっと演劇を追いかけているわけではないのでそう言えるのはこの作品だけではないとも思うのだが)。 もはや、そういう流れは当然なのかも。
 3・11のあとあれだけ“エンターテイメントにできること”を模索していたこの世界、もうその時期は終わった、ということなのか。 小林賢太郎くんの“The Spot”と同じホールで、しかもそれから一年もたっていないのにこの違いはなんだ・・・と唖然としたのは事実である(同じホールだったのが問題だったのかもしれん)。

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2011年12月13日

終決者たち/マイクル・コナリー

 どうにかハリー・ボッシュシリーズ第11弾。 13作目まで出てるので、「今年中に読み終えられそう」と思ったあたしの読みは甘かったかも・・・。
 ミステリにしてはちょっとよくわからないタイトルだなという印象だったですが、なんと原題は『THE CLOSERS』。 “事件に幕を引く者たち”ということなんですね!(そういう海外ドラマもありますよね)
 退職者早期復職制度を利用したハリー・ボッシュは警官に復帰、古巣のハリウッド署ではなくロス市警本部の“未解決事件捜査班”に配属となり、かつての相棒のひとりキズミン・ライダーとコンビを組むことに。 そこで新たな手掛かりが見つかった17年前の殺人事件を担当することになるが、事件は一筋縄ではいかず、またもロス市警上層部に潜む闇を引き寄せる。

  終決者たち1.jpg終決者たち2.jpg ポジネガ反転のこういう装丁もよくある感じ・・・。

 未解決事件の捜査、ということで海外ドラマ『コールドケース』に似ている部分もありますが、どちらも実際のロス市警にコールドケース班がつくられたことに触発されてるそうなので(しかも本編ではドラマ『コールドケース』のスタッフがボッシュにインタビューを申し込んでいる)。
 一匹狼ボッシュの物語として読むと物足りないかもしれないが、チームで動く警察小説として読めば全然おっけーでしょう。 しかもこれまでのどの作品よりもダークさや重苦しさは控えめ(まったくないというわけではないんだけどさ。 訳者の方も「マイベストはこれ」とおっしゃっている)。
 いつしかただのイヤなやつになり下がったアーヴィン・アーヴィングの処遇についてひとつの結論が!
 というわけでここで初めてボッシュの生き方について肯定的な結果が得られたような締めくくりだった。
 しかしこのいい空気がこの先いつまでも続くわけはないのだろう・・・という予測も簡単についてしまい(だってエレノア、出てこなかったもんなぁ)、続きを読むのに気が重くなる。 13作目で終わってるわけでもないし・・・またあたしは長いシリーズの続きに並ぶのか・・・なんか、妙な気持ちだ。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 02:48| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月12日

カイジ2 〜人生奪回ゲーム〜

 前作はテレビで見たのですが・・・あまりのばかばかしさながらそれを真剣にやっているみなさまに脱帽、特に藤原竜也と香川照之のバトルにはばかばかしいながらも手に汗握っちゃって。 で、続編がというお知らせ・・・テレビでいいかなぁと思ったのだけれど、香川照之続投・生瀬勝久がメインキャラで出演と聞いてしまい・・・見てしまったではないか。

  カイジ2−3.jpg 地下に戻ってますよ、カイジ。

 完全に『1』を見ていないお客さんのことは考えていないつくりで、続編としては正しい姿勢ですがこのまま何作もつくられ続けるんだろうか・・・という危惧も覚えるほど。
 「藤原竜也が暑苦しいんだよね〜」という人もいますが、こんなとんでもない世界観の中で主役を張るにはそれくらいじゃないとダメなのでは? むしろ舞台っぽすぎと言われるぐらいでちょうどいいのではないかと感じます。 共演者も舞台系の方が揃ってますしね。
 香川照之がサービス出演ぐらいだったらどうしよう、とハラハラしましたがちゃんとラストまで絡んでくれてよかった(とはいえ前作のほうが迫力があったことは否めず)。 生瀬は映像ではもうすっかりおっちゃんだよなぁ、ということを大画面で確認してかなしくなったりして(あぁ、『QUIZ』ではあんなにかっこよかったのに、時間って残酷)、安定感はさすがなんですけどね。

  カイジ2−5.jpgカイジ2−6.jpg 利根川は地下に落とされたから、精気が弱いのかも。 いかにも関西のおっちゃん。

 ストーリーを云々する映画ではないと思うので(というかそもそも映画というよりはアトラクションに近いのでは)、無茶苦茶設定の中で俳優のみなさまがいかにその世界を体現するかを見る、というのに重点を置いています。
 というわけで最近出演作が著しい光石研さんが全部回想シーンという形なれどおいしいところを持っていき、香川照之がいささか失速した分、いちばん輝いたのは伊勢谷友介だった、という感じに。 その中で主役でいられる藤原竜也はやっぱすごいんじゃない?、と見直しております。 とはいえ他の仕事も選んでくれよ・・・とも思うけど、映像の世界で彼の新しい面を引き出せるつくり手がいないのかなぁとも感じる。

  カイジ2−4.jpg とりあえず、とぼけた部分も含めて光ってました。

 終盤、無理矢理引き延ばしてないかな〜。 もうちょっとタイトにしてエンディングに時間を割いた方が余韻が生きるんじゃないのかなぁとか、「お金よりもお金で買えない仲間のほうが大切」って声高に言っちゃうのはストレートすぎないかなぁとか思ったりしますが、若い世代に訴えるにはそれくらい直球じゃないとダメなのかも。
 とりあえず、多額の借金やギャンブルとは縁のない生活を送りたいなぁ、としみじみ。
 そういう意味ではとても道徳的な映画ですね。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 03:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月11日

指輪をはめたい

 製薬会社の営業マンである“ぼく”は気がついたら病院にいた。 どうやら頭を打ったらしい。 ここ最近の記憶がなくなった“ぼく”はカバンの中にダイヤの指輪があることに気づいてびっくり。 いったい、誰に渡すつもりなんだろう・・・。

  指輪をはめたい1.jpg Star Jewelry提供、と最初に出たのが笑えた。

 冒頭、頭を打って意識を失った表現としてカメラがぐるぐる回るのだが、かつてそういうめまいに悩まされたことがあるあたしとしてはつらいのである(それでなくともカメラの手ぶれが強いと酔ってしまうというのに)。 うっ、頭が痛いよー、と最初からなってしまい眉間を押さえ続けることしばし。 おかげで物語の中に入り込むことができず、映画の存在自体をかけたトリックにもすぐ気づいてしまった・・・なんかすみませんと思いつつ、だまされなくてつまんない。 まぁ最初に彼を起こす医者が水森亜土なので、本気のリアル映画ではないことは明白なのだが(そのあたりのふわふわ感も、原作である最近の純文学の特徴と一致してるような。 とはいえあたしはこの原作を読んでいないのですが)。
 “ぼく”は片山輝彦(山田孝之)、29歳独身。 おろおろと日常生活に戻ってまわりを見渡してみると、輝彦のことを彼氏扱いする女性が3人もいることに気づき愕然とする。 それぞれ会社の同僚で研究員の住友智恵(小西真奈美)、営業先のお客である風俗嬢の潮崎めぐみ(真木よう子)、公園で自作の人形劇を上演している鈴木和歌子(池脇千鶴)。
 この指輪は3人のうち誰かのためのものなのか、だったら“ぼく”は3人のうち誰を選んだのか、記憶のない状態でいったい誰を選んだらいいのか四苦八苦する物語・・・というべきか。 しかし選ぶことができずにぐずぐずしまくりますが。

  指輪をはめたい4.jpg まったくタイプは違えども、本質的には健気な女たち。 男の理想ですか?

 こんなおどおど青年に三股なんて可能なのか?、というのがいちばんの謎だが(彼女たちからは「なんか輝彦、最近変わった」とか言われているので以前の彼は自信たっぷり風の青年だったのかもしれないが)、山田孝之の優柔不断&挙動不審っぷりがはまっているので以前の彼が想像できず。 しかもすっかりツンデレな小西真奈美、強がれば強がるほど痛々しい真木よう子、痛いキャラなのに何故かかわいらしさを失わない池脇千鶴と女優陣が素晴らしく、輝彦に時折助言を与えるスケート場の少女(二階堂ふみ)の存在感も相まってキャストで見せる映画になっております。 主人公に助言するティーンエイジャーなんて、まるで『(500)日のサマー』ではないか、と思ったけどその役割は大きく違っていた。

  指輪をはめたい6.jpg 二階堂ふみ目当てで行ったあたしであった。

 ラブコメディとポスターにはあったけど、これは“結婚を申し込むタイミングを失った男の哀しき迷走”の物語である。 またしても「男ってバカだなぁ」な話なんだけど、『さすらいの女神(ディーヴァ)たち』ほど愛すべき存在になっていないところが残念(ダメ感が強すぎです)。 とはいえ最後には一応希望が見えるようになってます。
 ただ、映画全体に漂うレトロ感がファンタジックな度合いを強めつつも低予算ぶりも露呈しているようで微妙でした・・・でもまぁ、そこそこ面白いです。

ラベル:映画館 日本映画
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2011年12月10日

やがて来たる者へ/L'UOMO CHE VERRA

 これはポスターを見て、「いかにもミニシアターな作品だなぁ!」と感じたので特に予備知識もないまま。

  やがて来たる者へ2.jpg 光のように 歌があらわれる―。
    “マルザボットの虐殺”と呼ばれる実際の出来事が題材。

 1943年12月、イタリア北部の小さな山村で。 8歳のマルティーナは比較的大規模な農家の一人娘である。 以前、生まれたばかりの弟がすぐに死んでしまったショックで口がきけなくなっているが、まわりの大人たちはいつかよくなるだろうと温かく見守っている(が、学校のバカなガキどもは調子に乗っていじめたりする)。 そんなマルティーナから見た静かな農村の日々がドキュメンタリータッチでつづられる。
 このポスター写真の映りはいまいちだが、映画の中のマルティーナはもっと美少女ですぐに折れそうな細い手足で山の中を駆け回る様子は季節を描写し少女の成長を描く映画と言っても差し支えないのだが、時代はそれを許してくれないのである。
 母の妹は都会に憧れ大きな町に出ていってまた帰ってきたり。 毎日の農作業の様子や家畜の世話。 時に急病人が出たときの対応、嵐が近付いてきたので通りすがりの商人を泊めてあげたり、それぞれの家長が集まっての村の話し合いの様子など。 まったくBGMがないので余計にドキュメンタリーっぽく感じてしまう。 
 だがこの静かな村にも確実に戦火は迫ってきている・・・というハラハラ感がすごい。

  やがて来たる者へ1.jpg 奥、マルティーナ。 手前は母の妹、彼女もまたマルティーナが大好きな人。

 この映画から音楽が流れ始めたとき、ドキュメンタリーは寓話へとシフトを開始する。
 ドイツからの攻撃が身近に迫ってきて、村の若者たちは一部パルチザンとなり、村はパルチザンを匿う者たちとなってしまった。 ただ自分たちの生活を守りたいだけなのに。
 食料を求めてやってくるドイツ兵にはいい人もいる、パルチザンは自分がよく知っている村の人と思っているマルティーナは、両者が殺し合うところを偶然見てしまい誰がいい人なのか悪い人なのかわからない。
 静かに、けれど着実に映画は不穏な方向へと進んでいく。
 1944年9月、ドイツ軍はパルチザン掃討作戦を決行。
 このあたりから、「うわ、なんだか見たことある感じが!」という意識に激しくとらわれる。
 ・・・『サンタマリアの奇跡』だ! 同じ事件なの? いや、確か村の名前が違う。 それに『サンタマリアの奇跡』のほうは連合軍側の視点だったから・・・つまり、あのときはイタリアでは同じようなことがどこで起こっても不思議ではなかったということか。 しかも、村人の殺し方が一緒・・・ナチス・ドイツには大量殺戮における手段マニュアルがあったのではないかと思うほどである。
 映画の前半で、マルティーナの父と地主はある会話をする。
 「歴史は今、戦争だよ」
 「歴史は農民には関係ない」
 だが、歴史は日々の積み重ねが結果的につくるもの。 ある日の選択が人生を、歴史の流れを大きく変えていくことになると気づかなかったのがよくなかったのか。 けれどそんなことを意識せずに一生を送る人たちだっているだろうに・・・「生きてる時代が悪かった」って言葉で片付けるしかないんだろうか?
 マルティーナの無邪気な強さだけがこの映画の救いとなる。
 “やがて来たる者”とは物語の進行によって変わっていく。 はじめは、忍び寄るナチの足音。 そしていつしか、すべてが終わって訪れるであろう未来、希望へと。
 時の流れもまた、数少ない救いではあるだろう。
 2時間越えの映画だったのだけれども、まったく長さを感じることなしにエンディング。
 最近のイタリア映画の充実ぶりもすごいなぁ、と考えて重たい気持ちを少しでも軽くしようとする。 美しくて繊細だが、大変へヴィな内容でした。

ラベル:映画館 外国映画
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2011年12月09日

夢判断

 気がついたら部屋の中に細かい虫がびっしりいて、あたしは「ひえ〜っ」とおののきながら掃除機で一生懸命吸い取り続けている・・・という夢を見た。
 目が覚めた瞬間、ヤバい、と思った。
 あたしの体験上、夢に虫がいっぱい出てくるときはあたしの細胞がウィルスか菌に侵入されているときなのだ(そして虫のサイズが小さくなればなるほど、数が増えれば増えるほど症状が重くなる)。 この前インフルエンザになったときは、自分の寝ているシーツの表裏にびっしり黒い小さな羽虫のようなものがはりついていた(勿論、夢である)。
 が、ヤバいと思ったとき、のどの痛みはなかった。
 「よかった・・・」と呟いた声が、いつもと違ってた。
 結局どうも何かにやられているらしい。 しかし「掃除機で吸い取っていた」という新たな展開は初めてだ。 これは、体内の防御機能が働いているということなのか? ちょっとヤバいが、油断さえしなければ大事にならずに済むということか。
 手洗い・うがいはいつもしてるので・・・栄養のある物を食べてちゃんと寝ろってことか。
 しかししっかり食べてみたら、なんかおなか痛い・・・(消化能力が低下しているのか)。
 あー、ずっとはちみつ屋さんに行けてないから、はちみつショウガもはちみつゆずも手に入れてない! とりあえず、ヴィックスドロップを買う。
 とにかく冷やさないことが大事だな!
 そしたらば、一週間ほど前「風邪ひいたかも〜」とメールが来て以来音信のなかったえむさんから「マイコプラズマになっちゃって死にそうだった」とのご連絡が!
 ・・・疲れとストレスで抵抗力の下がってる人を狙っているのか、マイコプラズマは。ヤバい、ヤバいぞ。 この土日は安静にしよう・・・。

posted by かしこん at 03:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 体調 好不調の波 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月08日

避けるネコ、ネコに避けられたあたし

 いい感じの陽射しが出ていて、ぬくぬく伸びをしていたらしいネコ。
 おぉ、いい感じ!、と早速あたしは写真撮影の許可をお願いするのだが、「ふん」とばかりに興味のない態度。 「わー、今すごくいいアングルだから、ちょっと動かないでいてほしいなぁ」と興奮気味のあたしが不愉快だったのか、ポーズ拒否!

  避ける猫1.JPG むしろあたしのほうに向かって歩いてきました。
 え、ガンつけ? お説教?
 しかしそのネコはあたしの足元をすり抜け、すたたたたた・・・と道の方へ。

  避ける猫2.JPG 何事もなかったように、振り返りもせず。
 クールですなぁ。 そういうクールさ、あたしにもほしいわ。

 仕事、煮詰まってます! 上の人と意思の疎通ができません!
 「話が噛み合わないんですけど・・・」と小声でまわりの人に相談すれば「あぁ、流して聞いとけばいいんですよ」とのこと。
 言葉を文言通りに受け取るあたしが悪いのか・・・。
 というか社会人を何年やっとんじゃ、「はいはい言うけど聞き流す」ぐらいのことができなくてどうするのだ・・・直接かかわりがない人だったらできるんだけどなぁ。
 考えすぎる、真面目に受け止める。 これがあたしの悪い癖ですわ。

posted by かしこん at 02:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 季節のこと/街の中の自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月07日

数学的にありえない (上・下)/アダム・ファウアー

 以下の内容は、以前のブログに2008年6月17日に投稿したものです。
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 図書館で、ある書棚の角を曲がったらこの本が目に飛び込んできた。
 あ、ずっと読みたいと思っていた本ではないか! そして最近思い出していたし。 これもシンクロニシティ?、 ということで早速借りて、読んでみる。

  数学的にありえない上.jpg 『数学的にありえない』
 この印象的なタイトルの本、多分刊行は2年ぐらい前だ。 出たときから気になってはいたのに手を伸ばさなかったのはハードカバーで上下巻ということもあるけれど、書評に難しいことを書く方々がこぞってこの本を褒めていたような記憶があったからだ。
 難しい話なのか???、という印象があたしの気を遅らせていた。
 だが、読んでみたらめちゃめちゃ面白いのである。 数学も物理もあたしの許容範囲内の程度だし!  あえて言うならアイザック・アシモフにマイクル・クライトンを合わせて、ダン・シモンズをふりかけた みたいな、ついでにちょっとジェフリー・ディーヴァーも入れて、とでも申しましょうか。
 だから先入観なしで 読んだほうが面白いと思います。
 ま、確率論的世界は癲癇でラプラスの魔、ぐらいは言っときましょうか。

  数学的にありえない下.jpg 少なくともこれを読んだら、内容を理解したら、無差別に人を殺そうとは思わないんじゃないかな。

 人は誰もがどこかで繋がっている。 自分はなんとも思ってなくとも、自分のしたことは誰かに何らかの影響を (心理的なものだけじゃなく物理的なものも)与えている。 そして自分も、受けている。 未来は、選択の積み重ね。 運命のようなものは、あるようでないようで、あとから見たらあるのかもしれない。 そんな感じ。
 だから、見えない自分の役割をわからなくてもまっとうしようよ、と言っているかのようだ。
 作者は子供の頃病気で失明寸前になり、長い入院生活を強いられたらしい。 そのときの救いはオーディオブックス(本を朗読したもの)だったとインタビューに答えている。 親も医者も与えてくれない“現実からの逃避”をそれは与えてくれたのだそうだ。
 やはり、物語には人を救う力がある。
 作者の、“生きること”に対しての肯定的態度がこの物語を書かせたんだろう。
 作中で結構人は死にますけど、 そんなある意味容赦のなさは彼の作家としての今後の可能性を示唆しているのかもしれない。  読むべき本は、多分そのタイミングでめぐりあう。 そんなことを実感してみました。
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 ・・・飛ばしている自分の文章のびっくり。
 “生きることに肯定的”というか、『心理学的にありえない』でも能力を使って自分たちを追いかけて来るやつらをやっつけなければいけないことはわかるが、その戦いで自分の命がどうなるかわからないと感じた子供たちはエンパス故に本心を悟られるけど、それをまわりの大人が責めたり考えを変えろと迫るような場面はなかった。 わかった、その意思を尊重する、と言っただけ。 巻き込まれた人の容赦ない死はがっつり描写するけど、「生きたい」という強い気持ちがある者を許す作風、なのかしら。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 01:25| Comment(4) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月06日

心理学的にありえない/アダム・ファウアー

 何年か前に読んで面白かった『数学的にありえない』の作者による二作目。
 てっきりシリーズなのかと思ったら全然関係なかった(いや、前作の登場人物がちょこっと登場しますが、まったく別の話)・・・邦題のつけ方に、悲しい日本の出版業界の、特に翻訳ものの世界の事情が見える感じ。

  心理学的にありえない1.jpg 文藝春秋・・・もうちょっと装丁にお金をかけて。

 天賦の才能で人の表情から内面を読み取るアナリストのイライジャ、圧倒的な感動を与える天才ヴァイオリニストのウィンター。 まったく繋がりのないはずの二人に共通する銀のネックレスがはずされたとき、巻き込まれていく巨大な陰謀。 破滅の時を演出する謎の宗教指導者ヴァレンチヌス、何かを阻止しようと動いているラズロとダリアン。
 いったい彼らにはどんな繋がりが、その秘密は過去にある…というような話。
 原題の『EMPATH(Y)』は、『共感覚者(共感覚)』の意。
 作者はマイクル・クライトンの後継者みたいなイメージがあったけど、実は全然違います、ということがわかったり。勿論、科学ネタてんこ盛りですが、リアルサイエンスというよりもSとFの間をミシンで張り付けながら縫いつけてる・・・ような(というか結果的にそうなったのかもしれないが)。 おかげで大変疾走感にあふれています。 後半、進めば進むほど加速度的に読むのが速くなった。

  心理学的にありえない2.jpg おかげで下巻は2日かからず読了。
 “ラスト4行までわからない!”と帯にあるのですが・・・エピローグ自体が大がかりな仕掛けです。 その仕掛けがうまく働いている分、それまでの出来事がどこかに行ってしまうというか、「・・・終わってないじゃん!」と一拍遅れて感じるという。
 これまでの積み重ねはどこへ?
 彼らはその後、どうなるの?
 キャラクターに感情移入していたらしていたほど、やりきれない気持ちになる(もしくは肩すかし)。 後味のよくなさというか容赦のなさはスティーヴン・キングなみ。
 ただびっくりしたのは現代パートのニューヨークで、イライジャとウィンターが逃げているときに迷い込むのが“食肉産業地区”・・・あ、ミートパッキングエリアか!
 今は普通のアパートとかある地域のはずだが、“食肉産業地域”とか書かれると食肉工場が軒並みつらなってるみたいでドッキリするわ。
 これは・・・続編、あるのかしら。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 03:07| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月05日

ラブ・アゲイン/CRAZY, STUPID, LOVE.

 続いて本家ハリウッドのラブコメを。 とはいえスティーヴ・カレルには全然興味がなくて・・・ジュリアン・ムーアとライアン・ゴズリングにつられての鑑賞です。
 オープニング、レストランのテーブルの下で囁き合うかのような靴の動きを見せることで向かい合う男女の親密度を示すような描写が面白い。 みんなお洒落でちゃんとした靴を履いているのに、キャル(スティーヴ・カレル)だけがナイキのスニーカーってことで彼の“空気の読めない感”を観客に伝えてくる(もしくは妻との二人きりのディナーに対して気を遣わなすぎ)。 だから次の瞬間、妻のエミリー(ジュリアン・ムーア)から突然離婚を切り出されても「さもあろう」と思っちゃうんだよな〜。
 だから一人でパニックに陥るキャルがかわいそうとは感じられなくて(哀れだなぁ、とは思うんですが。 だからこそ笑える、ということも)。
 よれよれになったキャルは毎晩バーに繰り出して見知らぬ人相手にグチをこぼしまくるが、その姿に辟易したバーの常連(別名“バーの色男”)であるジェイコブ(ライアン・ゴズリング)は「あんたを捨てた奥さんを後悔させてやりたくないか?」とファッションや女性との会話を指導することに。

  ラブアゲイン3.jpg 外見改造により、見る間にしゃんとしていくキャル。

 しかし悲しいかな、女性とのお洒落な会話は一朝一夕では身につかず・・・ジェイコブの毎晩の成功例をお手本に。

  ラブアゲイン5.jpg キミがいかにも色男をやるとはね! しかも意外にハンサムが似合うじゃないか!

 一方、キャルとエミリーが離婚すると知ってショックを受けたベビーシッターのジェシカ(アナリー・シンプソン)は押し隠していたキャルへの恋心が燃え盛るが、夫妻の息子であるロビー(ジョナ・ボボ)はジェシカが運命の相手だと確信しており・・・一方通行の思いは絡まりまくっていくのだった。
 実は豪華キャストなのです。 エミリーが勢いで浮気しちゃった相手はケヴィン・ベーコンだし、キャルが初めてナンパに成功した相手はマリサ・トメイ(ほんとにこの人は“負け犬の女神”みたいな役が似合うなぁ)。 バーの色男のテクニックが通じない恋愛音痴な弁護士の卵ハンナは、『ゾンビランド』で唯一無名だったエマ・ストーン。 そもそも“傷ついた僕”(転じてちょっと危ないヤツ)的な役がすっかりお似合いだったライアン・ゴズリングが自信満々のプレイボーイの役とは・・・(しかもしっかり笑いも取ります)、意外だしびっくりなのですが、やはり演技力のある男はなんでもしますね。
 で、話はただの哀れな中年男の再生ってことにおさまらず、様々な世代の男たちに何かをもたらしてくれる。 ちょっと人間関係が狭すぎないか?、というツッコミはあるものの、非常にウェルメイドな脚本が素晴らしい。 しかも登場人物はみな基本的にはいい人で(ダメな人はいても卑怯者はいない)、どの役も物語上の無駄がない。 ただ男性を中心に描いているため女性側がそれぞれ浅い感じなんですけど、うーむ、両方を均等に描くことは難しいのかなぁ。 それでも、「面白い!」という満足感があるのです。

  ラブアゲイン1.jpg エミリーもキャルのことが嫌いになったわけではなく、かつての愛情や情熱を失いつつあるキャルに寂しさを覚えてただけ。 そこらへんの底の浅さも、ジュリアン・ムーアを使っておきながらもったいないような、彼女だからこそ説得力が生まれたような。

 さすが、本家が本気を出せばしっかりとすごいものがつくれるのね(そういえばこれでも『ダーティー・ダンシング』に言及・・・いったいどれほどすごい影響をあの映画はもたらしているのか!)。 監督は『フィリップ、きみを愛してる!』の方々だそうで、男性がキュートに描けちゃってる理由がちょっとわかってみたり。
 でも、『CRAZY, STUPID, LOVE.』を『ラブ・アゲイン』とやっちゃう邦題にがっかり・・・。
 いい作品なのに、タイトルで損してるかも。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 03:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする